新型コロナ 世界からの報告
中国で感染拡大 2日連続で最多更新
経済に追い打ち懸念強まる

2022年11月25日

中国では、新型コロナウイルスの感染者が2日連続で過去最多を更新するなど感染の拡大が続いています。習近平指導部が厳しい行動制限などを伴う「ゼロコロナ」政策を掲げる中、停滞する経済に、さらに追い打ちをかける懸念が強まっています。

中国政府によりますと、国内では24日、すべての省や自治区などで、新型コロナウイルスの感染者が、合わせておよそ3万2000人確認されました。23日に続き、2日連続で過去最多を更新し、感染の拡大が続いています。

このうち首都 北京では、当局が企業に在宅勤務を求めるなど対策が強化されていて、中心部の朝陽区にあるオフィス街は、平日にもかかわらず人や車の往来はまばらで、ひっそりとしています。

また、飲食店は店内での飲食の提供をとりやめていて、30代の女性の経営者は「この1か月は何もできず収入もなくなりました。影響はとても大きく、店じまいして別の仕事に変えるかどうか考えています」と話していました。

習近平指導部は、厳しい行動制限などを伴う「ゼロコロナ」政策の継続を掲げていて、野村ホールディングスの香港にある現地法人の調査によりますと、地区の封鎖など、何らかの措置を行っている国内の都市は、11月21日の時点で合わせて48に上ります。

これらの都市の経済規模を合わせると、中国のGDP=国内総生産のおよそ40%に及ぶということで、停滞する経済に、さらに追い打ちをかける懸念が強まっています。

北京 集合住宅やオフィスビル 一時的に封鎖する措置も

首都 北京では、24日の感染者が1800人余りと、4日連続で1000人を上回り、過去最多となっています。このため、感染のリスクがあるとされる集合住宅やオフィスビルなどを、一時的に封鎖する措置が次々にとられています。

このうち、朝陽区にある集合住宅の1つでは、感染対策をとる必要があるとして現地時間の25日正午から住民の出入りが急きょ禁止されました。

集合住宅が閉鎖される前には、大勢の住民が近くのスーパーを訪れ、野菜や飲料水、インスタント食品などを次々に買い求めていました。

北京 大型施設が隔離施設に改造

首都・北京では、ことしの開催が中止された世界最大規模の新車の展示会、「北京モーターショー」の会場となるはずだった郊外にある大型施設が、臨時の隔離施設に改造されています。

入り口では白い防護服を着た人たちが車の出入りを監視していて、隔離された人たちに届けられたとみられる宅配の荷物の段ボールなどが山積みになっていました。

施設の周りには高い壁が設けられていて、中の様子をうかがい知ることはできませんが、中国のSNSでは、今回の感染拡大を受けて収容が始まっていると伝えられています。

北京では同じような施設がほかにも建設されていて、当局が感染のさらなる拡大に備えているものとみられます。

松野官房長官「経済活動にも影響 中国国内の動向を注視」

松野官房長官は午後の記者会見で「中国では、新型コロナへの対応として、当局が厳しい防疫措置を実施してきており、市民生活や経済活動にも影響が出ている。こうした状況を受けて、日本政府としても現地の日本大使館や総領事館を通じて、邦人援護や日本企業の活動に対する支援を行ってきている」と述べました。

そして「中国経済の動向は、わが国や世界の経済に大きな影響を与えるものであり、こうした状況が、中国経済や国際的なサプライチェーンに与える影響も含め、中国国内の動向について関心を持って注視していく」と述べました。