【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 18日~19日の日程で北朝鮮訪問 ロシア大統領府

ロシア大統領府はプーチン大統領が6月18日から19日の日程で北朝鮮を訪問すると発表しました。

プーチン大統領の北朝鮮訪問は2000年7月以来、24年ぶりでウクライナ侵攻で兵器不足に陥る中、キム・ジョンウン総書記との会談を通して軍事的な連携をいっそう強めたいねらいもあるとみられます。

ロシア軍 ハルキウ州に国境越えて侵入 攻勢強める

ロシア軍はウクライナ東部ハルキウ州に国境を越えて侵入して攻勢を強めていて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、国営テレビで「野蛮な砲撃から守れるようになるまで努力を続ける」と述べ、緩衝地帯を確保するまで攻撃の手を緩めない考えを強調しました。

米紙 “ウクライナ軍 受刑者を兵士として前線に送る準備”

こうした中、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは16日、ウクライナ軍が深刻な兵力不足を補うため、刑務所で服役していた受刑者2750人以上を兵士として前線に送る準備を進めていると伝えました。

ウクライナでは先月、軍に一部の受刑者が入隊できるようにする法案が成立していて、受刑者は後方支援ではなく、ロシア軍と直接戦闘を行う部隊に配属されるということです。

ワシントン・ポストは「2年以上にわたる絶え間ない戦闘で消耗し、疲弊している軍を補充しようとする苦労のあらわれだ」と指摘しています。

受刑者をめぐっては、ロシアでも兵力不足を補うため、民間軍事会社のワグネルがかつて受刑者から戦闘員を募り前線に派遣していました。

「平和サミット」共同声明採択も一部の国支持せず

ウクライナが提唱する和平案についておよそ100の国の首脳などがスイスに集まって話し合う「平和サミット」は16日、「原発の安全確保」や「食料安全保障」など、3つの項目で具体的な措置をとるなどとした共同声明を採択して閉幕しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、「このサミットでわかったことは、国際的な支持は弱まるどころか強まっているということだ」と述べ、成果を強調しました。

また、特別グループを設置し、行動計画も作成するなどして和平案の実現に向けた議論を進め2回目のサミット開催を目指す考えを示しました。

一方、サミットを主催したスイスのアムヘルト大統領は、会議の意義を強調しつつ「いつ、どのようにしてロシアを和平プロセスに参加させるかという重要な課題が残った。永続的な解決には、双方の当事者が関与する必要がある」と述べました。

サミットでは、ロシアとの関係も重視するグローバル・サウスと呼ばれる新興国などから、ロシアの参加が必要だという声が相次いだ中で、現地で取材に応じた秋葉国家安全保障局長によりますと、サウジアラビアやインドなどおよそ10か国が共同声明を支持しなかったということです。

今回のサミットを通して、ロシアや、ロシアと関係を深める中国が参加しない形で和平の道筋を描く難しさも浮き彫りになりました。

秋葉国家安全保障局長「平和の実現に向けた重要な一歩」

スイスで開かれた「平和サミット」に出席した秋葉国家安全保障局長が16日現地でNHKなどの取材に応じ、今回の会議について「ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に向けた重要な一歩となった」と述べ、意義を強調しました。

一方で、ロシアとの関係も重視する一部の国が、共同声明を支持しなかったことについて「賛成しなかったということをもって、われわれの間で大きな対立があるということではない。平和を希求するという意味では一致している」と指摘しました。

そして「わが国は、各国と丁寧に接触して議論し、ウクライナに平和がもたらされるよう努力したい」と述べ、日本政府としてウクライナの和平に向けて引き続き、外交努力を続ける考えを強調しました。

ウクライナ大統領府長官「日本に感謝の意を表したい」

ウクライナのイエルマク大統領府長官は16日スイスで開かれた「平和サミット」の会場で、NHKなど日本メディアの取材に応じ、「ウクライナを支援してくれる日本に感謝の意を表したい」と述べました。

また「今回のサミットの成果である共同声明を多くの国が支持してくれたことは成功だった」と述べ、成果を強調しました。

ロシア「和平について話し合おうとしない」ウクライナ側を批判

ロシアは会議には招待されず、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、国営テレビに対し「彼らは和平について話し合おうとしない。それが問題だ」と述べ、ウクライナ側を改めて批判しました。

また、ロシアのプーチン大統領は14日、「平和サミット」に先立ち、ロシアが一方的に併合したウクライナの4つの州からウクライナ軍が撤退すれば、和平交渉を始めるなどと主張していました。

ペスコフ報道官はプーチン大統領の提案について「ゼレンスキー大統領のような政治家がこうした構想を無視しようとも、ウクライナにはもっと冷静に考えられる人もでてくるだろう」と述べ、検討すべきだと主張しました。

プーチン政権は、ウクライナ側が主導する「平和サミット」に合わせて、和平交渉に応じるとした主張を示し、各国への揺さぶりを続けています。