スポーツ

【詳細】バスケ男子日本代表 パリ五輪出場決定 W杯最終戦勝利

バスケットボール男子のワールドカップで日本は順位決定戦の最終戦で、カボベルデに80対71で競り勝ちました。この結果、日本はこの大会で3勝2敗となりアジア勢1位になることが確定し、1976年のモントリオール大会以来、48年ぶりに自力でのオリンピック出場を決めました。

目次

最終戦 対戦相手のカボベルデとは

オリンピックの出場権がかかるバスケットボール男子のワールドカップは2日、17位から32位を決める順位決定戦の最終戦が行われ、世界ランキング36位の日本は、世界64位のカボベルデと対戦しました。

前半の展開は

日本は第1クオーター、相手の高さに苦しみ17対19とリードを許しますが、第2クオーターの開始およそ1分でジョシュ ホーキンソン選手がシュートを決めて逆転に成功しました。

そこからは河村勇輝選手のスピードあるドライブや、富永啓生選手の3本のスリーポイントシュートなどでリードを広げ50対37とリードして、試合を折り返しました。

第3クオーター 富永のスリーポイントで

第3クオーターも富永選手のスリーポイントなどで得点を重ねた日本は、73対55と18点をリードして第4クオーターに入りました。

第4クオーター 13連続ポイントを奪われるも…

しかし、第4クオーターは開始から日本のシュートが決まらず、相手に13連続ポイントを奪われ残りおよそ1分で74対71と3点差まで詰め寄られました。

そこから日本はホーキンソン選手がファウルをもらいながらシュートを決め、最後はスリーポイントも決めて突き放し80対71で逃げきりました。

アジア勢1位確定 パリ五輪出場決定 自力では48年ぶり

日本はこの大会で3勝2敗となり、順位決定戦のグループ1位となって、アジア勢6チームの中で1位になることが確定しました。

この結果、日本は1976年のモントリオール大会以来、自力では48年ぶりのオリンピック出場を決めました。

渡邊選手 試合後には笑顔で

試合のあとエースの渡邊雄太選手は「最高です。このためにみんなここの数か月大変な思いをしながら頑張ってきたのでやっと報われた気がする」と喜びを語りました。

そのうえで「沖縄のみなさんがこれだけ盛り上がってくれたおかげで僕もまだまだこのユニフォームを着てプレーすることができるので本当にここまで頑張ってよかった」と笑顔をみせていました。

ホーバスHC 試合を振り返って

48年ぶりに自力でのオリンピック出場を決めた日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチは「うれしい、本当に最高だ。第4クオーターは大変だったが、選手たちがよく我慢して、最後まで頑張った」と接戦となった試合を振り返りました。

そのうえで「みんなで目標を決め、最後までそれを信じる気持ちが全員にあったと思う。信じる気持ちがなかったら、こういうことはできない。パリオリンピックについてはゆっくり考えたいが、新しい目標を作りたい」と話していました。

チーム最多29得点マークのホーキンソン選手は

第4クオーターの勝負どころでスリーポイントシュートを決めてチーム最多の29得点をマークしたジョシュ ホーキンソン選手は「最初にコートに入ったとき鳥肌が立った。最後のスリーポイントを決めたのは本当によかったと思う。めちゃめちゃうれしい」と笑顔で話しました。

そのうえで「チームを本当に誇りに思う。いろいろな人が手伝ってくれていいチームが作れた」とチームメイトに感謝のことばを述べました。

6本の3Pで22得点の富永選手 思い語る

6本のスリーポイントシュートを成功させ22点をマークした富永啓生選手は「ここまでの4試合とは違ってひやひやする展開になったが、最後に勝ちきることができてすごくうれしく思う」と試合を振り返りました。

この試合75%の高い確率で決めた得意のスリーポイントシュートについては「なかなかスリーポイントでチームを助けることができず、最後の試合で何としてでもチームをスリーポイントで助けるということを心に決めてやってきたので、本当に決められてよかった」とこの試合にかけた思いを口にしました。

そのうえで「オリンピックまであと1年で、自分はアメリカに戻ってプレーするが、もっともっと成長して日本のバスケットを強くできるように頑張る」と意気込みを示しました。

キャプテンの富樫選手「つかみとった五輪切符は特別」

試合後、キャプテンの富樫勇樹選手は「3勝して自分たちの手でつかみとったパリオリンピックの切符は特別なものだと思う。若い力と経験ある選手の力が合わさってチームとしてすばらしいバスケットボールができた」と話していました。

14得点8アシストの河村選手は

14得点8アシストをマークした22歳の河村勇輝選手は「ものすごくうれしい。アジア1位になること、それだけを目標に、この1年間、2年間、トムさんがヘッドコーチになってから頑張ってきたので、まずはこの報われた瞬間、全員喜んでいいのではないかと思う」と笑顔で話していました。

そのうえで「とにかくチームが勝つために何が必要なのかというのを毎プレー毎プレー考えながらプレーしていたが、きょうは反省だらけだ。後半、何もかもうまくいかずにポイントガードとしてゲームコントロールをすることができなかった。ワールドカップは終わってしまうが、また自分のチームに戻ってこのワールドカップで出た反省をいかして成長し、パリオリンピックの舞台に立てるよう頑張っていきたい」と来年を見据えていました。

試合後を見たファンたちは

試合を観戦したファンの男性は「チームの団結力と富永選手のスリーポイントシュートがよかった。会場の盛り上がりとチーム全員の力で勝ったと思う日本代表のワールドカップが終わったのはさみしい気持ちもあるがこれからBリーグなどバスケットボールを楽しめる機会があるのでたくさん応援したいと」と話していました。

また別のファンの女性は「最高です。バスケットボールを知らない人は見るべきです。来年はパリに応援に行きます」と興奮冷めやらぬ様子で話していました。

世界の壁に何度もはね返されたこれまで

バスケットボール男子の日本代表は、これまで世界の高い壁に何度もはね返されてきました。

前回、2019年のワールドカップではNBA=アメリカプロバスケットボールでプレーする、八村塁選手と渡邊雄太選手という2人を擁しながら、5戦全敗。さらに、開催国枠で出場した東京オリンピックでも予選リーグで3連敗を喫しました。

この時、渡邊選手は目に涙を浮かべて「世界との差を埋めるために、この悔しさを忘れず代表の12人だけでなく、若い選手たちも世界と戦うことを意識して臨んでいく必要があると思う」と話していました。

2人のNBA選手を擁し“史上最強”と呼ばれても、越えられなかった世界の高い壁。東京オリンピックのあと日本代表の指揮を執ることになったのは東京大会で女子の日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスヘッドコーチでした。

ホーバスヘッドコーチが掲げた世界と戦うための戦術のカギは、女子の日本代表で世界と渡り合ってきた、スリーポイントシュートでした。

カボベルデ戦で3Pシュートを放つ富永選手

17年ぶりのW杯での勝利 そして…

そして迎えた今回のワールドカップ。

初戦のドイツ戦では日本が目指してきたバスケットボールをさせてもらえませんでした。

スリーポイントシュートを研究されて徹底的にマークされ、成功率は17.1%と、ホーバスヘッドコーチが目標に掲げる40%には遠く及びませんでした。

それでも続くフィンランド戦では、見事に修正して見せました。

10点差を追いかけて迎えた後半、アメリカの大学でプレーする富永啓生選手が磨いてきたスリーポイントで得点を重ねます。

「スリーポイントは自分の役割で、このチームにいる理由だ」という22歳が、そのシュート力を存分に発揮し7本中4本のスリーポイントを決めました。

そして、同じ22歳の河村勇輝選手もスリーポイントやスピードあるドライブで得点を重ね、最大18点差を逆転。

17年ぶりにワールドカップでの勝利をつかみ取り、世界の壁を破る原動力となったのは“世界と戦うこと”を意識してきた若い力でした。

そして、その若い力をジョシュ ホーキンソン選手を中心にしたリバウンドや、チーム最年長の比江島慎選手などが支え、ベネズエラ戦で2勝目を挙げた日本。

自力では48年ぶりのオリンピック出場をかけて、順位決定戦の最終戦に臨みました。

渡邊「負けたら代表引退」 エースの覚悟から

「このチームでパリオリンピックに行けなかったら、今回で代表活動は最後にしようと思っている」

今回のワールドカップ開幕を前に、日本のエース、渡邊雄太選手はそう話し、今大会にかける強い思いを示していました。

バスケットボールの世界最高峰、NBA=アメリカプロバスケットボールでプレーして5シーズン。日本のバスケットボールをけん引してきた28歳は、常に“世界”の舞台を意識して戦ってきました。

しかし、前回のワールドカップでは5戦全敗。さらに東京オリンピックでも3連敗に終わり、悔し涙を流しました。

同じNBAでプレーする八村塁選手がメンバー入りを辞退した今回のワールドカップ。渡邊選手は先頭に立って声を出し、プレーでもチームを引っ張り続けました。NBAでも評価を高めているスリーポイントと、もともと定評のあるディフェンスで苦しい流れの時も、チームを鼓舞し続けました。

大会前の強化試合で足を痛め、フィンランド戦では「あす動けなくなってもいいという気持ちで動いた」と、相手エースのディフェンスに力を尽くしました。オーストラリアに敗れ、順位決定戦に回っても「ここからが本当の戦い」と、その闘志が衰えることはありませんでした。

カボベルデ戦でダンクシュートを決める渡邊選手

順位決定戦の初戦、世界17位のベネズエラとの試合ではチーム2番目の21得点を挙げ、逆転勝利につなげました。

世界の強さを知り、高い壁に阻まれて悔しさを味わい続けてきたエースが「代表引退」という覚悟を持って臨んだこの大会。チーム最年少の河村勇輝選手は「雄太さんを絶対に引退させるわけにはいかない」と話し、その覚悟はチームの思いをひとつにしました。

チームはフィンランドとベネズエラという世界ランキングでは格上の2チームに驚異的な粘りをみせて逆転勝ち。

勝てばパリオリンピック出場が決まるカボベルデとの最終戦でも、渡邊選手は献身的なディフェンスでチームに貢献しました。高さのある相手に対し、ひるむことのなくリバウンド10個と、2つのブロックをマーク。40分間、1度もベンチに下がることなく出場を続け、苦しい場面で何度もチームを救いました。

最終戦に競り勝ち、オリンピック出場を決めたあと「あんなことを言った手前、正直不安もめちゃくちゃあったし、もしかしたら今回で代表での試合が最後になるのではないかと思った」と話した渡邊選手。

「しんどい時でもみんなが本当に頑張ってくれたので、みんなのおかげだし、感謝している。まだまだこのユニフォームを着てプレーすることができるので、本当にここまで頑張ってよかった」と涙を浮かべていました。

退路を断ったエースの覚悟に応え、オリンピック出場という目標を達成した日本代表。来年、パリでのオリンピック本番ではさらに成長した姿で再び世界に挑みます。

最新の主要ニュース7本

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

特集

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

スペシャルコンテンツ

一覧

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

ソーシャルランキング

一覧

この2時間のツイートが多い記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。

アクセスランキング

一覧

この24時間に多く読まれている記事です

データを読み込み中...
データの読み込みに失敗しました。