新型コロナ 世界からの報告
中国 新型コロナ
PCR検査の陰性証明 提示求めないことを発表

2022年12月8日

中国政府は12月7日、新型コロナウイルスの感染対策を「さらに適正化する」として、これまで多くの場所で提示を義務づけてきたPCR検査の陰性証明を求めないなどと発表しました。これを受けて、国内の駅や空港では出張に向かうビジネス客などで混雑する様子がみられました。

中国政府は12月7日、これまで多くの場所で提示を義務づけてきたPCR検査の陰性証明を求めないことや、省や自治区をまたいで移動する際にも陰性証明を不要とすることなどを、新たに発表しました。

これを受けて、高速鉄道が発着する首都 北京の駅では、スーツケースなどの荷物を抱えたビジネス客や帰省する出稼ぎ労働者などで混雑する様子がみられました。

これから出張先に向かうという男性は、「私の仕事は頻繁に出張に行く必要があるので、今回の緩和で便利になります。自分で感染対策を徹底すれば心配する必要はありません」と話していました。

ふるさとの内陸部 安徽省に帰省するという出稼ぎ労働者の男性は、「高速鉄道の中は人が多いので、マスクを二重にしてきました。感染すれば大変なので心配しています」と話していました。

一方、連日長い列ができていたPCR検査場を訪れる人は、これまでよりも大幅に少なくなりました。

ただ、医療機関や学校などではPCR検査の陰性証明が必要とされているほか、北京では、飲食店の店内で飲食したりスポーツジムを利用したりする場合には48時間以内に受けたPCR検査の陰性証明が求められることから、検査を受ける人の姿もみられました。

飲食店で働いているという男性は「私の店では1日に1回、PCR検査を受けなければならず、不便です」と話していました。

中国政府としては、11月下旬に起きた「ゼロコロナ」政策への抗議活動を受けて対策を緩和した形ですが、感染者数の高止まりが続くなか、感染拡大への懸念も強まっています。

入国者の隔離義務は変更せず

一方、中国政府は入国者に対し、航空機が出発する時刻の48時間以内にPCR検査を1回受けて陰性を証明するほか、ホテルや自宅などで合わせて8日間の隔離を義務づけていますが、今回は変更しませんでした。

これについて保健当局の担当者は12月7日の記者会見で「今回は主に国内の見直しで、水際対策については法律や規則にしたがって、さらに適正化を進めていく」と述べ、具体的な緩和の見通しは示しませんでした。

上海 ディズニーランドは大勢の人

11月25日に再開したあと、感染対策で再び閉園していた上海のディズニーランドは8日から営業を再開し、早速、午前中から若者や家族連れなど大勢の人が訪れていました。

赤ちゃんを連れて訪れた20代の女性は「来園できてとてもうれしいです。11月は来ることができず、とてもがっかりしていました」と述べ、再開を喜んでいました。

また、30代の女性は「うれしいですが、自分とみんなの安全のためにマスクをつけるなど、注意して出かける必要があると思います」と話していました。

上海では12月6日から商業施設やオフィスビルなどで、PCR検査の陰性証明の提示は不要になっていますが、建物に入るときには、スマートフォンで入り口に掲示されているQRコードを読み込んで、訪問記録を残すよう引き続き求められています。

市内中心部にあるショッピングセンターや食品販売店が並ぶ通りでは、12月8日も店の入り口で、従業員が客のスマートフォンをのぞき込み、訪問記録を登録しているか確認する様子が見られました。

市民からは感染対策の緩和について前向きに受け止める声が大きく聞かれ、このうち70代の女性は「ずっと家に閉じこもっているのはよくありません。外に出て国のために、ものを買って消費活動をしましょう」と、話していました。

上海市は12月8日の発表で、12月9日からは飲食店などでも陰性証明の提示は求めないとしています。

松野官房長官「影響について引き続き注視」

松野官房長官は、午後の記者会見で「中国の防疫措置が中国経済や市民活動などに与える影響について引き続き注視していく。また、在留邦人の具体的な状況を踏まえながら、中国側とのやり取りを含め、引き続き邦人保護と日系企業の活動支援に万全を期していく」と述べました。