天皇と上皇 明治以降では初めて同時に存在
日本は、近代で初めて、天皇と上皇が同時に存在する時代を迎えました。
皇位の継承は明治22年(1889)に制定された旧皇室典範で天皇が崩御した時に限られ、その規定が今の皇室典範にも引き継がれています。
平成28年(2016)の上皇さまのお気持ちの表明は、高齢による体力の低下で象徴の務めを十分に果たせなくなる懸念を率直に語られたもので、高齢化社会における象徴天皇のあり方を広く国民に問いかけることになりました。
これを受けて、国と国民統合の象徴と位置づけられてきた天皇のあり方や皇室制度に対する関心が高まり、幅広い議論が行われました。
その結果、平成29年(2017)、天皇陛下の退位に向けた特例法が成立し、退位後の称号を「上皇」とすることのほか、再び天皇に即位できないことなどが定められました。特例法の制定は、近代の皇室の姿が形づくられた明治以降で、最大の皇室制度の改革となりました。
天皇の退位によって皇位が継承されるのは200年余り前、江戸時代後期の1817年に光格天皇(こうかく)が退位して以来のことで、明治以降の近代日本で初めて天皇と上皇が同時に存在する時代が訪れます。