NEW2018年03月14日

春闘 あの会社の回答は?

ことしの春闘は14日、経営側が労働組合に一斉に回答を示す集中回答日を迎えました。政府や経団連が3%の賃上げを実現するよう異例の要請を行うなか、多くの大手企業で去年の水準を上回る回答が相次ぎました。各社の回答状況です。

春闘 回答状況

ベースアップ

前年比

トヨタ自動車

1300円超

ホンダ

1700円

日産自動車

3000円

スズキ

2400円

マツダ

1400円

SUBARU

1300円

三菱自動車

1500円

新日鉄住金

3000円(2年計)

JFEスチール

3000円(2年計)

神戸製鋼所

3000円(2年計)

東レ

1900円

日立製作所

1500円

パナソニック

1500円

東芝

1500円

富士通

1500円

三菱電機

1500円

NEC

1500円

村田製作所

1500円

明電舎

1500円

パイオニア

1500円

シャープ

金額回答せず

IHI

1500円

富士電機

1500円

沖電気

1500円

安川電機

1500円

サッポロビール

2000円

ことしの春闘では、政府の要請を受けた経団連が、初めて賃上げの数値目標を掲げましたが、3%という目標は達成できたんですか?

月給ベースの賃上げ率が3%を上回ったとする企業は、この表の中では、トヨタ自動車だけ。かなり少数派ね。経団連によると、大手企業の賃上げ率が平均で3%を超えたのは、今から24年前の平成6年が最後。それ以来、一度もクリアしたことがないほど、高いハードルなの。

さすがトヨタと言いたいところだけど、これには少し説明が必要ね。賃上げ率は通常、正社員のベースアップと定期昇給で示すんだけど、トヨタの場合は、今回、正社員だけでなく、期間従業員やパートなども含めたすべての組合員を対象にしている。さらに、期間従業員の家族手当や工場の夜勤への手当なども含めているの。この点は、考慮しなければいけないわね。

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でも、ほとんどの企業が、3%には達しないものの、去年の水準を上回る賃上げを回答したわけですよね。その理由は何ですか?

企業によって理由はさまざまだけど、3%という高い目標が大手企業にとってプレッシャーになった面は否定できないと思うわ。

春闘の交渉は、会社の経営側と労働組合が話し合う一方で、同業他社などがどうするか、ということも重要な関心事。今回は3%の目標に対し、各社がどこまで取り組むかがテーマになったわけね。それに、最近は人手不足が深刻化し、優秀な人材をどう確保するかが多くの会社の共通の課題。賃金の面でほかの会社と差がつくのは避けたいという事情もある。そういうなかで、「横にらみ」もしながら交渉を進めた結果、月給ベースでは3%という目標には届かないけど、去年の水準は上回る形にしたい、というのが1つの相場となったという見方もある。

いずれにしても、こうした大手企業の賃上げの動きが、これから本格化する中小企業の交渉にも影響を与えそうね。

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