大谷翔平 MVP最終候補に 2回目の「満票」なら大リーグ史上初

大リーグで今シーズン、最も活躍した選手に贈られるMVP=最優秀選手の最終候補に大谷翔平選手が選ばれました。

大谷選手はホームラン44本で初のホームラン王を獲得し、ピッチャーとしても10勝をあげるなど、ことしも投打の二刀流で活躍し、2年ぶりのMVP受賞が確実視されています。

大谷翔平 MVP最終候補に 2年ぶり受賞か

大リーグのMVPはレギュラーシーズンに最も活躍した選手に贈られる賞で、全米野球記者協会に所属する記者30人の投票によって選ばれます。

投票はすでに終わっていて、6日、両リーグの上位3人が最終候補として発表され、アメリカンリーグは大谷選手のほか、レンジャーズのシーガー選手とシミエン選手が選ばれました。

大谷選手は大リーグ6年目の今シーズン、バッターとしてホームラン44本を打ってアジア出身の選手として初めてホームラン王を獲得しました。

ピッチャーとしても10勝をあげて、大リーグ史上初となる2年連続での「2桁勝利、2桁ホームラン」を達成し、ことしも投打の二刀流で歴史的な活躍を見せました。

大リーグの選手会が実施したことしの選手間投票では、アメリカンリーグの野手部門で最優秀選手に選ばれていて、シーズンMVPも大谷選手の受賞が確実視されています。

ことしの受賞者は16日、日本時間17日に発表され、大谷選手が受賞すればおととし以来2年ぶり2回目となります。

これまでに日本選手でMVPを受賞したのは2001年のイチローさんと、おととしの大谷選手の2人で、大谷選手が複数回の受賞となれば日本選手初の快挙です。

《ア・リーグMVP最終候補3人の成績を比較》

【大谷選手】
バッターとして135試合に出場し打率3割4厘、ホームラン44本、95打点、20盗塁をマークし、アジア出身の選手として初めてホームラン王を獲得しました。

打率も大リーグで自身初めて3割を超え、出塁率の4割1分2厘がリーグトップ長打率の6割5分4厘は大リーグトップの成績で、いずれも大リーグ6年目で自己最高でした。出塁率と長打率を足した「OPS」も1.066で大リーグトップとなり、自身初めて「1」の大台を超えました。

さらにピッチャーとしても10勝5敗、防御率3.14、167奪三振の成績を残し、大リーグ史上初めて2年連続での「2桁勝利、2桁ホームラン」を達成しました。右ひじのけがの影響で規定投球回には届かなかったものの、9イニングあたりの奪三振数は11.39とバッターを圧倒するピッチングは健在でした。

【シーガー選手】
レンジャーズのシーガー選手は足のけがの影響で119試合の出場にとどまりましたが、打率3割2分7厘、ホームラン33本、96打点と活躍し、打率と打点で大谷選手を上回りました。

一方、OPSは1.013で大リーグ2位で、大谷選手にわずかに及びませんでした。

30歳のシーガー選手はドジャース時代の2016年に新人王を受賞し、MVPでも3位に入りました。今回のMVPの投票に関係はありませんが、プレーオフにめっぽう強く、ワールドシリーズのMVPには2020年と、ことしの2回輝いています。

【シミエン選手】
同じくレンジャーズから最終候補に入ったシミエン選手は、打率2割7分6厘、ホームラン29本、100打点、14盗塁の成績で、OPSは3人の中では最も低い0.826でした。

その一方、3人の中で唯一レギュラーシーズンの全162試合に出場し、185安打と122得点はリーグトップでした。

33歳のシミエン選手はブルージェイズ時代のおととしもホームラン45本を打って大谷選手とMVPを争い、投票で3位に入りました。

米メディアは大谷受賞を確実視 関心は「満票」なるか

アメリカのメディアの間ではシーガー選手とシミエン選手は「歴史的」と言えるほどの活躍ではないとして、投打の二刀流でことしも大リーグを席けんした大谷選手の受賞が確実視されています。

関心はすでに全員が大谷選手に1位票を入れる満票での受賞となるかに移っていて、アメリカの全国紙、USAトゥデーのボブ・ナイチンゲール記者は「MVPは全会一致で大谷だと思うし、もし30対0でなく29対1だったら驚くと思う」と満票での選出を期待していました。

満票でのMVP選出はおととしの大谷選手などあわせて19人いますが、ことし、大谷選手が満票で2回目のMVP受賞となれば大リーグ史上初の快挙となります。

《大リーグのMVPとは》

◆どうやって選出?

大リーグのMVPは、レギュラーシーズンにリーグで最も活躍した選手に贈られる賞で、全米野球記者協会に所属する記者30人の投票によって選ばれます。

大リーグ機構は1931年からMVPを公式記録として認定していますが、前身の表彰は1911年に始まっていて、大リーグで最も歴史のある個人タイトルとも言われます。

1956年に最優秀投手賞にあたるサイ・ヤング賞の表彰が始まってからはMVPは主に野手が受賞するようになり、ピッチャーのMVP受賞は近年では2014年に21勝をあげ防御率1.77をマークしたドジャースのカーショー投手など傑出した成績を残した場合に限られています。

投票するのは球団がある両リーグそれぞれ15の都市の記者2人ずつで、投票はレギュラーシーズン終了直後に締め切られるためプレーオフの成績は考慮されません。

投票ではMVPにふさわしい選手として上位10人を記入し、1位に14ポイント、2位に9ポイントが与えられ、3位以下は1ポイントずつ減って10位が1ポイントとなっています。最も多いポイントを得た選手がMVPに選出され、どの記者が誰に投票したか内訳もすべて公表されます。

◆これまでの受賞者は

【最多受賞=7回】
通算ホームラン762本の大リーグ記録を持つバリー・ボンズさんです。

次いでヤンキースで活躍したジョー・ディマジオミッキー・マントル、エンジェルスのトラウト選手など、10人が3回受賞しています。

「野球の神様」として知られるベーブ・ルースの受賞は1923年の1回です。

日本選手ではイチローさんが大リーグ1年目の2001年にマリナーズで首位打者や盗塁王を獲得して新人王とともにMVPを受賞しました。

大谷翔平選手はホームラン46本を打ってピッチャーとしても9勝をあげたおととし(2021年)、二刀流の歴史的な活躍が評価され、満票でMVPを受賞しています。