【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7月17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7月17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 ロシア軍の地対空ミサイルシステムを攻撃

ウクライナ軍のシルスキー総司令官は16日、SNSで、激しい戦闘が続く東部ドネツク州でロシア軍の地対空ミサイルシステムS300に攻撃を行ったと発表しました。

この攻撃でレーダー設備とミサイルの発射台に損害を与えたとしています。

シルスキー総司令官は「ロシアの防空能力を体系的に破壊し続け、攻撃機をうまく使用するための有利な条件を作り出している」として、近く配備が予定されているF16戦闘機の攻撃能力を最大限引き出すため、ロシアの防空システムを弱体化させていると明らかにしました。

“動員避け国外に出たロシア人 少なくとも65万人”報道

ロシアの独立系メディア「ベル」は16日、ウクライナへの軍事侵攻が始まったおととし以来、軍の動員などを避けるために国外に出たロシア人は、少なくとも65万人にのぼるとの推計を発表しました。

ロシア政府はこうした統計を発表していないため、およそ70の国が公式に出している統計などをもとに算出したとしていて、主要な行き先はロシア人がビザを取得せずに渡航できるアルメニアやカザフスタンなどだということです。

流出したのは全人口のおよそ0.5%だということですが、高い教育を受けた人も少なくなく、頭脳流出にもつながっていると指摘しています。

国連安保理 議長国ロシア “アメリカは脅威”主張も 非難相次ぐ

16日に開かれた国連の安全保障理事会の会合では、7月の議長国ロシアのラブロフ外相がはじめに発言し、「国連憲章と安保理の決定は、ホワイトハウスの指示をもとに西側諸国によって、ゆがめられて解釈されている。アメリカは同盟国に対して疑う余地のない服従を求めている」などと述べ、アメリカの覇権主義が多国間主義に対する直接の脅威だと主張しました。

これに対して、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、「ロシアこそ、国連憲章の核心的理念である領土保全に明白に違反し、国連に対する信頼を損ない続けている」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアを非難しました。

その後、各国からも、軍事侵攻は国連憲章と国際法違反だとして、ロシアこそ多国間協力を阻害していると非難する意見が相次ぎました。

一方、EU=ヨーロッパ連合の議長国になったハンガリーのオルバン首相がロシアのプーチン大統領やウクライナのゼレンスキー大統領と相次いで会談し、EU内部で反発を受けていることについて、会合に出席したハンガリーのシーヤールトー外相は、「戦争を支持するヨーロッパの政治家たちから非常に激しい攻撃を受けている」と不満を示しました。

ハンガリー首相 “トランプ氏返り咲けば和平に取り組む”

米フロリダ州 12日公開

ハンガリーが7月からEUの議長国になったのにあわせて、オルバン首相はウクライナのゼレンスキー大統領やロシアのプーチン大統領などと相次いで会談して、ウクライナ情勢をめぐって意見を交わし、7月11日にはアメリカでトランプ前大統領とも会談しました。

こうしたなか、オルバン氏がEUの首脳に宛てて書簡を送り、「トランプ氏は、大統領選挙で勝利すれば、就任を待たずに和平の仲介者として活動する準備ができており、詳細な計画も持っている」として、トランプ氏が返り咲けば、ロシアとウクライナの和平に直ちに取り組む可能性があり、EUもアメリカの政策転換に備えるべきだと伝えたと、16日、ロイター通信などが報じました。

オルバン氏はこれまでもロシア寄りの姿勢をとり、EUのウクライナへの支援に反対するなど、物議をかもしてきましたが、一連の外交や会談に対しては、EUの内部から「議長国の立場を利用し、無責任で不誠実だ」といった批判もあがっていて、今回の書簡も波紋を広げるものとみられます。

ロシア国防省 “参謀総長がロボット兵器を視察”

ロシア国防省は、ウクライナが2023年8月にロシアから奪還したとしていた東部ドネツク州の集落ウロジャイネについて、7月14日にロシア軍が再び掌握したと発表しました。

こうした中、ロシア国防省は16日、制服組トップのゲラシモフ参謀総長が、ウロジャイネを掌握する作戦に関わった部隊の司令部を訪問し、兵士たちを激励し、作戦で使われた兵器を視察したと明らかにしました。

公開された映像では、ゲラシモフ参謀総長が戦車のような形のロボット兵器などを間近で視察する様子も見られ、ウクライナ軍との激戦が伝えられる中、ロシア軍の戦闘能力の高さを誇示するねらいがあるものとみられます。

ウクライナ 改正動員法が施行 軍への動員を厳格化

行政機関に個人情報の登録に訪れた男性たち

ウクライナでは、ことし5月、軍への動員を厳格に行うための改正動員法が施行され、18歳から60歳の男性は、16日までに住所や家族などの個人情報を軍に登録することが義務づけられました。

前日の15日、首都キーウにある行政機関には、手続きを行うため朝から50人ほどが集まっていました。

25歳の男性は、個人情報の登録について「大事なことだ」とした上で、「建築に関する教育を受けてきたので、その技能が前線でも役立つかもしれない」と話していました。

28歳の男性は、「前線が置かれた状況は厳しいと思う。改正法に全面的に賛成とは言えないが、ほかに選択肢がない」と話していました。

ウクライナの調査会社が6月に発表した世論調査では、改正動員法を支持しないと答えた人が52%と半数にのぼっていて、NHKがキーウ市内で話を聞いても、「戦地に赴きたくない」などとして「登録しない」という人も少なくありませんでした。

一方、ウクライナの国防省は、14日の時点でおよそ400万人が登録を完了したと発表し、ゼレンスキー大統領も15日、動員に関する計画は順調に進んでいると強調していて、ロシア軍の攻勢が強まる中、不足が指摘される兵員の確保につなげたい考えです。