新型コロナ 世界からの報告
北朝鮮 新たに約27万人発熱症状
中国から輸送機で医薬品搬入か

2022年5月17日

新型コロナウイルスによるとみられる発熱者が相次いでいる北朝鮮では、新たに27万人近くに発熱の症状が確認され、軍を投入して24時間態勢での医薬品の供給が始まりました。一方、北朝鮮の輸送機3機が5月16日、隣国の中国から医薬品を搬入したとみられることが分かりました。

北朝鮮では5月16日午後6時までの一日で、新たに26万9500人余りに発熱の症状が確認され、4月下旬以降の累計は148万3000人余りに上っていて、新型コロナウイルスによるとみられる発熱者が相次いでいます。

5月17日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の特別命令を受けて、首都ピョンヤンに投入される軍医らが5月16日、決起集会を行ったあと、市内のすべての薬局に展開して24時間態勢での医薬品の供給を開始したと伝えました。

一方、消息筋がNHKの取材に対し明らかにしたところによりますと、北朝鮮国営のコリョ(高麗)航空のイリューシン76型輸送機3機が5月16日午前、中国東北部・瀋陽の空港に着陸し、その日の午後に北朝鮮へ戻ったことが確認され、中国から医薬品を搬入したとみられるということです。

イリューシン76型輸送機は、かつてキム総書記が米朝首脳会談に出席した際などに専用車を運ぶのにも使われました。

キム総書記は感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を進める中国を見習うよう指示していて、北朝鮮の医療体制がぜい弱で医薬品が不足していると言われる中、後ろ盾の中国の支援を仰いだとみられます。

ただWHO=世界保健機関は5月16日の声明で、北朝鮮では新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まっていないとして「早急に適切な対策を講じなければウイルスが急速に広がるおそれがある」と懸念を示しています。