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3月5日のニュース

常磐線全線再開を前に避難指示一部解除 福島 大熊町

東日本大震災と福島第一原発の事故により運休が続いてきたJR常磐線が全線で運転を再開するのを前に、運休区間にある福島県大熊町の大野駅周辺などで5日午前0時、原発事故による避難指示が解除されました。

避難指示が解除されたのは、大熊町のJR大野駅周辺と県立大野病院の敷地、それに町役場などがある地区と駅を結ぶ道路の0.3平方キロメートルです。

いずれもこれまで放射線量が比較的高く、立ち入りが厳しく制限される帰還困難区域となっていましたが、除染を行い解除しました。大熊町での避難指示の解除は、去年4月に続き2回目です。

JR常磐線は、福島第一原発周辺の区間で運休が続いていますが、5日の大野駅を含め、今月10日までに3つの駅で避難指示が解除され、今月14日、9年ぶりに全線で運転を再開します。

このほか、帰還困難区域にある野上地区と下野上地区では避難指示は継続するものの、自由に立ち入ることができるようになりました。帰還困難区域での避難指示解除と立ち入り規制の緩和は、4日の双葉町に続いて2例目です。

大熊町は2年後の令和4年に、この2つの地区を含む「特定復興再生拠点区域」の8.6平方キロメートルで避難指示の解除を目指していて、住宅の整備や町内での学校の再開、原発の廃炉関係の産業集積を進めるとしています。

大熊町では午前0時の避難指示解除とともに帰還困難区域にあるJR大野駅への進入を規制していたバリケードが開かれ、パトカーに乗った警察官や地元の消防団が町内のパトロールに向かいました。

立ち入りが自由になったことで、深夜にもかかわらず、早速自宅を見に来たという夫婦や、避難指示の解除を祝いに来たという住民の姿もありました。

夫婦で広野町に避難しているという女性は「これまでは自分の家なのに自由に行けなかっただけに、行きたいときに行けて帰りたいときに帰れるようになって気持ちが清々する」と話していました。

また、常磐線の再開に向けて真新しくなった駅を見に避難先のいわき市から来たという54歳の男性は、「大熊の未来に向けて一歩進んだという気持ちはあるが、生活する人が帰ってきて初めて駅の意味があると思うので、1人でも多く戻れる環境整備をさらに進めてほしい」と話していました。

避難指示が解除された福島県大熊町の大野駅周辺の道路では5日朝6時すぎ、復興関係の作業員の車が行き交っていたほか、警察のパトカーや住民の乗った青色の回転灯をつけた車がパトロールを行っていました。

駅の建物は改修工事が終わり、常磐線の再開に向けた準備が整えられていて、県外から訪れた人が駅の写真を撮影していました。

避難指示の解除の対象となったのは駅の敷地とそこにつながる道路に限られ、震災前、町の中心市街地だった周辺の地区は依然、帰還困難区域に指定されています。帰還困難区域との境界には人が立ち入らないようところどころにバリケードが設置され、バリケードの奥は雑草が生い茂り、住宅の壁などに草が絡みついていました。

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