羽田空港事故 管制官 指示後の海保機「別調整などで意識せず」

羽田空港で起きた日本航空と海上保安庁の航空機どうしの衝突炎上事故で、担当した管制官は海上保安庁の航空機に滑走路の手前まで走行するよう指示を出したあとの状況について「別の航空機の調整などがあったため、意識していなかった」と話していることがわかりました。

滑走路への進入には気がつかなかったということで、国の運輸安全委員会が当時の詳しい状況を調べています。

今月2日、日本航空の旅客機が羽田空港に着陸した直後に滑走路上にいた海上保安庁の航空機と衝突して炎上し、海上保安官5人が死亡、1人が大けがをしました。

日本航空機では乗客15人がけがや体調不良で医療機関を受診しました。

この事故では海上保安庁の航空機が誤って滑走路に進入したとみられていて、担当した管制官は国土交通省の聞き取りに対し「別の航空機の調整などがあったため、滑走路の手前まで走行するよう指示を出したあとの動きは意識していなかった」と話していることがわかりました。

国土交通省の関係者によりますと管制官は滑走路への進入には気がつかなかったということで、公表された交信記録にも双方の機体に異常を知らせるような記録はありませんでした。

国の運輸安全委員会は関係者への聞き取りを行うなど当時の詳しい状況を調べています。

運輸安全委員会 5日は客室乗務員7人から聞き取り予定

国の運輸安全委員会によりますと、4日は日本航空機のパイロットや客室乗務員に聞き取りを行ったということです。

羽田空港で聞き取りを行った藤原琢也 航空事故調査官は、調査のあと取材に応じ「事故の現場に一番近い人として、パイロット3人と客室乗務員2人に当時の状況を聞いた。聞き取りの具体的な内容は差し控えたい」と話しました。

5日は客室乗務員7人から聞き取りを行う予定だということです。

また、運輸安全委員会はこれまでの調査で、海上保安庁の航空機からフライトデータレコーダーとボイスレコーダーを回収しました。

日本航空の旅客機からはフライトデータレコーダーを回収しましたが、ボイスレコーダーはまだみつかっていないということです。

海上保安庁の航空機 5日中の撤去目指す 旅客機の撤去も開始予定

海上保安庁によりますと、4日夕方から海上保安庁の航空機の撤去を始めたということです。

警視庁の現場検証が終わった部分から始めていて、5日中の撤去の完了を目指しているということです。

一方、日本航空によりますと、旅客機の撤去は5日午前8時半から始める予定だということです。

撤去は数日間かかるとみられ、7日には撤去を完了させたいとしています。