新型コロナ 世界からの報告
北朝鮮 新型コロナ公表から1週間
発熱者の累計は人口の約8%に

2022年5月19日

北朝鮮が、新型コロナウイルスの感染者を初めて確認したと明らかにしてから5月19日で1週間です。北朝鮮指導部は、徹底した都市封鎖や人海戦術で感染の封じ込めを目指していますが、発熱者の累計が200万人近くと、人口のおよそ8%に達していて、ワクチンの提供を拒む中で、さらなる感染拡大が懸念されています。

北朝鮮は5月12日、新型コロナウイルスのオミクロン株が国内に流入して、初めての感染者が確認されたと明らかにしました。

それから1週間となった5月19日の発表によりますと、5月18日午後6時までの一日で新たに26万2000人余りに発熱の症状が確認され、1人が死亡したということです。

1日当たりの発熱者は、5月17日まで2日連続で減少傾向でしたが、再び増加に転じた形です。

また、4月下旬以降の発熱者の累計は197万8000人余りと、人口のおよそ8%に達しています。

こうした中、キム・ジョンウン(金正恩)総書記は「建国以来の大動乱と言える」として、強い危機感を示し、感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を進める中国にならって、すべての市や郡などを封鎖しています。

さらに、3000人近くの軍医らが首都ピョンヤン(平壌)の数百か所の薬局に派遣され、24時間態勢で医薬品を供給するとともに、医師や医科大学の学生ら140万人以上が検査や治療に動員されるなど、人海戦術で感染の封じ込めを目指しています。

しかし、北朝鮮は医療体制がぜい弱だと言われ、5月19日付けの朝鮮労働党機関紙も「われわれには先進的な医療施設が不足し、保健分野が十分に発展していない」と認めています。

加えて、北朝鮮指導部が国外からのワクチンの提供を拒んでいる中で、韓国の情報機関は、感染のピークが5月末から6月初めになるという見方を示していて、さらなる感染拡大が懸念されています。

韓国の民間団体 北朝鮮に支援の受け入れを呼びかけ

北朝鮮への支援を行っている韓国の複数の民間団体が5月19日、ソウルで記者会見し、検査キットや医薬品、それに医療従事者の防護服など、総額で1000万ドル、日本円でおよそ12億9000万円規模の支援を行う準備を進めていると明らかにしました。

北朝鮮への支援をめぐっては、韓国政府が実務者協議の提案を盛り込んだ通知文を送ることを北朝鮮側に打診しましたが、北朝鮮はこれまでのところ、通知文を受け取るかどうかの意思を明らかにしていません。

記者会見した団体の代表の1人は「南北が一緒になって、この困難を乗り越えなければならない。北は固く閉ざした門を開くべきだ」と述べ、速やかに支援を受け入れるよう呼びかけました。