【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4月25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米政府 “射程長いミサイル ウクライナに到着”

アメリカ政府は、ウクライナ側が強く求めていた射程の長いミサイルをすでにウクライナに供与したと明らかにしました。

アメリカ ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は24日、精密攻撃が可能とされる射程の長いミサイル、ATACMSについて、すでにウクライナに供与し、現地に届いたことを明らかにしました。

既存の予算から、コスト削減によって捻出した資金を活用して調達したとしています。

このミサイルはウクライナ側が強く求めていた兵器で、射程の短いものは去年供与されていますが、アメリカのメディアは、今回提供されたものは最大射程が2倍近いおよそ300キロだと伝えています。

ゼレンスキー大統領は24日、アメリカ議会で可決した追加の軍事支援にもこのミサイルが含まれるとの見通しを示していて、サリバン大統領補佐官も今後も供与を続けていくと説明しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」はこのミサイルについて、「十分な数が提供されれば、ウクライナ軍はロシアの後方の補給能力を低下させ、遠く離れた飛行場も脅かすことができる」と分析しています。今後の戦況への影響が注目されます。

ロシア西部の州知事 “燃料施設にウクライナ軍の攻撃”

ロシア西部のスモレンスク州の知事は24日、州内の2か所で燃料施設がウクライナ軍の攻撃を受け、火災が発生したと明らかにしました。

ウクライナメディアは情報筋の話として、ウクライナの保安局が無人機攻撃を行ったと伝えています。

ウクライナ軍はこのところ、ロシア国内の燃料施設を狙った攻撃を強めています。

米政府高官 ウクライナに射程の長いミサイル供与

アメリカ、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は24日記者会見で、ウクライナが求めていた精密な攻撃が可能とされる射程の長いミサイル、ATACMSについて、「バイデン大統領が2月に相当な数を供与することを命じた」と述べ、3月に発表したウクライナへの軍事支援の中に含まれていたことを明らかにしました。

ミサイルはすでにウクライナに届いたということで、今後も供与を続けていくとしています。

一方でサリバン補佐官はミサイルについて、「ウクライナ領内で使うためのものだ」としてロシア領土への攻撃を目的としたものではないと強調しました。

アメリカのメディアはこのミサイルについて、最大射程がおよそ300キロのものだとしていて、仮にウクライナ南部のヘルソン市から発射した場合、ロシアが一方的に併合した南部クリミアの軍港都市セバストポリも射程に含まれることになります。

ウクライナへの追加予算 米で成立

アメリカではロシアによる侵攻が続くウクライナへの追加の軍事支援のための予算が成立し、バイデン政権は防空用のミサイルなど、10億ドル相当の新たな軍事支援を発表しました。

バイデン大統領は議会上院がウクライナへの追加の軍事支援を含む緊急の予算案を可決したことを受けて24日署名し、予算は成立しました。

これを受けて国防総省は新たに
▽防空用のミサイル
▽高機動ロケット砲システム=「ハイマース」に使われるロケット弾
▽装甲車の「ブラッドレー歩兵戦闘車」
など、総額で10億ドル、日本円にしておよそ1550億円相当のウクライナへの軍事支援を発表しました。

アメリカは与野党の対立から追加の支援のための予算が承認されない状態が続き、軍事支援が滞ってきましたが、再開しました。

会見したバイデン大統領は軍事支援について「アメリカをより安全にするし世界を安全にする。そして、世界におけるアメリカのリーダーとしての地位を継続させる」と訴えました。

そして「われわれは独裁者に立ち向かう。誰に対しても屈しないし、プーチンに対してももちろん屈しない」と述べてウクライナを全面的に支援していく考えを強調しました。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「戦場での状況はすでに明らかだ。われわれは、新たな兵器が前線の状況を変えることはないと言い続けている」として、アメリカの軍事支援は無意味だとけん制しています。

ゼレンスキー大統領 軍事支援の再開を歓迎

アメリカでウクライナへの追加の軍事支援のための予算が成立したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は、24日に公開したビデオ演説で「半年の道のりは終わった。誰が何と言おうと、われわれはロシアによる攻撃から命を守るために必要な支援を確保している」と述べ、滞っていた軍事支援の再開を歓迎しました。

また、軍事支援の内容について、アメリカ側と「あらゆるレベルでできる限り積極的に協力している」と述べ、前線の兵士に必要な兵器を速やかに得られるよう協議してきたことを明らかにし、射程の長い地対地ミサイルATACMSや高機動ロケット砲システム=ハイマースの弾薬などが含まれるとしています。

そのうえで「いま、われわれは、議論と疑念で過ぎ去った半年間を補うためあらゆることを行う」として、アメリカの支援のもと、ロシアに対抗していく考えを強調しました。

ロシアとウクライナ およそ50人の子どもたちを交換で合意

ロシアとウクライナは、双方で合わせておよそ50人の子どもたちを交換することで合意したとロシア側が発表しました。

これは、ロシアで子どもの権利などを担当するリボワベロワ大統領全権代表が24日、訪問先のカタールで発表したものです。

それによりますと、ロシアとウクライナの交渉はカタールの仲介によって初めて対面で行われ、その結果、ウクライナには29人の子どもたちが戻り、ロシアには19人が戻ることになったとしています。

ウクライナに軍事侵攻を続けるロシアは、ウクライナの支配地域から大勢の子どもを連れ去っているとして、去年3月ICC=国際刑事裁判所が、戦争犯罪の疑いでプーチン大統領とリボワベロワ氏に対して逮捕状を出しています。

一方、ロシア側は戦闘地域の子どもたちを保護しているだけだなどと主張しています。

ウクライナ原発公社 総裁が危機感「経験豊富な職員がいない」

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムのコティン総裁は25日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。

この中でコティン総裁は、今月も攻撃が相次いだウクライナ南部のザポリージャ原発について「いま最も危険なことは経験豊富な職員がいないことだ。原子力の安全に責任をもっていた人たちがロシア側にとってかわられた。訓練を受けていない職員がいることで設備にあらゆる問題が生じている」と述べ、専門知識を持つ人たちがロシア側によって追い出され、原発の管理や有事に対応できる能力が著しく低下しているとして原発の安全性に危機感を示しました。

コティン総裁によりますと、かつて1万1000人ほどいた職員はロシア軍が原発を占拠して以降、およそ4000人と3分の1ほどに減少した一方、ロシア軍の兵士らが500人ほど常駐しているということです。

コティン総裁は、去年6月にカホウカ水力発電所のダムが決壊し、ザポリージャ原発に冷却水を供給していた貯水池の水が流出したことにも触れ「冷却プールが1つしかなく十分ではない」と懸念を示した上で原発を安全に運転させるためには「ロシア人を排除するしかない」と強調しました。