能登半島地震の揺れ 少なくとも2回の大きな断層破壊が起きたか

今回の能登半島地震で発生した地震の揺れについて、専門家が波形を詳しく調べたところ、震源付近では少なくとも2回の大きな断層の破壊が起きていたとみられることがわかりました。専門家はこの2回の破壊で震源の近くでは強い揺れが少なくとも20秒以上継続していたと指摘しています。

今月1日に発生した能登半島地震について土木学会の地震工学委員会は、9日、地震や津波などの専門家が行った調査の速報会をオンラインで開きました。

このうち京都大学防災研究所の後藤浩之教授は、能登半島の北部はほぼ全域が震源断層の真上に位置するとしたうえで、地震の波形を詳しく分析した結果、震源付近では少なくとも2回の大きな破壊が起きていた可能性があると指摘しました。

この2回の破壊で、震源に近い場所では少なくとも20秒以上、強い揺れが継続していたと分析しています。

さらに輪島市や穴水町などの市街地は、比較的軟弱な地盤が広がっていることから、地震の揺れが局地的に増幅した可能性があるということです。

また、沿岸部を襲った津波について東北大学災害科学国際研究所の越村俊一教授は、現地調査やシミュレーションの結果から、輪島市や珠洲市は津波の発生源の中にあるため地震の直後に津波が到達したとしています。

特に珠洲市は富山湾の特徴的な海底地形の影響で、津波が屈折して能登半島を東から回り込んだ結果、津波の高さが局所的におよそ3メートルに達したと推定され、大きな被害につながった可能性があるとしています。

土木学会は報告された内容は現時点の速報値で、今後、詳細な調査や分析が必要だとしています。