ラグビーW杯 日本代表 強豪イングランド戦に向け最後の調整

選手たちは16日、イングランド戦に向けて、練習拠点のニース近郊のグラウンドで最後の調整を行い、冒頭のおよそ15分が報道陣に公開されました。

選手たちはダッシュや軽いパス練習で汗を流し、初戦をけがで欠場し、2戦目から先発で復帰するキャプテンの姫野和樹選手やベテランのリーチマイケル選手、チーム最年長の37歳、堀江翔太選手などが軽快な動きを見せていました。

イングランドは、日本が過去10回対戦して一度も勝ったことがない相手で、去年秋のテストマッチでは13対52で大敗しています。

日本にとっては1次リーグ突破に向けて大きな山場となります。

イングランドとの試合は現地時間の17日、日本時間18日の午前4時からで、NHKは試合の模様をBS1やBS4K、ラジオ第1で中継します。

日本はイングランドと過去10回対戦し、すべて敗れています。

最初の対戦は1971年、大阪の花園ラグビー場と東京・秩父宮ラグビー場で、1戦目は19対27、2戦目は3対6で惜敗しました。

1987年第1回のワールドカップでは7対60の大差で敗れました。

最近では2018年、2022年とラグビーの聖地、トゥイッケナムスタジアムで対戦し、15対35、13対52とイングランドの強いフィジカルと高さに圧倒されました。

元日本代表の山村亮さんは「スクラム」と「ハイボールへの対応」が試合の流れを決めると話しています。

日本は去年11月のテストマッチで、強力フォワードを前面に出してスクラムを押してくるイングランドに対し、ペナルティーを繰り返して敗れました。

山村さんはそれを念頭に、今回はフォワードの8人がまとまって相手の圧力を止めることが重要だとしています。

そして、試合が始まって最初に組むファーストスクラムが試合展開を占ううえでの注目ポイントだとして、「スクラムはフォワードの8人にそれぞれの役割があるので、8人が責任を全うして、丁寧かつ強気に攻めること。イングランドにはジョージ・フォード選手というすばらしいキッカーがいるので、スクラムで簡単にペナルティーをとられないことが重要になる」と話しました。

次に、イングランドが得意とする「ハイボールへの対応」については、ボールを蹴り上げたあと、激しくプレッシャーをかけてボールを奪いに来る相手に対し、ウイングの松島幸太朗選手やフルバックのセミシ・マシレワ選手などがしっかりボールを確保して、日本のアタックにつなげられるかが鍵を握ると話しました。

イングランドは1メートル96センチの長身フルバック、フレディー・スチュワード選手などバックスにも大型の選手が多く、日本は捕球する際のジャンプのタイミングやスキルで競り負けないことが重要だとしています。

そのうえで、予想される試合展開について、「イングランドはディフェンスもいいので、敵陣に入ってトライがとれないときは松田力也選手のキックで確実に得点することも大事になる。勝負どころでは日本のテンポのいい速い球出しで、ディフェンスが整う前に崩しきるアタックを見たい」と話していました。

日本とイングランドとの試合が行われるニースでは、それぞれのチームのファンから好ゲームを期待する声が聞かれました。

福岡県の80代の男性は、前回大会で活躍した福岡堅樹さんの出身校、福岡高校の卒業生だということで、「今回は福岡さんがいませんが、松島選手や長田選手がトライを決めてくれると思います。イングランドは一度も勝ったことがない相手ですが、日本も調子が上がってきたのでやってくれると信じています」と話していました。

前回大会で購入したという日本代表のジャージを着たイングランドの男性は、「楽しめる試合になると思います。日本代表はここ数年よくなっているし、イングランドにとっては厳しい試合となるでしょう。きょうは日本のジャージを着ていますが、試合が行われるあすはイングランドのジャージを着るつもりです」と話していました。

イングランドから来た60代の男性は「4年前、横浜市で日本対スコットランドの試合を観戦しましたが、日本は最後の最後までチームのためにみんなが献身的にプレーしていました。あすの試合、日本が外に展開すれば松島選手などのトライが生まれるでしょうし、そうでなければイングランドがドロップゴールやラインアウトでトライを狙う形になると思います。20点台の勝負になると思います」と話していました。

名古屋市から妻と一緒に来た男性は「4年前は感動したので、今回もジャイアントキリングがあるといいなと思って、イングランド戦にしぼって見に来ました。日本代表に思いきり前に出てほしい」と話していました。