新型コロナ 世界からの報告
コロナ感染者数 世界中で減少傾向
要因は “検査数減”指摘も

2022年6月1日

新型コロナウイルスの感染者数は世界中で減少傾向が見られていて、専門家は先進国を中心にワクチン接種が進んだことや、地域によっては多くの人が感染し免疫を持つ人が多くなっていることなどが理由だと指摘しています。その一方で、検査の体制を縮小している国もあることから、WHO=世界保健機関は「検査数が減って報告される感染者数も減少している。減少傾向は慎重にみるべきだ」としています。

新型コロナの感染は2020年に世界中に広がった後、感染力が強い変異ウイルスが出現するたびに感染が拡大し、その中でもオミクロン株が広がった2021年11月以降にはそれまでとは桁違いの感染者数が報告されました。

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、オミクロン株以前では、最も多かった2021年4月や2021年8月ごろでも、世界全体での一日当たりの感染者数は70万人から90万人ほどでしたが、2022年1月中旬には400万人を超えました。

しかし、その後、感染者数はおおむね減少傾向が続き、5月以降は多い日でも70万人台で、少ない日にはおよそ27万人とピーク時の15分の1ほどにとどまることもあります。

減少の要因として東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、先進国を中心にワクチンの接種率が上がったことや、人口の多くが感染し免疫を持つ人が多くなっていること、それに季節的な要因があるなどとしています。

イギリス オックスフォード大学の研究者などが運営するウェブサイト「Our World in Data」によりますと、ワクチンの追加接種を受けた人の割合は5月31日の時点で、
▽ドイツで65.1%、
▽イギリスで58.2%、
▽フランスで56.9%、
▽EU全体で52.7%などと高くなっています。

低所得国では、1回でもワクチンを受けた人が20%に満たないほか、アメリカでも追加接種を受けた人の割合は31.1%にとどまっていますが、CDC=疾病対策センターは2022年4月、全米の血液検査で検出された新型コロナの抗体の分析から、これまでに人口の60%近くが感染したと推定されると報告しています。

濱田特任教授は「こうした国ではワクチン接種率は低いが多くの人が実際に感染して免疫を持ち、感染の減少につながっている可能性がある」と指摘しています。

ただWHO=世界保健機関は、5月22日に出した週報で、感染者数の減少傾向はみられるとしながら「検査の戦略を変更した国もあり、検査数が減って報告される感染者数も減少しているため、慎重にみるべきだ」と指摘しました。

濱田特任教授も「ワクチンや感染による免疫の効果、季節的な要因などで現在、世界的に感染者数が減っているというのは傾向としては言える。ただ、各国で検査戦略が見直される中、もはや感染者の絶対数を把握しようとしていない国もある。国別で感染者数を比較することの意味は無くなりつつあり、各国の感染者数は増加や減少などのトレンドを国ごとに把握するという意味で見るべきだ」と話しています。