新型コロナ 世界からの報告
中国 入国者隔離措置の撤廃に期待の声
日本の水際措置に懸念も

2022年12月27日

中国政府が新型コロナウイルスの水際対策を見直し、入国後の隔離措置を撤廃すると発表したことについて、現地の日系企業の間では出張などで往来がしやすくなるとの期待が広がっています。一方で12月27日、岸田総理大臣が緊急の水際措置を発表したことで、今後の影響を懸念する声も出ています。

中国政府は12月26日夜、日本人を含むすべての入国者に義務づけていた新型コロナイウルスの隔離措置を1月8日から撤廃すると発表しました。

厳しい隔離措置について現地の日系企業の間では、出張や赴任など人の往来が停滞してビジネスの妨げになっているとの声が上がっていました。

中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会の池添洋一会長は、隔離措置の撤廃について「駐在員の往来が自由になるほか、日本の本社で権限を持つ人が隔離なしで入れるようになり、取り引き先と対面で商談を重ねることでビジネスがスムーズになる」と述べ、期待感を示しました。

一方、中国各地では新型コロナの感染が急拡大しています。

岸田総理大臣は12月27日午後、中国からの入国者を対象に入国時の検査を実施することを明らかにしました。

日系企業の間では日本への帰国時の検査など、今後の往来への影響を懸念する声も出ています。

中国 “感染対策は科学的かつ適度であるべき”

中国外務省の汪文斌報道官は、12月27日の記者会見で「現在、各国は手を携えて人々の安全な往来を保障し、世界のサプライチェーンの安定を守り、世界経済の回復と成長を進める必要がある。感染対策は科学的かつ適度であるべきで、正常な人的往来に影響を及ぼすべきではない」と述べました。

中国「ゼロコロナ」終了 1月8日から大幅変更

中国政府が今回、新型コロナウイルスの感染対策を大幅に見直すことで、感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策は終了することになります。

中国政府は、感染症への対応を2023年1月8日から変更します。

中国の感染症分類は、対応の厳しい順に甲類、乙類、丙類と3段階に分かれています。

新型コロナウイルスは、2020年1月以降、エイズや百日ぜきなどと同じ乙類に指定されていますが、扱いは、コレラやペストと同じ最も厳しい対策が求められる甲類並みの対応をとるよう中国政府は指示していました。

1月8日からは、必要とされる対応を甲類並みから乙類の水準に引き下げて、エイズなどと同じ扱いにするとしています。

具体的には、
▽患者を強制的に隔離したり、
▽感染が集中した地域を封鎖したりする
措置をやめるほか、
▽濃厚接触者の特定も行わないとしています。

また、
▽これまで入国者に義務づけてきた隔離措置を撤廃し、
▽入国後のPCR検査も行いません。

さらに、
▽ビザの発給について一層利便性を高めるほか、
▽国際線の便数制限も撤廃する方針です。

そのうえで、中国政府は感染対策を「予防」から「治療」に転換し、
▽ワクチン接種の推進や、
▽医療体制の充実などを通じて、
重症化の防止に力を入れていくとしています。

これに伴い、感染者数の発表は感染状況に応じて頻度を調整し、最終的には月1回にするとしています。