【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

キーウ市長「ロシア軍の無人機攻撃で犠牲者」

ウクライナの首都キーウのクリチコ市長は28日未明、SNSでロシア軍による無人機攻撃があり、撃墜した破片が落下するなどして1人が死亡し、1人が病院に搬送されたと発表しました。

ウクライナ空軍は、ロシア軍はイラン製の無人機を使って攻撃を仕掛けたとし、54機のうち52機を撃墜したとしています。

また、キーウ当局は、ロシア軍による首都への無人機攻撃は5月に入ってから14回目で、防空警報は5時間以上続き、首都への無人機攻撃としては最大規模だと指摘しました。その上で5月の最終日曜日のこの日は歴史的な街の記念日の「キーウの日」にあたることから、ロシア軍はこれに合わせて攻撃を仕掛けてきたとして非難しました。

一方、ウクライナに近いロシア南部クラスノダール地方の当局は、燃料貯蔵施設へ無人機による攻撃が仕掛けられたと28日、発表しました。無人機は撃墜され、被害はなかったということですが、この施設では今月上旬に攻撃を受け火災が発生していて、ウクライナの反転攻勢が焦点となる中、国境を接する地域への攻撃にロシア側は警戒を強めています。

キーウ近郊 住宅の再建進まず ボランティアが解体作業

キーウ近郊の地域では、去年2月から3月にかけて首都に迫るロシア軍とウクライナ軍との間で激しい戦闘となり、多くの住宅が破壊されました。1年以上たった今も壊れた住宅の解体や撤去は進んでおらず、家を失った人々の生活の再建が大きな課題となっています。

このうちキーウ近郊の村ホレンカでは27日、ウクライナの市民団体の呼びかけで、ボランティアおよそ50人が住宅の解体作業を行いました。

参加者の中にはアメリカやオーストラリアなどから来た人もいて、散乱したレンガを拾ったり一部だけ残った壁をハンマーで崩したりして、次々とがれきを運び出していました。

作業が行われた住宅で暮らしていたハンナ・コストワさんは、砲撃を受けた前日に避難していて無事でしたが、いまもキーウ市内の友人の家に身を寄せているということで「夫の子どものころの写真など全部焼けてしまいました。一刻も早く家族でここに戻りたいです」と話していました。

また、アメリカから来たボランティアの男性は「前線での攻撃などの映像はたくさん見ましたが、この活動でこうした住宅街でも大きな被害が出ていることがわかりました。少しでも役に立ちたいです」と話していました。

ザポリージャ原発「ロシア側がみずから攻撃準備」とウクライナ

ウクライナ国防省の情報総局は26日、ロシア軍が占拠を続けている南部のザポリージャ原子力発電所をめぐり「ロシア側が敷地をみずから攻撃した上で放射性物質が漏れたとしてウクライナ側に責任を負わせようと準備している」と発表しました。

具体的な根拠は示していませんが「国際社会が詳細な調査を行うよう挑発し、その間に部隊を再編成してウクライナの反転攻勢を阻止することをねらっている」としてロシア側の挑発行為を警戒しています。

領土の奪還を目指したウクライナの反転攻勢をめぐっては、ウクライナ軍のザルジニー総司令官が27日、SNSで「奪還するときがきた」とするメッセージを投稿したほか、ザポリージャ州ではウクライナ軍がすでに軍事作戦を進めているともみられています。

ロシアFSB「ウクライナ側の破壊工作で脅威強まる」

ウクライナと国境を接するロシア西部などで攻撃が相次いでいることについて、ロシアの治安機関FSB=連邦保安庁で国境警備を担う高官は27日に国営のタス通信が伝えたインタビューで「ウクライナ側の破壊工作などで脅威が強まっている」と主張しました。

そして去年2月以降、輸送や電力インフラなどに対する攻撃が2000件以上、記録されているとした上で、大統領の指示で対策の強化を講じていると強調し、プーチン政権が国境で相次ぐ攻撃に神経をとがらせていることをうかがわせています。

ドイツ国防省“ウクライナから巡航ミサイル供与求められる”

ドイツ国防省の報道担当者は27日、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナから、射程およそ500キロの巡航ミサイルの供与を求められていることを明らかにしました。

供与を求められているのはドイツ軍が保有する「タウルス」と呼ばれる空中から発射する巡航ミサイルです。報道担当者は要求に応じるかは明らかにしていません。

ウクライナに対しては、イギリスが射程が250キロ以上と長い高精度の巡航ミサイル「ストームシャドー」を供与しています。

ドイツは、ウクライナに主力戦車「レオパルト2」を供与するなど軍事支援を強化していますが、ショルツ首相は今月の記者会見で、巡航ミサイルを供与する用意があるか問われた際に明言を避けるなどしていて、ウクライナからの求めを慎重に検討するものとみられます。

ウクライナ情勢で仲介役 トルコで大統領選挙

ウクライナ情勢で仲介役を買って出るなど存在感を増す中東のトルコで、大統領選挙の決選投票が28日に行われます。

1回目の投票で過半数に迫る49.5%余りの得票だったエルドアン氏はロシアの軍事侵攻が続くウクライナからの農産物の輸出の合意をはじめ仲介外交の成果を誇るなど、首相時代も含めて20年にわたる政権運営の実績を訴えています。

これに対し、44.8%余りの得票だったクルチダルオール氏は通貨安や物価の高騰に伴うエルドアン政権の経済政策や強権的な政治手法などを批判し、政権交代を訴えています。

投票は現地時間の28日午前8時、日本時間の28日午後2時から行われ、即日開票されることになっていて、国際情勢にも影響を与えうる選挙の行方が注目されます。