コロナ感染者数 前週比1.1倍 11週連続で増加 沖縄で医療ひっ迫

新型コロナウイルスの全国の感染状況は、今月18日までの1週間では1つの医療機関あたりの平均の患者数が5.6人で、前の週の1.1倍となっています。
厚生労働省は「全国的に緩やかな増加傾向が続いているほか、沖縄県では第8波のピークに近い水準になっているため引き続き注視したい」としています。

厚生労働省によりますと今月18日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から2451人増えて2万7614人となりました。

また、1つの医療機関あたりの平均の患者数は5.6人で前の週の1.1倍となりました。前の週から増加が続くのは11週連続となります。

都道府県別では多い順に▽沖縄県が28.74人▽鹿児島県が9.6人▽千葉県が7.57人▽愛知県が7.22人▽埼玉県が7.02人などとなっていて、32の府県で前の週より増加しています。このほか、今月18日までの1週間に新たに入院した人は全国で4417人で、前の週と比べて67人の減少となりました。

厚生労働省は全国の流行状況について「全国的に緩やかな増加傾向が続いているほか、5類移行の前後で単純に比較はできないものの沖縄県ではことし1月の第8波のピークに近い水準になっているため引き続き注視したい」としています。

沖縄で急拡大 搬送困難事例も

沖縄県内では新型コロナの感染が急速に拡大していて、先週の患者数は前の週と比べて1.5倍に増えました。患者の搬送先を探すのにおよそ1時間かかるケースも発生しています。

県によりますと、今月18日までの1週間に県内54の医療機関から報告された新型コロナの患者数は1552人、1医療機関あたりの平均患者は28.74人で、前の週から1.56倍に増えました。推計される患者総数は7280人で、全国最悪の水準の感染状況が続いているとみられます。県全体の入院者数は今月18日現在で507人で、重症は9人、新型コロナ専用病床の使用率は県全体で57.8%です。

県内の医療機関では医療提供体制がひっ迫しはじめ、27の重点医療機関では7か所で救急診療、3か所で一般診療を制限しているということです。

また先週、県内では救急車を呼んだ患者の搬送先を探すのに55分かかるケースや病院への照会が10回行われたケースなど、搬送が困難な事例が複数発生しているということです。

県保健医療部の糸数公 部長は「感染を防ぐための行動を取ってもらえるよう期待したいが、それがない場合は患者数の増加傾向が続く可能性がある。軽症の場合は救急の時間帯の受診は控えてほしい」と呼びかけています。

専門家「基本的な感染対策 思い出し行動を」

新型コロナウイルス対策にあたる政府分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「地域差があるものの感染者の数は全国的に増加している。特に突出して増えている沖縄県では、病床使用率が5割に達し、現場の医師からは『医療体制が極めてひっ迫している』と報告されている」と述べました。

その上で「小児の診療現場では、RSウイルスやヘルパンギーナなどの患者も増えている。現時点で沖縄県以外の地域の医療体制はひっ迫していないと考えられるが、これらの感染症が新型コロナとともに拡大することでひっ迫が起きないよう注意する必要がある」と話しています。

そして「沖縄県以外でも急激な感染拡大が起こる可能性がある。蒸し暑くなる時期を迎えているが、感染リスクが高い場面でのマスクの着用や換気の徹底など基本的な感染対策を改めて思い出し行動してもらうことが大事だ。高齢者や基礎疾患がある人で、ワクチンを最後に接種してから4か月から半年が経過している人は追加接種を考えてほしい」と話しています。

松野官房長官「一定の感染拡大が生じる可能性」

松野官房長官は、午後の記者会見で「緩やかな増加傾向にあり、特に沖縄県など地域によっては感染拡大が見られ、引き続き感染状況を重層的に把握しつつ注視していく。過去の状況などを踏まえると、今後、夏の間に一定の感染拡大が生じる可能性がある。先手先手で必要な対応を行いつつ、急激な感染拡大による医療のひっ迫などが見込まれる場合には、感染対策の呼びかけを強化するなどの対応を行いたい」と述べました。

1医療機関当たりの平均患者数(都道府県別)

▼沖縄県は28.74人
▼鹿児島県は9.6人
▼千葉県は7.57人
▼愛知県は7.22人
▼埼玉県は7.02人
▼山梨県は6.44人
▼熊本県は6.38人
▼石川県は6.29人
▼佐賀県は6.28人
▼三重県は6.24人
▼福岡県は5.92人
▼神奈川県は5.91人
▼茨城県は5.89人
▼宮崎県は5.88人
▼東京都は5.85人
▼岐阜県は5.84人
▼北海道は5.71人
▼静岡県は5.56人
▼奈良県は5.4人
▼長崎県は5.14人
▼富山県は4.9人
▼宮城県は4.89人
▼新潟県は4.82人
▼岩手県は4.75人
▼京都府は4.67人
▼鳥取県は4.62人
▼大阪府は4.55人
▼和歌山県は4.45人
▼広島県は4.36人
▼山形県は4.14人
▼長野県は4.13人
▼大分県は4.0人
▼山口県は3.93人
▼愛媛県は3.89人
▼福井県は3.85人
▼滋賀県は3.78人
▼群馬県は3.77人
▼兵庫県は3.76人
▼徳島県は3.76人
▼福島県は3.76人
▼高知県は3.73人
▼香川県は3.47人
▼岡山県は3.45人
▼栃木県は3.42人
▼青森県は3.18人
▼島根県は2.95人
▼秋田県は2.81人