NEW2023年07月07日

なぜ?税収は過去最高でも借金増

昨年度・令和4年度の国の決算が発表され、税収が初めて70兆円を超えました。それでも国の借金は増え続けています。どうしてそんなことになってるの?財政を担当している横山太一記者、教えて!

税収が過去最高になったと聞いたけど?

財務省が今月3日に昨年度の決算を発表しました。

それによりますと昨年度の国の税収は、一般会計で71兆1374億円と前の年度よりも4兆995億円増えて、3年連続で過去最高を更新。

税収が70兆円を超えるのは初めてです。

横山記者
横山記者

どうして、そんなに増えたの?

「基幹3税」と呼ばれる税目ですべて増収となったことが要因です。

具体的には以下の通りです。

横山記者
横山記者

消費税は、コロナ禍から暮らし・経済の正常化が進む中で旅行や外食などサービス業を中心に消費が堅調に推移したことを反映しました。

さらに、世界的な物価高騰の影響で、輸入品の価格が上がったことも要因となりました。

消費税は、国内で消費されるモノやサービスにかかる税なので、輸入品も税関で消費税を課税されます。

横山記者
横山記者

法人税と所得税も増えているよね。

法人税は、経済活動の正常化に加えて円安の効果もあって大企業を中心に昨年度の業績が伸びたことが増収につながりました。

さらに、好調な企業業績を背景に、会社員のボーナスや給与が増えたほか、雇用環境も改善したことで所得税も前年度を大きく上回りました。

横山記者
横山記者

よく国の財政が厳しいというけれど、これだけ税収が増えたら少しは改善されたのかな?

そうでもないんです。

昨年度は新型コロナや物価高騰への対応として、当初予算とは別に2度の補正予算を編成しました。

その結果、一般会計の歳出は139兆円を超える水準に膨らみました。このうち62兆円を国債、つまり国の借金で賄う予定だったんです。

昨年度の決算では、税収が増えたことに加えて、139兆円のうち11兆3000億円が執行されずに「不用」となったことで、結果的に国債の発行を12兆円抑えることができました。

それでも昨年度は50兆円規模の新たな借金を背負ったことになります。

横山記者
横山記者

使わなかった金額が11兆円というのも気になりますね。余計な予算を組んでいたということ?

11兆円という不用の額は過去最大です。中でも最も多かったのが「予備費」です。

予備費は緊急の際に国会の審議を経ずに支出することが認められている経費です。

通常は災害や衆議院の解散総選挙に備えて5000億円程度を計上しますが、この数年、新型コロナへの対応のため数兆円規模での計上が続いています。

横山記者
横山記者

不用となった11兆円はもともとどんな用途を念頭に組まれていたの?

昨年度は、新型コロナや物価高騰対策の予備費のうち2兆7785億円が不用となったほか、ウクライナ情勢に備えた予備費については、第2次補正予算で計上した1兆円が全額不用となりました。

去年11月の第2次補正予算では、4兆7400億円の「予備費」が積み増されましたが、結果的には増額分の大半が使われなかった形です。

新型コロナやウクライナ情勢など緊急事態が生じていたとは言え、本当に必要だったのか問われることになりそうです。

横山記者
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