インフル患者数 前週からほぼ横ばい 専門家は再拡大を懸念

全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1月14日までの1週間で1医療機関当たり12.99人と、前の週からほぼ横ばいとなりました。

専門家は「地域によって傾向に差があり、増えているところも多い」として、再度、感染が拡大することを懸念しています。

国立感染症研究所などによりますと今月14日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は6万4027人で、1医療機関あたりでは12.99人と前の週からほぼ横ばいとなりました。

データをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数はおよそ52万6000人となり、去年9月4日以降の今シーズンの累積の患者数はおよそ1160万人と推計されています。

1医療機関あたりの患者数を都道府県別にみますと、
▽宮崎県が22.9人、
▽沖縄県が22.13人、
▽大分県が18.53人、
▽千葉県が17.85人、
▽愛知県が17.58人などとなっているほか、
▽大阪府で12.08人、
▽東京都で10.11人などと40の都府県で「注意報レベル」の10人を超えています。

前の週と比べると減少している地域もありますが、
▽奈良県は1.65倍、
▽神奈川県は1.54倍、
▽愛媛県は1.44倍などと、増加していて、専門家は、地域差が大きいと指摘しています。

感染症に詳しい岩手医科大学の元教授の櫻井滋医師は「ここ最近全国的には減少傾向が続いていたが、地域によっては患者が増えているところもある。例年であれば、インフルエンザはいったんピークを超えると流行が終わるが、この冬は再度、感染が拡大して、2度目のピークを迎える可能性もあると考えている」と話しています。

石川 富山 福井 インフル患者数「注意報レベル」10人超に

能登半島地震で大きな揺れを観測した石川県や富山県、福井県では、1月14日までの1週間で1医療機関あたりのインフルエンザ患者の数が、「注意報レベル」の10人を超えています。

専門家は「被災地ではインフルエンザのような呼吸器症状の患者が多く見られる避難所もあり、マスクや手洗いといった対策をして過ごしてほしい」としています。

石川県では、地震の影響で調査の対象となっている医療機関の一部でインフルエンザなどの患者数の報告が困難になっています。

このため、
▽震度6強を観測した輪島市、珠洲市、穴水町、震度6弱を観測した能登町を含む能登北部は欠測となっています。

報告があった医療機関に限って集計した結果、今月14日までの1週間に報告された1医療機関あたりのインフルエンザの患者数は、
▽県全体で10.23人で前の週から2.61人減少しました。

保健所の管轄する地域ごとでは、
▽震度7を観測した志賀町、震度6強を観測した七尾市、震度6弱を観測した中能登町などを含む能登中部が13.33人、
▽南加賀が11.20人、
▽金沢市が9.53人、
▽石川中央が8.73人でした。

このほか、この地震で大きな揺れを観測した富山県、福井県、新潟県では、通常どおり、感染状況が発表されています。

それによりますと、富山県で1月14日までの1週間に報告された1医療機関あたりのインフルエンザの患者数は、
▽県全体で12.04人で前の週から1.66人増えました。

保健所の管轄する地域ごとでは、
▽高岡が14.62人、
▽中部が11.20人、
▽砺波が11.14人、
▽富山市が11.13人、
▽新川が10.86人でした。

福井県では、1医療機関あたりの患者数は、
▽県全体で13.15人で、前の週から2人増えました。

保健所の管轄する地域ごとでは、
▽福井市が16.58人、
▽丹南が15.75人、
▽二州が15人、
▽若狭が10.67人、
▽坂井が8.80人、
▽奥越が7.25人、
▽永平寺町を管轄する福井が4人でした。

新潟県では、1医療機関あたりの患者数は、
▽県全体で9.57人で前の週から1.45人減少しました。

保健所の管轄する地域ごとでは、
▽南魚沼が23.33人、
▽上越が16.50人、
▽佐渡が12.33人、
▽震度6弱を観測した長岡市などを含む長岡が11.62人、
▽柏崎が11.40人、
▽村上が10.67人、
▽新津が9.67人、
▽魚沼が9.33人、
▽新潟市が8.08人、
▽十日町が6.67人、
▽糸魚川が6.33人、
▽新発田が3.86人、
▽三条が3.38人でした。

岩手医科大学の元教授で、日本環境感染学会災害時感染制御検討委員会の櫻井滋医師は「金沢市など被害が比較的軽度なところは感染状況は通常どおりの動きに見えるが、被害の大きかった奥能登では定点把握ができない状態で、避難所や地域ごとにも流行状況が違うようだ。学会でチームを派遣して調べたところインフルエンザのような呼吸器症状の患者が多く見られる避難所もあり、予断を許さない状況だ。避難生活の間もマスクや手洗いといった対策をとってほしい。また、復旧作業などで被災地に入る人もマスクの着用や3密を避けるなど感染を広げないよう気をつけてほしい」と話しています。