【詳しく】山本由伸 ドジャース入団会見 大谷翔平の名言も引用

大リーグ、ドジャースと12年契約を結んだ山本由伸投手がドジャースタジアムで入団会見に臨み、背番号「18」のユニフォーム姿を披露しました。会見で山本投手は「勝ちたい、勝ち続けたいという気持ちで決断した」と入団を決めた思いを明かしました。またWBCでの大谷翔平選手のことばを引用し「きょうからは本当の意味で憧れるのをやめなければいけない。自分自身が憧れられるような選手になれるよう頑張る」と話しました。

記事後半では記者会見の様子を詳しくお伝えしています。

山本由伸 会見「勝ち続けたいという気持ちで決断」

ドジャースと12年契約を結んだ山本投手の入団会見は、現地時間の27日午後3時、日本時間の28日午前8時から大谷翔平選手の会見と同じくドジャースタジアムのセンター後方にある広場で行われました。

会見の開始が契約合意の正式発表から、わずか3時間後に設定されたにもかかわらずテレビカメラがおよそ30台、100人ほどの報道陣が詰めかけました。

山本投手はブルーのチェック柄のスーツにブルーのネクタイを合わせて会見に臨み、はじめに背番号「18」の真新しいユニフォーム姿を披露した後、英語で「この歴史的なチームの一員になれたことに興奮している」と少し緊張気味にあいさつしました。

そして、日本語で大谷選手がWBC=ワールド・ベースボール・クラシック決勝のアメリカ戦を前に日本代表メンバーに話したことばを引用して「きょうからは本当の意味で憧れるのをやめなければいけない。自分自身が憧れられるような選手になれるよう頑張る」と話し、笑顔を見せました。

ドジャースを選んだ理由については「最後の最後まで悩み抜いたが、勝ちたい、勝ち続けたいという思いを優先した。いちばん近いのがドジャースじゃないかと思い、決断した」と思いを明かし、チームメートとなる大谷選手についても「大谷さんが仮にほかのチームでも、僕はドジャースを選んでいたと思うが、大谷さんはメジャーの中でもトップの選手なので大谷さんがドジャースを選んだことは決断の1つの理由になった」と話していました。

そして、交渉の際に同席したという大谷選手から「悔いの無い決断をしてね。分からないことあったら聞いてね」と声をかけられていたことも明かしました。

山本投手の契約について、アメリカのメディアはピッチャーとしては大リーグ史上最高額となる12年総額3億2500万ドル、日本円でおよそ463億円にのぼる大型契約になると伝えていて、山本投手は「すごく高く評価してもらったと感謝している。しっかり活躍してその期待を裏切らないように全力で頑張りたい」と、およそ3か月後に開幕するシーズンへ意気込んでいました。

山本投手は、来年3月20日と21日に韓国のソウルで行われるパドレスとの開幕シリーズでの登板も期待されていて、パドレスのダルビッシュ有投手や松井裕樹投手との投げ合いが実現する可能性もあります。

対戦したいのは元チームメート「吉田正尚」

山本投手は入団会見の後にMLBネットワークの番組に出演し、大リーグで対戦したいバッターについて聞かれると「吉田正尚選手」と迷いなく答えました。その上で「日本で同じチームに所属していたので、公式戦で対戦するのが楽しみです」と話し、オリックス時代にチームメートだった5歳年上の先輩との対戦を熱望していました。

ロバーツ監督「すばらしい才能を持った選手が増えた」

(左)ロバーツ監督(右)ゴームスGM

ドジャースのロバーツ監督は記者会見のあと報道陣の取材に応じ、山本由伸投手が加わることについて「われわれは彼の性格やプレーを知るためにたくさんの時間を費やし、多くのビデオを見た。ドジャースファンに彼が受け入れられていくのを見るのがとても楽しみだ」と話していました。そして「彼はとても謙虚でチームメートに心を開いているし、話してみると競争心も秘めていることがわかる。チームにすばらしい才能を持った選手が増えた。フロントはすばらしい仕事をしたと思う」と満足そうに話していました。

オリックス 湊通夫 球団社長「子を送り出す親のような気持ち」

オリックスの湊通夫球団社長は「いつもより緊張しているように見えた。3年前、リーグ最下位だった時に山本投手は大リーグの希望について話し始めていて、その時は『日本一になったらね』と伝えていたが、それが現実のものになった。これまでを振り返り、まるで子どもを送り出す親のような気持ちだ」と心境を話しました。

またオリックスに支払われる譲渡金について「何かに使うというよりは、これまでのチームへのさまざまな投資分を回収できたという考え方だ。2017年に2軍の施設整備に60億円ほどをかけていて、それを短期的に回収できたと考えている。譲渡金の具体的な額や受け取り方は、正式な書面が届いていないので、まだ把握できていない」と話していました。

代理人が明かす “交渉の舞台裏”

山本投手の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏が会見後に取材に応じ、大谷選手が同席したドジャースとの交渉について「大谷と通訳の一平は本当に温かく迎えてくれた。そのおかげで、由伸も心地よく感じたのだと思う」と話しました。

その上で、当初10球団から15球団が興味を示したとしていた獲得合戦については、ドジャースと同地区のジャイアンツが大きなライバルだったことを明かし「普通はある程度交渉が進むと脱落する球団が出てくるものだが、どの球団も最後まで撤退しなかったことが、これほど大きな契約になった要因だと思う。中でも、彼はサンフランシスコの街をとても気に入っていて、大阪の雰囲気に似ていると思ったようだった。もしドジャースが獲得をねらっていなかったらジャイアンツが最終目的地になった可能性も大いにあったと思う」と交渉の舞台裏を明かしました。

また、山本投手の契約合意の正式発表や入団会見の案内が会見の3時間前になったことについては「大リーグ機構と選手会の承認に時間がかかった」と説明し、アメリカでは多くの人が長期休暇を取るクリスマスの時期と重なったことが主な原因だったと明かしました。

そして、この日の会見では山本投手の通訳は代理人事務所のマコ・アルビーさんが務めましたが、シーズンを通して山本投手に同行する通訳は調整を進めている段階だとして、まだ決まっていないことを強調しました。

ウルフ氏は「彼のきょうだいが日本の小学校で英語の先生をしていることもあり、彼自身どんどん英語を学んでいる。1、2年もすればきっとできるようになる」と笑顔で話していました。

ドジャースの背番号「18」は

背番号は「18」に

山本投手の背番号は、プロ野球・オリックス時代やWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの日本代表でも背負った「18」に決まりました。

これまで、ドジャースの背番号「18」は、日本の投手では黒田博樹さん前田健太投手がそれぞれ着用しました。黒田さんは2008年から2011年の4シーズンで合計41勝、前田投手も2016年から2019年の4シーズンで47勝と実績を残しています。

また、大谷選手が山本投手と連番でつけることになる「17」は2002年から2004年にかけて石井一久さんが背負っていて、こちらも3シーズンで36勝と活躍しました。

日本投手が大リーグ1年目であげた最多勝利数は16勝で、2012年にレンジャーズで1年目だったダルビッシュ有投手と2016年の前田投手がそれぞれ記録しています。

《入団会見 詳しく》

7:55ころ

山本由伸 会見場に姿見せる

日本時間の午前8時前、山本由伸投手がドジャースのチームカラーの青色のネクタイを締めたスーツ姿で会見が行われるドジャースタジアムに姿を見せました。会場には150席が用意されてカメラはおよそ30台集まり、注目度の高さを伺わせます。

8:00すぎ

入団会見 始まる

山本投手の入団会見が日本時間の午前8時すぎから始まりました。山本投手はスーツ姿で記者会見場の壇上に上がり、球団のゴームスGMからドジャースの一員になったことが紹介されました。

【動画】山本由伸 背番号「18」のユニフォームに袖を通す

山本投手は、記者会見場で背番号「18」のドジャースのユニフォームに袖を通し、帽子をかぶりました。

ゴームスGM「すぐれた投手を迎えることができわくわく」

ゴームスGMは記者会見の冒頭で「山本投手のようなすぐれた投手を迎えることができわくわくしている。山本選手をずっと追っていて、ここ1年はそれが激しくなった」と述べました。

山本「この歴史的なチームの一員になれたことに非常に興奮」

山本投手は冒頭、英語で自己紹介し、さらに「この歴史的なチームの一員になれたことに非常に興奮しています」と英語であいさつしました。

山本「選手冥利(みょうり)に尽きる」

山本投手は「たくさんの人のおかげて、ここにいることができる。何度も日本に来ていただき、このような高い評価で、メジャーでプレーする機会をくれたドジャースのみなさまに感謝している。たくさんのチームに興味をもらってもらい、熱心に誘ってくれた。選手冥利(みょうり)に尽きる1か月でした。どのチームもすばらしい魅力があり、悩み抜いた結果、断らざるを得なかったチームのみなさんにも時間を割いてもらい感謝している」と述べました。

山本「本当の意味で憧れるのをやめなければならない」

山本投手は「きょうからはドジャースの一員としてワールドチャンピオンになるためにもっと野球がうまくなるよう、新しい毎日を過ごしていくことをロサンゼルスのファンのみなさまにお約束します。きょうからは本当の意味で憧れるのをやめなければいけません。自分自身が憧れられるような存在になれるよう頑張ります」と意気込みを述べました。

山本「この先の何年かの野球人生を任せられると感じた」

山本投手は「フロントのみなさんが人としてもすごく信頼ができると感じた。この先の何年かの野球人生を任せられると感じた」とチームへの信頼を口にしました。

山本「19歳でメジャーへの思いが強くなった」

山本投手は「僕が19歳の時にここでプレーオフを観戦して前田健太投手が登板しているのを実際に見て、その時からメジャーへの思いが強くなった」と述べました。

山本「大谷さんがドジャースを選んだのは決断の1つの理由」

山本投手はドジャースを選んだ際の大谷翔平選手の影響について「大谷さんがもし仮にほかのチームを選んだとしても、もしかしたら僕はドジャースを選んだかなと思うが大谷さんは、日本選手としてだけでなく、メジャーでもトップ選手だと思うので、大谷さんがドジャースを選んだのは、決断の1つの理由となった」と話しました。

山本「大谷選手から『悔いのない決断を』と言われた」

山本投手は、チームメートとなった大谷翔平選手と交渉の際に同席したと報じられたことについて「ミーティングというか球場でお会いした時には『悔いのない決断をしてね』とか『分からないことがあったら何でも聞いてね』と言っていただいた」と明かしました。

山本「高く評価してもらったこと感謝 全力で頑張りたい」

山本投手はピッチャーとしては大リーグ史上最高額の契約になることについて「すごく高く評価してもらったなと感謝しているし、まだこっちでプレーしていないので、その期待を裏切らないように全力で頑張りたい」と話しました。

山本「ドジャースタジアム 美しい」

山本投手は、ドジャースタジアムの印象について「本当にきれいというか美しい。すごく気持ちが高まりました」と話しました。

8:30前

山本由伸 入団会見が終了

山本投手のドジャース入団会見は日本時間の午前8時半前に終了しました。

ドジャース 山本由伸と12年契約で合意と発表

ドジャースは27日、プロ野球、オリックスから大リーグへの移籍を目指していた山本投手と12年契約を結ぶことで合意したと発表しました。

山本投手は球団を通じて「ドジャーブルーを着ることができて本当に興奮しています。ドジャースタジアムの満員のファンの前でプレーするのが待ちきれません」とコメントしています。

アメリカのメディアは、山本投手の契約が12年総額3億2500万ドル、日本円でおよそ463億円にのぼり、ピッチャーとしては大リーグ史上最高額の契約になると伝えています。

ドジャースは今月、大谷翔平選手とも10年総額7億ドルのプロスポーツ史上最高額の契約を結んでいて、2人で総額10億2500万ドル、日本円で1500億円近くにのぼる大型補強はアメリカでも驚きを持って受け止められています。

また、ドジャースは山本投手の入団会見を現地時間の27日午後3時、日本時間の28日午前8時から本拠地のドジャースタジアムで行うと発表しました。

会見には山本投手のほか、ロバーツ監督などが出席するということで、背番号「18」のドジャースのユニフォーム姿も披露されると見られます。

山本投手は、来年3月20日と21日に韓国のソウルで行われるパドレスとの開幕シリーズでの登板も期待されていて、パドレスのダルビッシュ有投手や松井裕樹投手との投げ合いが実現する可能性もあります。

《ドジャースとは》

大谷翔平選手 入団会見(12月)ロバーツ監督と

山本投手が入団することになったドジャースは、大リーグ屈指の人気球団で、140年近い歴史があります。MVPに選ばれた経験のあるスター選手を擁し、11年連続でプレーオフ進出を果たしています。しかし、この10年でワールドチャンピオンに輝いたのは1回のみで、今シーズンはプレーオフの地区シリーズで1勝もできずに敗れました。先日、大谷翔平選手をプロスポーツ史上最高額の大型契約で獲得。来シーズンに向けて”青い血が流れる”とも言われる熱心なファンの期待に応えるため、チーム強化を進めています。

《山本由伸 プロ入りから7年間の歩み》

山本由伸投手は岡山県備前市出身。宮崎の都城高校から2016年のドラフト4位で指名されました。

プロ初勝利 福良監督と(2017年8月)

当初は中継ぎとして活躍。プロ2年目にはリーグ2位の32ホールドを挙げ、翌年から先発に転向。得意のストレートを軸に防御率1.95で最優秀防御率のタイトルを獲得しました。

次のシーズンには149個の三振を奪って最多奪三振。さらに5年目には、自己最多となる18勝を挙げ、最多勝など先発投手のタイトル4つを獲得。“投手4冠”を達成しました。エースとしてチームを25年ぶりのリーグ優勝に導き「沢村賞」に初めて選ばれました。

ファンの期待を背負って迎えた昨シーズン。また1つ快挙を成し遂げました。

初めてのノーヒットノーランです。三振9つを奪い、塁に出たランナーはフォアボールの1人だけでした。

今シーズンも着実に勝利を重ねる中、迎えた9月9日、2年連続のノーヒットノーラン。プロ野球では実に82年ぶりでした。今シーズンは“投手4冠”を3年連続で達成し、前身の阪急以来となる46年ぶりのリーグ3連覇をけん引。沢村賞を3年連続で受賞しました。