NEW2022年07月29日

au通信障害 KDDIの補償の行方は?

今月2日に発生したKDDIの大規模な通信障害。会社が28日、総務省に提出した報告書では、通話やデータ通信に影響が出た利用者の数が延べ3091万人以上にのぼり、過去最大規模の通信障害となりました。KDDIは29日、高橋誠社長が会見し、利用者への補償や再発防止策などについて説明しました。岡谷記者、詳しく教えて!!

まずは、気になる利用者への補償はどうなりましたか?

KDDI高橋誠社長会見(7月29日)

ひと言で言えば、auのユーザーなら、200円が返ってきます。

「おわび」の対象となるのは、au、UQモバイル、「ホームプラス電話」のすべての利用者です。

料金の請求額から減額するかたちで、200円(税抜)を返金するとしています。

なお、私も利用している「povo」の利用者は返金ではなく、1ギガバイト(3日間)が使えるようになります。

おわびの対象者は全体で3589万人にのぼります。

実際の返金対応は9月以降になる見通しです。

これとは別に、契約約款に沿った返金も行われます。

約款では、サービスをまったく利用できなかった状況が24時間以上続いた人が対象で、今回はauなどの音声通話のみのプランを利用している271万人です。

それぞれの契約しているプランを参考に、2日分の料金が返ってくることになります。

子会社の沖縄セルラー電話の利用者66万人にも同様の対応が行われ、こうした返金の総額は、2社で75億円になります。

岡谷記者
岡谷記者

影響を受けた利用者は、3000万人を超えるんですよね。

影響は、非常に広い範囲に及びました。

子会社の沖縄セルラー電話を含めて▼音声通話を利用しづらかった人がおよそ2316万人、▼データ通信を利用しづらかった人は775万人以上と推計されています。

延べ3091万人以上に影響が及びました。

過去にも大規模な通信障害は何度か起きていますが、延べ1290万人に影響がおよんだ去年10月のNTTドコモを大きく上回り、およそ3060万人が影響を受けた2018年のソフトバンクの通信障害と比べても、過去最大規模の通信障害となりました。

再発防止策もポイントです。

大規模な障害のきっかけは通信ネットワークの保守・管理のため、機器を交換した際に起きたトラブルでした。

音声通話を管理する設備に想定を超えるアクセスが集中し、「ふくそう(輻輳)」と呼ばれる状態となり、利用者の通信を制限せざるを得なくなったのです。

KDDIは▼設備にアクセスが急増したことをいち早く検知するシステムを開発するとともに▼こうした事態が発生した場合の復旧の手順を見直すことなどで、通信障害の影響が大きくなることを防ぎたいとしています。

岡谷記者
岡谷記者

利用者への情報提供も不十分だったという指摘があります。

こうした声に会社はどう対応しますか?

金子総務相会見(7月5日)

そうですね。

会社としては、まずは復旧に向けた作業を優先しましたが、復旧の見込みを公表したのは障害の発生から1日近くたった翌3日の午前1時。

さらに「復旧作業の終了」を公表したあとも音声通話などが利用しづらい状況が長時間続き、金子総務大臣は「利用者目線では、通信事業者としての責任を十分に果たしたとは言えない」と苦言を呈しました。

情報発信についても、会社のホームページやツイッターで行っていたものの、情報が十分に行き渡ったとは言いがたく、多くの利用者にいかにして情報を伝えるかも課題です。

高橋社長は、29日の会見で「情報発信のあり方は大きく見直さないといけない」と述べました。

そのうえで今後は、携帯電話の販売店で、電子看板などを活用したり、自社メディアのサイトや社外のメディアと連携して情報を発信したりして、状況に応じた媒体を活用できるようにしたいと説明しました。

また、高橋社長は、「『復旧』という言葉の定義を明確にして伝えることが大事だと考えている。関係するほかの事業者とも議論したうえで、対応していきたい」と述べました。

復旧作業が終わっても、実際に通信障害が解消されるには、ネットワークの安全性を確認する必要がありましたが、復旧ということばが1人歩きしてしまったとして、対応の難しさを振り返りました。

岡谷記者
岡谷記者

いずれにしても二度とこうした通信障害を起こして欲しくないですね。

利用者のことを考えると、そのとおりですね。

通信障害を未然に防ぐ努力はもちろん、万一、起きてしまったときに、影響をいかに最小化するかが、KDDIのみならず、業界全体の課題です。

総務省は、ある通信会社で通信障害などが発生した場合、一時的に他社の通信網を利用できる「ローミング」の導入について検討を進めるとしています。

これについて、高橋社長は「積極的に実現したいと思っている」と述べ、ほかの携帯大手や総務省などと議論をしながら実現を目指す考えを示しました。

通信インフラは私たちの暮らしや経済にかかわる重要な基幹インフラです。

それだけに災害時や障害が起きた時にも緊急通報がつながる仕組みをどう作り上げていくかなど、国や業界をあげて、取り組むことが求められます。

岡谷記者
岡谷記者