【詳しく】高校野球 慶応が103年ぶり決勝へ 土浦日大高に勝利

夏の全国高校野球は21日、準決勝の2試合が行われ、第2試合は神奈川の慶応高校が茨城の土浦日大高校に2対0で勝って、103年ぶりの決勝進出を決めました。

記事後半では試合の経過を詳しくお伝えしています。

ーーーー 123 456 789 計HE 
土浦日大 000 000 000 070 
慶  応 010 001 00x 2101.

《試合概要》

慶応 小宅雅己投手が先制タイムリー

慶応は2回、2アウト二塁のチャンスで2年生エースで9番の小宅雅己投手が、センターの頭上を越えるタイムリーツーベースヒットを打って1点を先制しました。

6回にはキャプテンの8番・大村昊澄選手のタイムリーで1点を追加しました。

慶応 小宅雅己投手が完封

投げては小宅投手が最速140キロ台のストレートとキレのある変化球をコースに投げ分け、最後まで土浦日大打線に的を絞らせず完封し、慶応が2対0で勝ちました。

慶応は慶応普通部として出場し、準優勝した大正時代の1920年の6回大会以来、103年ぶりの決勝進出です。

土浦日大は3回途中から登板したエースの藤本士生投手がランナーを背負いながらも1失点と粘りのピッチングを見せましたが、打線が小宅投手を捉えることができませんでした。

《両チーム談話》

慶応 森林貴彦監督「決勝 全力でぶつかりたい」

103年ぶりの決勝進出を決めた慶応の森林貴彦監督は「苦しい試合だったが楽しい試合だった」と試合を振り返りました。完封勝利をあげた小宅雅己投手については「小宅1人というのはイメージしていなかったが、代え時がなくて負担をかけた。素晴らしいピッチングだった」と話しました。そして23日の決勝で対戦する仙台育英については「ことし春のセンバツでサヨナラ負けしていて素晴らしく強いチームだというのはよく分かっている。なんとかコンディションを整えて、このチームの集大成として全力でぶつかりたい」と話していました。

完封勝利 慶応 小宅雅己投手「初の完封勝利 自信になった」

9回118球で完封勝利をあげた慶応の2年生、小宅雅己(おやけ・まさき)投手は「すごくうれしいです。相手は逆転のチームなので、要所要所で力を入れて、後半勝負だと思って投げました。完封勝利は初めてだったので、自信になりました」と振り返りました。また、2回にみずからのバットで先制のタイムリーツーベースを打ったことについては「変化球にキレがある投手だったのでストレートを狙っていたら少し甘い球が来て打つことができました。『あ、打っちゃった』と驚きましたが、1点を先に取れてうれしかったです」と話していました。そして仙台育英との決勝に向けては「自分たちのエンジョイベースボールで観客の皆さんも楽しんでもらいたい。自分たちの野球をすれば勝てると思うので、頑張りたいです。ストレートのキレと変化球の組み合わせで、相手を翻弄して、できるだけ最少失点で抑えたいです。自分のピッチングをして甲子園優勝につなげられればと思います」と意気込んでいました。

慶応 大村昊澄主将「仙台育英を倒して日本一になりたい」

慶応のキャプテン、大村昊澄選手は6回にタイムリーヒットを打った場面について「追い込まれてから甘い球が来ると思って粘っていたなかで、最後は甘い球が来たので仕留められてよかったです。打席の中でもアルプスの応援が聞こえていたので『応援してくれてありがとう』という気持ちでガッツポーズをしました」と話していました。また、ことしのセンバツ大会で敗れた仙台育英と決勝で対戦することについて「仙台育英に負けてから勝つためにしてきた練習をぶつけるだけだと思います。最後まで諦めずに仙台育英を倒して日本一になりたいです」と話していました。

土浦日大高 塚原歩生真主将「全力を出し切ったのでうれしい」

土浦日大のキャプテン、塚原歩生真選手は「このメンバーで甲子園で、ここまで戦うことができて本当によかったです。悔しい気持ちもありますが全力を出し切ったので今はうれしい気持ちの方が大きいです」と話していました。また、春夏通じて初めてのベスト4という結果について「キャプテンとしてチームをまとめることができず苦しくてつらい時期もありましたが、諦めず泥臭くやってきたことが、この結果につながったと思うので本当にうれしいです。自分たちの代はこれで終わりですが、これまで培ってきたチームワークを後輩たちも継続してもらい、頑張ってもらいたいです」と話していました。

土浦日大高 エース 藤本士生投手「相手の打撃が上回っていた」

土浦日大高校のエース、藤本士生投手は1点をリードされた3回の2アウト三塁のピンチでマウンドに上がった場面について「ピンチでマウンドに上がることが自分の役割だと思っていましたし、気持ちの準備はできていました」と話していました。また、試合については「1点をとることが難しい試合になると思っていましたが、最後まで相手投手を打ち崩すことができませんでした。また自分自身は、初球の入りを気をつけようと試合に臨みましたが、相手のバッティングが上回っていたと思います」と振り返りました。今後については「どういう進路になるかはわかりませんが、まだ野球を続けたいという気持ちがあるので、うまくなれるように努力してきたいと思います」と話していました。

清原和博さん「運命を感じる」

慶応が決勝進出を決めたことについて、慶応の清原勝児選手の父親で、高校時代に大阪のPL学園で春夏の甲子園で歴代最多となる通算13本のホームランを打った清原和博さんは「センバツで敗れた仙台育英との決勝とは、運命的ですね。慶応はこれまで通り、思い切りプレーしてほしいです。私は39年前の8月21日、土浦日大の小菅監督がいる取手二高に敗れて、悔しい思いをし、38年前の同じ日、宇部商業に勝って優勝を決めました。そんな日に慶応が決勝進出を決めたことにも運命を感じます」とコメントしました。清原さんは、この大会で慶応の準決勝までの4試合すべてを甲子園球場で観戦しています。

慶応の地元 日吉商店街からも声援

慶応高校の地元、横浜市港北区の日吉商店街では、学生などが利用する飲食店で試合を応援する姿が見られました。

このうち、慶応高校や慶応大学の学生も訪れるというとんかつ料理店では、食事に訪れた学生や店の関係者たちがテレビ中継で試合の様子を見守りました。1点を争う試合展開の中、慶応がチャンスを作ったりピンチをしのいだりするたびに大きな拍手が送られました。そして、慶応が決勝進出を決めると、店内の人たちはハイタッチをするなどして喜び合っていました。

日吉で30年以上、飲食店を営んできた店主の和栗義美さんは「お互いにすばらしいピッチャーで引き締まった試合でしたが、きょうも勝ってくれて涙が出るほどうれしかったです。選手たちは疲れがたまっているでしょうがケガに気をつけて勝ってほしいです」と話していました。

《試合経過》

《先発メンバー》

先攻:土浦日大高(茨城)

1.(二)中本佳吾
2.(左)太刀川幸輝
3.(遊)後藤陽人
4.(中)香取蒼太
5.(一)松田陽斗
6.(三)鈴木大和
7.(捕)塚原歩生真
8.(右)大井駿一郎
9.(投)伊藤彩斗

後攻:慶応(神奈川)

1.(中)丸田湊斗
2.(遊)八木陽
3.(左)渡邉千之亮
4.(右)加藤右悟
5.(一)延末藍太
6.(捕)渡辺憩
7.(三)福井直睦
8.(二)大村昊澄
9.(投)小宅雅己

正午過ぎ【試合開始】

正午すぎ、夏の全国高校野球の準決勝第2試合、神奈川の慶応と茨城の土浦日大の試合が始まりました。先攻は土浦日大、後攻が慶応です。慶応は103年ぶりの決勝進出を、土浦日大は春夏通じて初めての決勝進出を目指します。

【1回表】土浦日大高 ランナー出すも無得点

慶応 先発の小宅雅己投手

1.中本 レフトフライ
2.太刀川 ライト前ヒット
3.後藤 ファーストゴロ ダブルプレー
(慶応0-0土浦日大高)

【1回ウラ】慶応 ノーアウト二塁三塁も先制ならず

土浦日大高 先発の伊藤彩斗投手

1回ウラ、慶応はノーアウト二塁三塁とチャンスを作りましたが先制はなりませんでした。

1.丸田 フォアボール
2.八木 レフト前ヒットランナー
(ノーアウト一塁二塁)
3.渡邉 ワイルドピッチでランナー二塁三塁に キャッチャーフライ
(1アウト二塁三塁)
4.加藤 空振り三振
(2アウト二塁三塁)
5.延末 レフトフライ
(慶応0-0土浦日大高)

【2回表】土浦日大高 三者凡退

4.香取 セカンドゴロ
5.松田 見逃し三振
6.鈴木 見逃し三振
(慶応0-0土浦日大高)

★【2回ウラ】慶応が先制 小宅のタイムリーツーベース

慶応 小宅雅己選手が先制タイムリー

2回ウラ、慶応はピッチャー小宅のタイムリーツーベースで1点を先制しました。

6.渡辺 ショートゴロ
7.福井 レフト前ヒット
8.大村 送りバント成功
(2アウト二塁)
9.小宅 センターオーバーのタイムリーツーベースヒット
(★慶応1-0土浦日大高)
1.丸田 ファーストゴロ

【3回表】土浦日大高 得点圏に進むも無得点

7.塚原 ライト前ヒット
8.大井 サードフライ
9.伊藤彩 送りバント
(2アウト二塁)
1.中本レフトフライ
(慶応1-0土浦日大高)

【3回ウラ】慶応 三塁まで進むも追加点ならず

土浦日大高 エースの藤本投手がリリーフ

3回ウラ、慶応は三塁までランナーを進めましたが追加点はなりませんでした。

2.八木 ライト前ヒット
3.渡邉 送りバント成功
(1アウト二塁)
4.加藤 ライトフライ ランナー三塁へ
(2アウト三塁)
▼土浦日大はピッチャーをエースの藤本に交代
5.延末 ライトフライ
(慶応1-0土浦日大高)

【4回表】土浦日大高 ランナー出すも無得点

2.太刀川 セカンドフライ
3.後藤 レフトフライ
4.香取 デッドボール
5.松田 ピッチャーゴロ
(慶応1-0土浦日大高)

【4回ウラ】慶応 この試合初の三者凡退

6.渡辺 ライトフライ
7.福井 サードゴロ
8.大村 サードライナー
(慶応1-0土浦日大高)

【5回表】土浦日大高は三者凡退

慶応 小宅雅己投手 無失点投球続く

6.鈴木 ライトフライ
7.塚原 ピッチャーゴロ
8.大井 空振り三振
(慶応1-0土浦日大高)

【5回ウラ】慶応 満塁のチャンスも追加点は奪えず

5回ウラ、慶応は満塁のチャンスを作りましたが追加点はなりませんでした。

9.小宅 レフト前ヒット
1.丸田 センター前ヒット
(ノーアウト一塁二塁)
2.八木 送りバント成功
(1アウト二塁三塁)
3.渡邉 セカンドゴロ 三塁ランナーがホームでアウト
(2アウト一塁三塁)
4.加藤 盗塁成功でランナー二塁三塁に フォアボール
(2アウト満塁)
5番 延末 空振り三振
(慶応1-0土浦日大高)

【6回表】土浦日大高 ランナー出すも併殺打

9.藤本 ショートゴロ
1.中本 ライト前ヒット
2.太刀川 ピッチャーゴロ ダブルプレー
(慶応1-0土浦日大高)

★【6回ウラ】慶応 大村主将のタイムリーで追加点

慶応 大村昊澄主将が貴重な追加点

6回ウラ、慶応は渡辺選手のレフトフェンス直撃のツーベースヒットからチャンスを広げ、キャプテンの大村選手のタイムリーヒットで1点を追加しました。

6.渡辺 レフトへのフェンス直撃のツーベースヒット
7.福井 送りバント成功
(1アウト三塁)
8.大村 ライト前へのタイムリーヒット 1点を追加
(★慶応2-0土浦日大高)
9.小宅 ショートライナー
1.丸田 空振り三振

【7回表】土浦日大高 ランナー二塁も得点奪えず

7回表、土浦日大は相手のミスもあり、ランナーを二塁へ進めましたが、無得点に終わりました。

3.後藤 センター前ヒット
4.香取 ショートゴロ ダブルプレーを取ろうとしたプレーでセカンドが一塁へ悪送球
(1アウト二塁)
5.松田 ライトフライ
6.鈴木 ショートフライ
(慶応2-0土浦日大高)

【7回ウラ】慶応 スクイズ失敗で追加点ならず

7回ウラ、慶応は1アウト三塁のチャンスでスクイズを失敗してダブルプレーとなり得点を加えることができませんでした。

2.八木 ライトへのツーベースヒット
3.渡邉 送りバント成功
(1アウト三塁)
4.加藤 スクイズを失敗しファーストフライ 飛び出していた三塁ランナーもアウトとなりダブルプレー(慶応2-0土浦日大高)

【8回表】土浦日大高 ランナー2人出すも得点ならず

土浦日大はチャンスをつくりましたが、無得点に終わりました。

7.塚原 見逃し三振
8.代打・飯田 ショートへの内野安打→代走・沼崎
9.藤本 見逃し三振
1.中本 ライト前ヒット
(2アウト一塁二塁)
2.太刀川 レフトフライ
(慶応2-0土浦日大高)

【8回ウラ】慶応 ランナー2人出すも追加点ならず

8回ウラ、慶応はチャンスを作りましたが無得点でした。

5.延末 レフト前ヒット
6.渡辺 送りバント成功
(1アウト二塁)
7.福井 申告敬遠
(1アウト一塁二塁)
8.大村 キャッチャーへのファウルフライ
(2アウト一塁二塁)
9.小宅 ファーストゴロ
(慶応2-0土浦日大高)

【9回表】土浦日大高 得点奪えず 慶応が103年ぶり決勝へ

慶応 大応援団の声援に感謝

9回表、土浦日大はランナーを出しましたが、無得点に終わりました。勝った慶応は103年ぶりの決勝進出です。

3.後藤 サードゴロ
4.香取 センターフライ
5.松田 ライト前ヒット→代走・勝田
6.鈴木 レフトフライ(試合終了)
(慶応2-0土浦日大高)

土浦日大高 初の決勝ならず

《準決勝 第2試合 慶応×土浦日大高 見どころ》

【慶応】
慶応は慶応普通部として出場し、準優勝した大正時代の1920年の6回大会以来、103年ぶりのベスト4に進みました。好投手との対決が続きましたが、俊足の1番・丸田湊斗選手がチャンスを作り、3回戦で5打点を挙げた5番の延末藍太選手など中軸が返す得点パターンで3試合すべてで6点以上を奪っています。

守りでは2年生エースの小宅雅己投手などの投手陣をセカンドを守るキャプテンの大村昊澄選手を中心としたエラーのない内野陣がもり立てています。

【土浦日大高】
対する土浦日大は、1回戦、開会式直後の試合で延長10回タイブレークのすえに勝って勢いに乗り、春夏通じて初めてベスト4に進みました。打線は2本のホームランを打った5番の松田陽斗選手を中心につながりがあり、後藤陽人選手が盗塁を5つ決めるなど代表校でトップの12盗塁をマークしていて、機動力も絡めて得点を奪います。

投げてはエースの藤本士生投手が4試合すべてに登板し、22イニングあまりを投げて防御率1.19と安定感が光っています。勝てば、茨城県勢としては常総学院が優勝した2003年の85回大会以来、20年ぶりの決勝進出です。

《両チーム 今大会成績》

◆慶応(神奈川)/3試合

▽2回戦:9-4 北陸
▽3回戦:6-3 広陵
▽準々決勝:7-2 沖縄尚学

【チームデータ】
▼チーム打率:.311
▼ホームラン数:0
▼盗塁:3
▼犠打:5
▼1試合平均得点:7.33
▼1試合平均失点:3
▼チーム防御率:2.89
▼失策:1

◆土浦日大高(茨城)/4試合

▽1回戦:8-3 上田西
▽2回戦:3-0 九州国際大付
▽3回戦:10-6 専大松戸
▽準々決勝:9-2 八戸学院光星

【チームデータ】
▼チーム打率:.315
▼ホームラン数:3
▼盗塁:12
▼犠打:5
▼1試合平均得点:7.5
▼1試合平均失点:2.75
▼チーム防御率:1.95
▼失策:3

【今大会 勝ち上がり】