新型コロナ 世界からの報告
武漢封鎖から3年 家族失った男性
「政府は命を軽視し続けた」

2023年1月23日

新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国の武漢で都市の封鎖が始まった日から1月23日で3年です。中国では「ゼロコロナ」政策が終了しましたが、これまでの感染対策に人々の不満がくすぶるなか、経済の低迷にも直面し、習近平指導部は今後、難しいかじ取りが続くことになりそうです。

新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した湖北省の武漢では3年前の2020年1月23日からおよそ2か月半にわたり、都市の封鎖が行われ、その後、中国政府は、感染拡大を防ぐためとして厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策を続けましたが、2023年1月に終了させました。

「ゼロコロナ」政策の影響などで経済は停滞し、雇用環境も悪化して都市部の若者層の失業率は2022年7月時点で19.9%と過去最悪の水準です。

こうした中、2022年11月、中国各地で一斉に「ゼロコロナ」政策に対する極めて異例な抗議活動が行われましたが、中国の人権活動を支援するウェブサイト、「維権網」などは最近になって当局が、北京での抗議活動の参加者を相次いで拘束したなどと伝え、神経をとがらせていることがうかがえます。

習近平指導部はさらなる不満の高まりにつながりかねない経済の低迷にも直面し、今後、難しいかじ取りが続くことになりそうです。

父親亡くした男性「政府は命を軽視し続けた」

湖北省の武漢が封鎖された3年前、父親が新型コロナウイルスに感染し、死亡したのは、ウイルスの危険性について、当局が情報を隠蔽したのが原因だと武漢市当局の対応を批判してきた張海さんが取材に応じました。

この3年間について張さんは「政府は、自分たちの『犯罪行為』を認めたことはない。政府は、武漢封鎖以降も極端な封鎖で、数々の悲劇をもたらした。私が感じることは政府は、普通の人たちの命を軽視し続けてきたということだ。『人民至上、生命至上』といいますが、真っ赤なうそでしかない」などと話し中国政府の対応を批判しました。