気象庁によりますと、活発な前線の影響で、西日本から北日本の広い範囲で大気の状態が非常に不安定になっていて、北陸には発達した雨雲が流れ込んでいます。
石川県と富山県では、発達した積乱雲が次々と連なる「線状降水帯」が発生して命に危険が及ぶ土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっているとして、気象庁は12日夜遅く「顕著な大雨に関する情報」を発表しました。
13日午前0時までの1時間には
▽富山県が南砺市に設置した雨量計で46ミリ
▽石川県が津幡町に設置した雨量計で40ミリの激しい雨を観測しました。
また、今月7日の降り始めから13日午前0時までの雨量は、石川県かほく市で277ミリに達し、平年の7月1か月分を超えています。
この雨で石川県と富山県、それに福井県では、土砂災害の危険性が非常に高くなっているとして「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
また、富山県の小矢部川では警戒レベル4相当の「氾濫危険情報」が出ているほか、
石川県と富山県では「氾濫危険水位」を超えている川があります。
富山県と石川県で線状降水帯が発生 災害危険度高まる【詳細】
活発な前線の影響で、北陸には発達した雨雲が流れ込んでいます。気象庁は、12日夜遅く、石川県と富山県で線状降水帯が発生したとして「顕著な大雨に関する情報」を発表し、土砂災害などに厳重な警戒を呼びかけています。
【詳しくはこちら】大雨 13日の状況
《被害情報》
石川 津幡町 土砂崩れが発生か
石川県津幡町によりますと、12日午後11時の時点で、「鷹の松墓地公園」近くの道路など町内の5か所で土砂崩れが発生しているということです。
また、津幡町清水の住宅など、町内のあわせて2軒で、床下が水につかったという情報が寄せられているということです。
警察によりますと、石川県かほく市と津幡町で13日午前0時ごろまでに「道路が冠水している」といった通報が30件以上寄せられ、中には「車が動けなくなっている」という通報もあるということです。今のところ、けが人の情報は入っていないということです。
消防によりますと、石川県津幡町では、12日午後10時半ごろまでに「道路が冠水している」という通報が10件以上寄せられているということです。
かほく市でも同じような通報が2件寄せられているということです。
内灘町では「土砂崩れが起きている」という通報が1件が寄せられているということです。
富山大学五福キャンパス構内に水が広がる
富山市にある富山大学五福キャンパスでは、構内一帯に水が広がり、置いてある自転車の車輪や植木の一部が水につかっています。
大学3年生の男性によりますと、水はふくらはぎの上あたりまであり、耳をふさいでも音が聞こえるほどの強い雨が降っていたということです。
男性は「家に帰ろうとしましたが近くに川もあるため途中で無理だと思い、大学に戻ってしばらく待機しました。大学に入ってここまでひどくなるのは初めてです」と話していました。
《今後の見通し》
九州~東北の日本海側 大雨のおそれ
前線は引き続き本州付近に停滞する見込みで、九州から東北にかけての日本海側を中心に、局地的に雷を伴って非常に激しい雨が降るおそれがあります。
気象庁は、土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に厳重に警戒し、落雷や竜巻などの激しい突風にも十分注意するよう呼びかけています。
大雨で道路が冠水しているなど屋外の移動が危険な場合は建物の2階以上や山の斜面から離れた部屋など少しでも安全な場所で過ごすようにしてください。
顕著な大雨に関する情報
「顕著な大雨に関する情報」は、発達した積乱雲が次々と連なる「線状降水帯」が発生し、非常に激しい雨が同じ場所に降り続いて土砂災害や洪水の危険性が急激に高まったときに発表されます。
「線状降水帯」は、2020年の7月豪雨や2018年の西日本豪雨など、これまでの豪雨災害で繰り返し確認され、予報を上回って、短い時間で状況が悪化する危険性があります。
この情報が出た際は、
▽自治体からの避難の情報に基づき、周囲の状況を確かめて早めの避難をするほか、▽すでに避難場所までの移動が危険な場合は、崖や沢から離れた近くの頑丈な建物に移動したり建物の2階以上など浸水しにくい高い場所に移動したりするなど、身の安全を確保することが重要です。
情報が発表される基準は、
▽3時間の解析雨量が100ミリ以上になっている範囲が500平方キロメートル以上あることや、
▽その領域の形状が「線状」であることなどと決められています。
ことしから運用の基準が変更され、実際に発生が確認される前の予測の段階でも発表されることになっています。
間に合わないケースも
注意が必要なのは、この情報が発表された際、すでに外に出ることすら危険になっているおそれもあることです。
気象庁が過去の災害事例で検証したところ「顕著な大雨に関する情報」を発表する基準に達していない段階でも大きな被害が出ていた事例があるということです。
また、情報が出ていない地域でも今後、雨雲が移動し、急激に状況が悪化するおそれもあります。
このため気象庁は、避難情報に直結はせず、危機感を高めてもらうための情報だとし、5段階で運用されている大雨警戒レベルでは「レベル4“相当以上”」だとしています。
その上で、情報を待つことなく、
▽気象庁のホームページで確認できる危険度分布や
▽河川の水位情報などをもとに早めの避難を心がけて欲しいと呼びかけています。