「悔しいのひと言 命助かっただけでも」【被災者の声 10日】

今回の地震では多くの人が突然日常生活を奪われ、各地の避難所などで避難生活が続いています。

大変な状況の中で取材にこたえてくださった被災者の方々の声をまとめました。

石川県輪島市では

輪島市では10日から倒壊のおそれがないかなどを調べる「応急危険度判定」の調査が始まりました。

市の中心部では応援で駆けつけた長野県内の自治体の職員2人が建物の壁や基礎などのひびや損壊の程度を確認し、「危険」や「要注意」などと書かれた貼り紙を貼っていました。

このうち輪島市河井町の由野順三さん(83)の木造2階建ての住宅は、一部が屋根ごと崩れるなどしたため「危険」と判定され、赤い紙が貼られました。

由野さんは1人暮らしで、地震の当日は崩れた家の下敷きになり、動けなくなっていたところを近所の人に助け出されたということです。

その後は近くの避難所に身を寄せましたが、集団生活になじめなかったり家の様子が気になったりして安心して眠ることができず、夜間だけ自宅に戻って過ごしていたということです。

「悔しい」のひと言 ほかへ行くつもりはない

由野さんに、ご自宅の前で話を聞きました。

感想を聞かれたら「悔しい」のひと言だけです。でも、命助かっただけでもありがたいです。

余震が続く中、今後の避難生活については。

どこか家を借りたいと思っています、今のところは。比較的築浅の家は被害も少ないもんで、どこか壊れてない家で賃貸で借りたいなと思っております。

一方で、将来的にはこの場所を離れるつもりはないと言います。

ほかへ行く気持ちはありません。ほかへ移ってって言われても。バラック建ててもここにおりたい。どこもほかに移りたくない。今後どうすりゃいいか、まだ全然検討もつきません。予想もつきません。

ただくどいようやけど命助かっただけで、米のまんまいただければ命つなげるもんでね。それで私は十分と思う。今後のことは全然わかりません。

「うちだけじゃなく地域全部がひどい状態」

輪島市中心部の「朝市通り」で発生した大規模な火災で自宅が焼けたという60代の女性は。

10日の集中的な捜索の様子

当時は仕事で家族と離れていて、連絡が取れない時が1番心配でした。『みんな元気だよ』と聞いてほっとしました。家族が無事なので家はしょうがないかなと思います。うちだけじゃなく地域全部がひどい状態ですし、皆さんに助けてもらって頑張っています。

一方で。

不明で終わらないで、なんとかご遺体があるなら早くに分かってあげられたらいいなと思います。

石川県珠洲市の避難所では

石川県珠洲市では10日午後2時時点で、67か所の避難所に5379人が避難していて、緑丘中学校の避難所ではおよそ300人が避難生活を送っています。

自宅が被災した住民からは、いつ仮設住宅が整備されるのかなど、さまざまな不安の声が聞かれました。

「情報入って来ない 今後のことは分からない」

(76歳男性)
テレビや新聞を見ることができず、最新の情報が入ってこないのでほかの地域がどういう状況になっているか分からず心配です。私たち夫婦が避難している部屋はあたたかいし、食料も初めからみると結構ありますし、不自由を言いだせばきりがないので我慢しています。

能登の人は我慢強いですから、お互いに助け合いながらやってるというのが現状です。今のことで精いっぱいで、住まいをどうするかとか今後のことはとてもじゃないが分からないですね。

「珠洲に仮設住宅ができたら入りたい」

この避難所で夫婦で生活し、あす娘の住む白山市に一時的に避難する予定だという人もいました。

(79歳女性)
隣や向かいの家では亡くなった人もいるので、命があっただけよかったです。娘のところには一時避難という感じで行こうと思っていて、住民票も置いていきます。珠洲市に仮設住宅ができたらそこに移りたいです。

子どもたちには子どもたちの生活があるし、珠洲のうちには畑もあるので離れるつもりはないです。ただ、いつ仮設住宅ができるか見通しがついていないのでそれだけが心配です。

「子どもはゲームで気を紛らわす生活に」

子どもと避難している家族もいます。
夫と小学2年生の息子と避難しているという母親は。

(46歳女性)
子どもは元気にしていますがゲームで気を紛らわすというような生活になってます。規則正しい生活を求めたいですがこのような環境では難しいです。教育も大事だと思いますが、いまは恐怖を思い出したりする時期ですし、先生方も被災されているので教育を急ぐというよりは生活の基盤を整えてからのほうがいいのではないかと個人的には思います。

避難場所以外で子どもなりに居場所があって、そこでの役割を見つけ出していくことで見えてくるものもあると思います。ただ、子どもたちが集まったら集まったでお手洗いの問題とか衛生面などの別の問題が出てくるので、取り巻く環境の基盤作りに時間がかかると思います。

富山県氷見市では

富山県氷見市では、地震で住宅が全壊などした市民を対象に民間の賃貸住宅を活用した「みなし仮設」などを無償で提供することに決め、10日から始まった入居の受け付けには転居を希望する人が次々に訪れました。

借家が被災した75歳の男性は。

(家の状況は)全然ダメ。柱が1本亀裂が入って戸が開かないので、ジャッキアップして戸を開けた。1人だから、どこでもいいからしっかりしたところがあれば。

生活のこまりごとについては。

なかなかゆっくり眠れない。ただ布団の中でゆっくり寝れる場所がほしい。

依然、孤立状態の地域も

一方、石川県内では依然として孤立し、厳しい状況が続いている地区が残っています。

詳しい状況については、こちらの記事をお読みください。