3年連続で先発投手の主なタイトル4つを獲得した、日本を代表する山本投手から阪神打線がどう点を奪うのか、注目された第1戦。4回までは阪神打線がヒット2本に抑えられ、緊迫した投手戦になるとみられました。
阪神 快勝の裏に 岡田監督“さい配と指示の妙”山本由伸を攻略
オリックスのエース、山本由伸投手から5回の一挙4点を含む大量7得点を奪った阪神。快勝から見えたのは、大舞台での大事な初戦でさえわたった岡田彰布監督の“さい配と指示の妙”でした。
プロ野球日本シリーズ第1戦、担当記者の解説です。
(大阪放送局 記者 中村拓斗)
【詳しくはこちら】第1戦 阪神が快勝 オリックス山本から大量点
山本由伸をいかに攻略するか?
しかし5回、岡田監督の1つのさい配で流れが大きく変わったのです。
先頭の5番・佐藤輝明選手がヒットで出塁し、続くノイジー選手の初球でした。
今シーズン、盗塁が7個しかなかった佐藤選手がスタートを切ります。
ヘッドスライディングで二塁に滑り込み、ノーアウト二塁の場面を作りました。
このあとチャンスが広がり、この試合で抜てきされた渡邉諒選手のタイムリーヒットで先制。さらに打線がつながり、近本光司選手の2点タイムリースリーベースなどで一挙4点を奪いました。
思い切った盗塁 その伏線が…
思い切ったとも見える佐藤選手へ盗塁のサイン。これには伏線があったのです。
そのシーンは1回までさかのぼります。
先攻の阪神は1アウトから俊足の中野拓夢選手がヒットで塁に出ました。
ここで盗塁を仕掛けましたがバッターが三振、中野選手もアウトのダブルプレーでチェンジ。山本投手の立ち上がりを攻めきれませんでした。
岡田監督は試合後「中野選手がその前にアウトになったから、相手は盗塁は来ないと考えていると思った。佐藤選手は思い切りがいいから初球からいけた」と明かしました。
一方、オリックスのキャッチャー、若月健矢選手は「ノーマークではなかったが、初球に仕掛けられたのはまさかだった」と話し、予想外のプレーだった様子。
岡田監督が相手バッテリーの心情を読み取って仕掛けたサインが大きく流れを引き寄せました。
山本由伸の“ストレートをねらえ”
さらにもう1つ、山本投手を攻略するカギとなった指示がありました。
それは「ストレートをねらうこと」。
岡田監督は今月23日の練習後の取材で、自身が難攻不落の山本投手と対戦するならどう攻略するか問われ「そら、まっすぐやろ。おーん。ピッチャーというのはまずまっすぐが一番の武器なわけやから。それに合わして打つということやろ」と語っていました。
第1戦の試合前、選手たちに「まっすぐを打ってフォークは見送れ」と指示していたのです。
その指示を実行するかのように150キロ台のストレートを次々に捉えていった選手たち。
その結果、一挙4点を奪った5回の5本のヒットのうち実に4本がストレートでした。
岡田監督は「その通りになったやんか。『まっすぐ打ってフォークは見送れ』って言うただけよ。フォークの打ち方なんか教えてないもん。フォークの打ち方を教えるバッティングコーチなんかいてないもん。そういうことやん」と話していました。
指揮官のさい配と指示を選手たちが実行し、相手の絶対的エースを崩して初戦を制した阪神。
みずからが選手で成し遂げて以来となる38年ぶりの日本一に向けて、このまま勢いに乗ることができるのか。
第2戦も岡田監督の言動から目が離せません。