新型コロナ 世界からの報告
中国 大規模抗議活動
大学はオンライン授業に 政府は学生警戒

2022年11月30日

「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動が起きた中国の大学では、授業をオンラインに切り替えたり、冬休みを早めたりする動きが広がり、政府や大学当局が学生の抗議活動に神経をとがらせているとみられます。

首都・北京や上海などで起きた「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動には、学生を中心に多くの若者も参加し中国共産党を批判するなどしたことから、政府は大勢の警察官を動員し新たな抗議活動を抑え込んでいます。

一方で、中国では新型コロナウイルスの感染拡大が続き、11月29日は合わせておよそ3万6000人の感染者が新たに確認され、このうち北京ではおよそ4500人と過去最多を更新しました。

こうした状況を受けて、北京や南部・広州などの大学では感染対策を理由に授業や試験をオンラインに切り替えたり、冬休みを早めて学生を帰省させたりする動きが広がり、政府や大学当局は学生が抗議活動に参加しないよう神経をとがらせているとみられます。

また、国営の新華社通信は11月29日、共産党で警察や司法部門を統括する「中央政法委員会」が、会議で「敵対勢力の破壊活動や社会秩序を乱す違法な犯罪行為を法に基づき断固取り締まる」とする方針を確認したと伝えました。

習近平指導部としては、共産党の一党支配体制や習主席の批判につながる動きを徹底的に抑え込む方針を改めて示した形です。

松野官房長官「引き続き邦人保護に万全期す」

松野官房長官は午後の記者会見で、「現時点までに今回のデモの関連で、在留邦人や日本企業に危害が及んでいるとの報告は受けていない。政府としては、在外公館も含め、関連の情報収集・分析に努めるとともに、引き続き、邦人保護に万全を期していく」と述べました。

中国で拘束された男性「当局の対応や弾圧強まるのでは」

中国の北京で拘束されたあと「スパイ活動に関わった」として、懲役6年などの判決を言い渡され、10月刑期を終えて帰国した民間の日中交流団体「日中青年交流協会」の鈴木英司さんが11月30日、都内で会見しました。

この中で、鈴木さんは「裁判は非公開で証人申請はすべて却下された」などと述べ、みずからに対する中国の裁判所の判決は不当だったと改めて訴えました。

また、中国の北京や上海など各地で、「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動が起きたことについて、「中国は文化大革命や天安門事件を経験しているので、大衆運動には非常に敏感だ。今回は『習近平打倒』というような要求もあり、特に敏感になっているので、今後、当局の対応や弾圧がもっと強まるのではないか」と述べました。

その背景として、「中国共産党が危機感を持っているのは、人々が豊かになることで価値観が変わり、表現の自由や精神の自由など、さまざまな自由を求めるようになることだ」と指摘しました。