NEW2018年04月17日

学生から いきなりコンビニオーナー!?

「きみ、コンビニのオーナーにならない?」
大手コンビニチェーンが学生に呼びかけたのは、アルバイトの募集ではありません。フランチャイズで店舗を運営する「オーナー」の募集です。

コンビニは大手の看板を掲げてはいても、実際の店の経営はそれぞれのオーナーが担っています。これまでは、酒店や食料品店の経営者が店舗を衣がえすることなどでオーナーの担い手となってきましたが、学生をいきなりオーナーにしようとは、いったい何が起きているのでしょうか?

コンビニって過当競争とは言われているけど、決してもうからない業界ではないはず。それなのにオーナーが足りないって、どういうこと?

大きな理由は、後継者不足よ。日本でコンビニが展開し始めて40年以上たっているんだけど、初期にオーナーになった人は高齢になってくるよね。次々に代替わりの時期を迎えているのだけれど、後継ぎが見つからない店がも多いのよ。それで、新たなオーナーの担い手を探そうにも、コンビニチェーンどうしで取り合いになるだけではなく、フランチャイズ運営しているほかの小売り業態との間でも人材の取り合いになっているらしいわ。

他の業態って?

例えばハンバーガーとかがわかりやすいところだけど、それだけじゃないの。毎年、都内でフランチャイズの本部が集まってオーナーを募集するイベントが開かれているんだけど、ことしの参加企業数はおよそ230社にのぼり、この10年で最多になったそうよ。業態は外食のほか、ペット向けサービスとか、エステティック関連とか、とにかく幅広いんだって。

「ー国ー城の主」であるオーナーになりたいと脱サラする人は多いけど、最近ではそうした人材を、さまざまな業態で奪い合っているというのが実情だそうよ。そこで、大手コンビニの「ローソン」がターゲットにしたのが新卒の学生というわけ。新卒でオーナーになれば最長で50年ほどは店を任せられるし、若いうちからコンビニ経営の経験を積んでもらって、将来は複数の店舗を展開する人材になってもらうのが狙いなんだって。

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でも、学生からいきなり経営者って、大丈夫なの?

さすがに、大学卒業後すぐにオーナーになるわけではない。ローソンの場合だと、最初は契約社員として、実際の店舗で働きながら、レジ打ちや商品の発注など基本業務から、アルバイトの採用やお金の管理など経営のノウハウまで学ぶ。そして、1年以内にオーナーとして独立するんだけど、店舗や土地はローソン本部が用意して貸してくれる仕組み。

開店資金も本部から100万円出してもらえるそうで、会社によると最初の3か月程度の生活費と、お店で使う釣り銭を用意すれば、オーナーとして店舗運営をスタートできるんだって。大きな金銭的な負担がなくても、オーナー業を始められるよう配慮しているということ。

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コンビニでオーナー不足だとすれば、フランチャイズ方式でやってるいろんな業種でも同じようなことが表面化するんじゃないかな?

そうね。すでにファストフードのモスバーガーでは、この春からオーナーに育成する前提で、契約社員を採用する制度を始めてる。モスでは、オーナーの平均年齢が59歳になっているそうで、後継者問題も見据えて、30代や40代を中心に若い世代の採用を狙っているようね。

新卒の学生というと、企業への就職をまず考えてしまうけど、これからはフランチャイズのオーナーという選択肢も増えてくるかもしれませんね。

コンビニは全国で5万5000店を超えて、飽和状態とも言われるけど、まだまだ数は増えていくとみられている。一方で、人手不足が深刻化しているから店のアルバイトを採用するのも大変で、業種を問わずオーナーの負担は増えているわ。昔はコンビニでもオーナーになりたい人を探さなくても向こうから来てくれるほどだったというけど、今は奪い合う時代になっているから、本部がしっかり育成して確保しようという動きはこれからも広がっていきそうね。