【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“ウクライナで国籍取得を簡素化” プーチン氏 大統領令に署名

ロシアのプーチン大統領は11日、ウクライナ全域を対象に住民がロシアの国籍を取得しやすくするため、手続きを簡素化するとした大統領令に署名しました。

プーチン大統領はことし5月、ウクライナへの軍事侵攻によってロシアが掌握したとする南部のヘルソン州や、南東部のザポリージャ州の住民がロシアの国籍を取得しやすくするために、手続きを簡素化するとした大統領令に署名していましたが、今回、対象地域をウクライナ全域に拡大させた形です。

ロシアとしては、支配の既成事実化を強める「ロシア化」を一層、進めたいねらいがあるとみられます。

リトアニア ロシア~カリーニングラード 鉄道貨物輸送の制限強化

バルト3国の1つ、リトアニアが、ロシアと、その飛び地のカリーニングラードを結ぶ鉄道貨物輸送の制限を強化したとして、ロシア側は反発を強めています。

ロイター通信やロシアのメディアによりますと、リトアニアの税関当局は11日からロシアと、その飛び地のカリーニングラードを結ぶ鉄道貨物輸送の制限を強化し、新たな制限対象にコンクリートや、木材、アルコール製品なども加えたということです。

EU=ヨーロッパ連合のロシアに対する追加制裁に沿った措置だとしています。

一方、カリーニングラードのアリハノフ州知事は11日「リトアニアによる封鎖の対抗措置として、ロシアと、バルト3国との間での物資の移動を全面的に禁止することを提案する」と主張しました。

さらに、ロシア大統領府は11日、プーチン大統領が同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と電話で会談し「リトアニアによる違法な制限について話し合い、いくつか共同で対応することについて協議した」と発表し、ロシアとヨーロッパとの間で緊張が続いています。

ハルキウの州知事 “ロシア軍がショッピングモールなど攻撃”

ウクライナ東部、ハルキウの州知事は11日、SNSに「きょう、ロシア軍がハルキウ市内のショッピングモールや集合住宅などを攻撃した」と投稿し、この攻撃でこれまでに3人が死亡し、28人がけがをしたとしています。
この中では、ガラスや壁が大きく壊れた建物の写真が複数投稿されています。

ウクライナ副首相 南部と南東部の州に避難呼びかけ

ウクライナの国営通信はベレシチュク副首相が8日、地元テレビ局に出演し、ロシアが掌握したとしているウクライナ南部ヘルソン州と、南東部ザポリージャ州の住民に対し、できるだけ早く避難するよう呼びかけたと伝えました。

このなかでベレシチュク副首相は、ロシア軍から領土を奪還する方針を示し、「大きな戦いとなる」として、特に子どもがいる女性はヘルソン州とザポリージャ州に残ると、今後状況が悪化し危険にさらされるおそれがあると述べました。

ゼレンスキー大統領 “ミサイル攻撃 完全に故意の殺人”と非難

ウクライナ東部ドネツク州での集合住宅へのミサイル攻撃について、ウクライナのゼレンスキー大統領は、10日に公開した動画で「現在も救出活動が続いており、数十人ががれきの下にいて6人が救出された。現時点で死者のリストに15人の名前があるが、残念ながら最終的な数ではない」と述べ、さらに死者が増える可能性があるという認識を示しました。

また「このミサイル攻撃を指示し、一般の住宅地をねらうことは、完全に故意の殺人だ。このような攻撃のあとで、殺人者が『知らなかった』『理解していなかった』と言うことはできない」と非難しました。

そのうえで「ナチスの殺人犯は年老いたあとであっても世界中で捕らえられ、裁かれている。私たちはそれほど長く待ちたくはないが、すべてのロシアの殺人者にとって、罰は避けられない」と述べ、ロシア軍による戦争犯罪を徹底的に追及する考えを強調しました。

ドネツク州の集合住宅にミサイル攻撃 “少なくとも15人が死亡”

ロシア軍が完全掌握を目指すウクライナ東部ドネツク州では9日夜、ウクライナ側の拠点、クラマトルシクから30キロほど南東の町で、5階建ての集合住宅がミサイルで攻撃されました。

10日に撮影された映像では、救助隊ががれきの中から男性を発見し、引っ張り出す様子が確認できます。救出された男性は、担架に乗せられて運ばれていきました。

ウクライナの非常事態庁は、少なくとも15人が死亡、5人がけがをしたと明らかにし、地元のキリレンコ知事は「住民によると9歳の子どもを含む34人が住んでいた可能性が高い」と述べ、救出活動を続けていると説明しました。

また、ロシア国防省は10日、ドネツク州の別のウクライナ側の拠点、スロビャンシクも攻撃し、ウクライナ側の兵士を最大100人殺害したとしたうえでアメリカ製のりゅう弾砲の弾薬やロケット弾などを破壊したと発表しました。

スロビャンシクも攻撃と発表

ロシア国防省は10日、ドネツク州の別のウクライナ側の拠点、スロビャンシクも攻撃し、ウクライナ側の兵士を最大100人殺害したとしたうえでアメリカ製のりゅう弾砲の弾薬やロケット弾などを破壊したと発表しました。

イギリス国防省は10日「ロシア軍は、スロビャンシクに対して、北側に位置するハルキウ州のイジュームと、東側に位置するルハンシク州のリシチャンシクの双方から砲撃を続けている」と分析しています。

そして、ロシア軍がドネツク州とハルキウ州を結ぶ幹線道路を支配下に置くことを重視し、砲兵部隊がイジュームから攻撃を仕掛けていると指摘しています。