トランプ氏15州中14州で勝利確実 ヘイリー氏“撤退方針”報道

秋のアメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びは大きなヤマ場となるスーパーチューズデーを迎え、トランプ前大統領は15州のうち14の州で勝利を確実にし、指名獲得に大きく前進しました。

トランプ氏と党の指名獲得を争っていたヘイリー元国連大使が選挙戦から撤退する方針を固めたと、アメリカの複数のメディアが伝えました。ヘイリー氏が撤退することにより、トランプ氏の党の指名獲得が確実な情勢となります。

一方、同時に行われた与党・民主党の候補者選びはバイデン大統領が圧勝し、11月の本選挙を見据えた2人の対決姿勢が鮮明になっています。

共和党の候補者選びは、各州などに割りふられた代議員の過半数にあたる1215人の獲得をめぐって争われ、AP通信によりますと、日本時間午後6時の時点でトランプ氏は910人を獲得し、党の指名獲得に向けて大きく前進しました。

トランプ氏 勝利宣言「すばらしい日」

トランプ前大統領は現地時間5日、南部フロリダ州の自宅「マー・ア・ラゴ」で支持者を前に演説し「きょうはすばらしい日だ。わたしたちの国の歴史において、信じられないようなときだ」と述べて、勝利宣言しました。

また、バイデン大統領のこれまでの政権運営を振り返り、「わたしたちはこの3年間、この国が大きな打撃を受けるのを目の当たりにしてきた。こんなことが起きるとは思ってもみなかった」と述べ、自分が大統領ならロシアによるウクライナ侵攻もなかったとしたうえで、「バイデン大統領は歴史上、わたしたちの国にとって最悪の大統領だ」と述べ、厳しく批判しました。

そして「われわれは、われわれの国を取り戻す。迅速に、かつてないほど偉大な国にする」と述べ、11月の本選挙を見据え、バイデン大統領との対決姿勢を鮮明にしました。

集会に参加した男性は「トランプ氏の勝利確実が発表されるたびに会場は大変な盛り上がりをみせた。共和党はこれから一つになれると思う」と話していました。その上で「不法移民の問題や経済など、いまアメリカで起きていることについて不満に思っている人は多いと思う。トランプ氏が発信を続ければ人々は受け入れるはずだ」と述べて、トランプ大統領の誕生に期待を示しました。

ヘイリー氏 選挙戦撤退方針 米複数メディア

トランプ氏と党の指名獲得を争っていたヘイリー元国連大使が選挙戦から撤退する方針を固めたとアメリカの複数のメディアが伝えました。このあと日本時間の7日午前0時から短い演説を行う見通しだとしています。ヘイリー氏が撤退することにより、トランプ氏の党の指名獲得が確実な情勢となります。

ヘイリー陣営は5日、今回のスーパーチューズデーの結果を受けて声明を出しましたが、選挙戦を続けるかどうかについて直接は言及していませんでした。

声明でヘイリー氏の陣営は「バーモント州をはじめとする各地で数百万の支持が得られたことを光栄に思う」と述べました。

そしてトランプ氏が主張している共和党の団結について「団結は、単に団結していると主張するだけで達成されるものではない。共和党の有権者の一定数はトランプ氏に深い懸念を示したままだ。これは、われわれの党が成功するために必要とする団結ではない」と主張しました。その上で「こうした有権者の懸念に対処することが共和党とアメリカをよりよくすることにつながる」としています。

バイデン大統領「国民に明確な選択肢」

スーパーチューズデーの結果を受けてバイデン大統領は声明を発表し、「今夜の結果はアメリカ国民に明確な選択肢を与えた。このまま、わたしと前に向かって進み続けるか、トランプ氏がわたしたちを混とんと分断へと引きずり戻すことを許すのか、有権者は選択することになる」として、本選挙は自らとトランプ氏との対決になるとの見方を示し、あらためて有権者に支持を訴えました。

民主党 候補者選び バイデン氏は15州で勝利確実

スーパーチューズデーでは与党・民主党の候補者選びも全米の15の州とアメリカ領サモアで行われ、アメリカ・ABCテレビはバイデン大統領が15州で勝利を確実にしたと伝えました。

一方、ABCテレビはアメリカ領サモアで行われた民主党の党員集会でバイデン大統領が敗れる波乱があったと伝えました。バイデン氏が今回の民主党の候補者選びで敗れたのは初めてです。

ABCテレビが現地の党のトップの話として伝えたところによりますと、バイデン氏に勝利したのは、実業家のジェイソン・パーマー氏です。パーマー氏は51票を獲得し、バイデン氏が獲得した40票を11票、上回ったということです。パーマー氏は、自身のSNSに投稿し「わたしの勝利が告げられたことを光栄に思う。支持に感謝する」として支持者たちに謝意を示しました。

バイデン氏の陣営はABCテレビに対し、「島には独特の政治がある」とコメントしたということです。

【解説】トランプ氏 優勢の背景は

ワシントン支局の高木優支局長に聞きました。

Q.トランプ氏が勝利確実を積み上げているが、なぜここまで支持を集めているのか?

A.白人労働者などが抱える不満をくみ取り、「アメリカ・ファースト」と明確な公約を掲げていること、そして、大統領だった4年間の実績が、いま改めて評価されていることがあります。
アメリカではメキシコとの国境から入国を試みる人が過去最多を更新するなか、トランプ氏が国境の管理を再び強化すると訴えていることが保守層から強い支持を得ています。先週にはテキサス州の国境近くにみずから足を運び、バイデン政権の失政だと強く非難しました。
岩盤支持層と呼ばれる、熱烈な支持者も健在です。

Q.トランプ氏が11月の本選挙に進む可能性が増しているが、バイデン大統領はどう戦おうとしているのか?

A.バイデン大統領がとろうとしているのは、「反トランプ票」を積み上げていく戦略です。
トランプ氏の共和党内での強さは圧倒的であっても、選挙結果を受け入れなかったり、刑事事件で起訴されたりしていることで、無党派層や穏健な保守層には「トランプ氏にだけは投票したくない」という人たちがいるからです。
一方で、現職大統領としては史上最高齢の81歳のバイデン氏には健康への不安が常につきまといます。バイデン氏としては好調な経済をアピールするとともに、「トランプ氏が返り咲けばアメリカの自由や民主主義が失われる」と批判を強め、支持率の低迷から抜け出したい考えです。

<開票速報>

17:45ごろ(日本時間) ユタ州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは西部ユタ州で行われた党員集会でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

16:20ごろ(日本時間) アラスカ州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビはアラスカ州で行われた党員集会でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

13:05ごろ(日本時間) バーモント州 ヘイリー氏 勝利確実に

アメリカの複数のメディアは東部バーモント州で行われた予備選挙でヘイリー元国連大使が勝利を確実にしたと伝えました。

バーモント州はリベラルな土地柄であることに加え、無党派層も投票ができる方式をとっていて、トランプ氏と距離を置く、無党派層や穏健な保守層がヘイリー氏に票を投じたと見られています。

13:00ごろ(日本時間) カリフォルニア州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは西部カリフォルニア州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

11:40ごろ(日本時間) ミネソタ州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは中西部ミネソタ州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

11:30ごろ(日本時間) マサチューセッツ州 トランプ氏 勝利確実に

アメリカの複数のメディアは東部マサチューセッツ州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

11:15ごろ(日本時間) コロラド州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは西部コロラド州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

11:10ごろ(日本時間) アラバマ州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは南部アラバマ州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

11:00ごろ(日本時間) テキサス州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは南部テキサス州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

10:50ごろ(日本時間) アーカンソー州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは南部アーカンソー州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

10:30ごろ(日本時間) メーン州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは東部メーン州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

10:15ごろ(日本時間) オクラホマ州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは南部オクラホマ州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

10:15ごろ(日本時間) テネシー州 トランプ氏 勝利確実に

アメリカの複数のメディアは南部テネシー州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

9:30ごろ(日本時間) ノースカロライナ州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは南部ノースカロライナ州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

9:20ごろ(日本時間) バージニア州 トランプ氏 勝利確実に

ABCテレビは南部バージニア州で行われた予備選挙でトランプ前大統領が勝利を確実にしたと伝えました。

9:00(日本時間) 一部の州で開票始まる

ことし11月のアメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びは5日、全米の15の州で予備選挙や党員集会が一斉に行われる大きなヤマ場、スーパーチューズデーを迎え、日本時間の午前9時から一部の州で開票が始まりました。

選挙戦は返り咲きを目指すトランプ前大統領をヘイリー元国連大使が追う展開となっています。トランプ氏がさらに引き離して党の指名獲得への流れを決定づけるのかが焦点です。

各州の予備選挙などの結果は、日本時間の6日午前から午後にかけて順次、判明する見通しです。

NHKはアメリカのABCテレビや主要メディアの報道にもとづいて州ごとの勝敗を伝えています。

ABCテレビなどは、事前の情勢分析や一部の州で投票を終えた有権者を対象に行う出口調査の結果などを総合的に判断して、集計率が低い段階でも「勝利確実」を判定しています。

テイラー・スウィフトさん「投票すること忘れないで」

アメリカの人気歌手テイラー・スウィフトさんは5日、自身のインスタグラムに「みんな、自分を最も代表すると思う人に投票することを忘れないで欲しい。まだ投票していないのであればきょう投票することを計画しよう」などと投稿しました。特定の候補者の名前はあげませんでした。

スウィフトさんのインスタグラムのフォロワーは2億8200万人余りに上っていて、若い世代を中心に熱狂的なファンがいることで知られています。

前回の2020年の大統領選挙ではバイデン大統領への支持を表明し、今回はまだ態度を示していないだけにスウィフトさんの発言が注目されています。

林官房長官 「関心持って注視 日米間の連携は強固で深い」

林官房長官は午後の記者会見で「アメリカ国内の選挙に関わる事項について、コメントすることは差し控えるが、わが国としても関心を持って注視している。その上で言えば、日米両国間の連携は、かつてないほど強固で深く、日米同盟の重要性はアメリカでも党派を超えて共通の認識が存在している」と述べました。