NEW2019年08月27日

TICADって何?

「TICAD」って、ご存じですか?読み方は「ティカッド」。頭文字の「T」は Tokyo のTですが、日本から離れたアフリカに関係のある話のようなんです。「最後の成長市場」とも呼ばれるアフリカと Tokyo の間にどんな関係が?経済部で貿易分野の取材を担当している池川陽介記者に聞いてみました。

「TICAD」って、最近ニュースでも耳にしますが、何のことなんですか?

池川記者

「TICAD」は「Tokyo International Conference on African Development」の略。日本語で「アフリカ開発会議」といいます。アフリカの開発をテーマに1993年に日本が立ち上げた首脳級の国際会議で、第1回が東京で開かれたことから「トウキョウ」と冠しています。

この会議、国連や世界銀行などとの共同で、2013年まで5年おきに日本で開かれていましたが、アフリカに対する注目が高まっていることを受けて、前回2016年の会議から3年おきに開催されることになりました。

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さらに前回は初めてのアフリカ開催としてケニアで開かれ、アフリカ53か国から1万1000人以上が参加しました。

そしてことしは、今月28日から横浜市で開かれます。

回を重ねるごとに世界の期待が高まっているようですね。

池川記者

そうですね。アフリカは人口の増加に伴う経済成長が見込まれて「最後の成長市場」とも呼ばれ、市場の拡大に注目が集まっています。

国連の推計では、アフリカの人口は現在およそ13億人。これが2050年にはおよそ25億人に倍増し、なんと世界の4人に1人が計算上は「アフリカ人」になるというんです。

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アフリカでは今、スマホや電子マネーを使った決済が急速に普及しています。こうした新しい技術を活用したビジネスが、物流や医療、金融、農業など幅広い分野で次々と生まれていて、こうした動きに乗り遅れまいと、欧米やアジアなど世界がアフリカ市場をねらっているんです。

アフリカ市場に日本はどう臨んでいるんですか?

池川記者

日本のアフリカに対するスタンスはこれまで「援助」に軸足を置いたものが中心でした。しかし最近では民間企業を中心に「投資」の動きも広がっています。日本政府は3年前のTICADで、3年間で官民合わせて300億ドル規模の投資をする目標を掲げ、民間投資を後押ししてきました。この結果、アフリカに進出する日系企業の数は増加傾向が続き、ビジネスの足場は増えつつあるんです。

とはいえ、日本からの「投資額」をみると、実はこの10年、ほぼ横ばいで、アフリカ投資に積極的な欧米や中国と比べて、大きく後れを取っているのが実情です。日本企業の海外投資や貿易を支援するジェトロ=日本貿易振興機構によりますと、アフリカでのビジネスに治安やコストなどさまざまなリスクを懸念して慎重になっている企業がまだ多いのではないかということです。

うーん、諸外国に遅れを取るのは残念ですね。今回のTICADの注目点はなんですか?

池川記者

今回の会議で、日本政府は、アフリカの経済成長を一層加速させるため、成長の基盤となるインフラ整備や人材育成などで、官民挙げて協力を打ち出したい考えです。

またジェトロは、TICADが始まる28日から、日本の民間企業がアフリカの関係者にみずからの製品やサービスをアピールする「ジャパン・フェア」を開きます。大企業から中小企業まで150以上の企業が参加し、ドローンや人工衛星など、最新の技術を活用したビジネスのアフリカ展開を計画している中小企業もあるということです。

他国に後れを取っているアフリカでの存在感を日本が取り戻すきっかけにできるよう、有意義な機会にしてほしいと思います。