NEW2019年08月09日

その靴、本当にぴったりですか?

「自分の足のサイズだと思って履いてみたら靴ずれして痛い…」。
こんな経験、ありませんか?

仕事や就活でヒールやパンプスを強制されるのはおかしいと訴える「#KuToo」の動きも話題になり、靴をめぐる悩みはつきません。そんな中、靴を買う前に足の形や大きさを詳しく調べて、一人一人のニーズにあった靴を提案しようという動きが衣料品チェーンなどで始まっているようなんです。

靴選びの最新事情を経済部でアパレル業界の取材を担当している白石明大記者に聞いてみました。

靴を買う時って、大まかなサイズと、あとは試し履きの感触で選びがちですが、一人一人の足にあった靴って、具体的にどう見つけるんですか?

白石記者

最新の技術で足を3D計測するというサービスが始まっているんです。まだ経験していない人も多いですよね。

衣料品チェーンのジーユーが今月12日まで東京・原宿の店舗で、足を自動的に3Dで計測するコーナーを設けていて、先日、私もさっそく計測に行ってみました。

設置された3D計測機の中に素足を入れます。待つこと、およそ1分。私の足を立体的に計測した画像と、「足長」やかかとの幅など9項目が数字で示されました。

足長とは、つま先からかかとまでの長さのこと。私の場合、右足が25.4センチ、左足が25.3センチで、左右の差はごくわずかでした。
一方で足幅は左足が99.8ミリ、右足は104.5ミリで、およそ4ミリの差がありました。

測定の専門家からは「左右の幅が4ミリ違うと靴のサイズを既製のものでぴったりとあわせるのはちょっと難しいかもしませんね」と言われてしまいました。自分でもびっくりです。

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足って左右でそんなに違うんですね。しかし、こうした3D計測のサービスをわざわざ導入するのはなぜなんですか?

白石記者

ジーユーの場合、客から「なかなか自分にあった靴が見つからない」という声が多く寄せられていたそうです。

市場調査では特に女性用の革靴で、使用頻度が高いのに、履き心地がよくて手頃な価格の商品が少ないという不満が多かったとのこと。働く女性が増える中で、おしゃれだけど長時間履いても疲れない靴のニーズが高いということがわかったとしています。

特に女性にヒールやパンプスの着用を強制しないでと訴える「#KuToo」というハッシュダグがネット上でも共感を集めるなど、自分に合わない靴を履きたくないというニーズが社会の中でも特に大きくなってきていることも背景にあると思います。

ジーユーは、およそ100種類ある商品の中から、3D計測でその人にあった靴を選びやすくし、売り上げアップにつなげようとしているんです。足の形のデータを集めてより機能性が高くてぴったりフィットする靴の開発につなげる狙いもあります。

消費者にとっても新しい靴の選び方になりそうですね。こうした動きは広がりそうなんですか。

白石記者

「靴の悩みに丁寧に対応する」動きは、業界のトレンドになっているようですよ。

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大手デパートの三越伊勢丹は、旗艦店の伊勢丹新宿店で今月末、婦人靴売り場を7年ぶりにリニューアルするんですが、その目玉は、やはり3D計測機なんです。客の足のデータと伊勢丹が持つ既製品のデータを照合し、より快適に履ける靴を提案することで、このところ伸びているネット通販との差別化を図ろうとしています。

また、国内最大級の衣料品通販サイトを運営する「ZOZO」は、自宅で専用のマットに足を乗せた状態で、足の周囲をスマホのカメラで撮影し、画面に足の形が3Dで表示されるシステムを開発。今後ネット通販でも、足にぴったりのサイズの靴を注文できるようにしたいとしています。

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「身につけるもの全てが自分だけのサイズ」という時代がもうそこまで来ているかもしれませんね。

白石記者

そうですね。自分にぴったりのサイズの靴を履きたいというニーズは、これまでにもあったと思いますが、オーダーメイドではどうしても時間がかかるし、価格も高価になります。

テクノロジーを活用して、消費者がより快適で手軽に、自分の体にぴったりあった商品を選べるようになれば、買い物の仕方や各社のビジネスも様変わりしてくるかもしれませんね。