【詳報】岸田首相 内閣改造 記者会見「補正予算案編成へ」

岸田総理大臣は第2次岸田第2次改造内閣の発足を受けて13日夜、記者会見し、物価高などに対応する経済対策を来月中をメドにとりまとめ、その裏付けとなる補正予算案の編成を指示する考えを明らかにしました。また、官民の連携などにより、「物価上昇率プラス数パーセント」の継続的な賃上げの実現を目指す考えを示しました。

補正予算案編成へ 物価高などに対応する経済対策を

この中で岸田総理大臣は、政権発足からの2年近くで経済、外交で成果をあげてきたとする一方、経済、社会や国際情勢の急速な変化を前に、取り組みはまだ道半ばだという認識を示しました。

その上で「この内閣は『変化を力にする内閣』だ。変化を力として閉塞感を打破し、所得であれ、福祉であれ、外交関係であれ『あすは、きょうより良くなる』と、誰もがそう思える国づくりを一緒に行っていく」と述べました。

そして、政策の第1の柱は経済だとして、長年続いてきた「コストカット経済」などを脱却し、賃上げや人への投資の促進など、転換が進み始めていると説明するとともに「この動きを着実なものにするため、まずは足元の物価高に対応しなければならない。新しい体制で必要な予算に裏打ちされた思い切った内容の経済対策をつくり、早急に実行していく」と述べました。

その上で「月内には閣僚に経済対策の柱立ての指示を行い、来月中をメドに取りまとめを目指す」と述べ、物価高などに対応する経済対策を来月中をメドにとりまとめ、その裏付けとなる補正予算案の編成を指示する考えを明らかにしました。

そして、みずからが掲げる経済政策「新しい資本主義」に向けた取り組みを加速するとして官民の連携などにより、「物価上昇率プラス数パーセント」の継続的な賃上げの実現を目指す考えを示しました。

このほか、次元の異なる少子化対策の実施に向け、必要な制度改革の法案を来年の通常国会に提出するほか、認知症対策や花粉症対策にも力を入れていく方針を明らかにしました。

さらに社会のデジタル化をめぐり「コロナのときの『デジタル敗戦』は二度と繰り返さない。デジタルを力として地方経済の成長を図り、同時に利用者目線を第一に据えて、国と地方の行財政の仕組みを変えていく」と述べ、河野デジタル大臣を司令塔とする「デジタル行財政改革会議」を新たに設置する意向も明らかにしました。

また外交・安全保障については、G7=主要7か国や日米豪印4か国によるクアッド、それに日米韓3か国の枠組みを活用しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の強化に向けた取り組みを継続していく考えを示しました。

旧統一教会問題 「結論を出すべく最終の努力」

旧統一教会をめぐる問題で、岸田総理大臣は、「しっかりとした結論を出すべく、最終の努力を進めていく」と強調し、教団に対する解散命令を裁判所に請求するか、最終的に判断する考えを示しました。

旧統一教会をめぐる問題で、文部科学省は、宗教法人法に基づく質問権をこれまで7度にわたって行使しましたが、教団側が適切に対応していないなどとして行政罰の1つである「過料」を科すよう東京地方裁判所に通知するとともに、解散命令請求を行うかどうか検討を続けています。

岸田総理大臣は、今夜、行った内閣改造に伴う記者会見で「7回にわたる報告徴収の実施とともに、全国弁護団や元信者など、数多くの方々からの証拠収集も着実に進んでいる」と述べました。

その上で「この問題にしっかりとした結論を出すべく、最終の努力を進めていく。宗教法人審議会の意見もうかがいながら、法に基づき、最終的に判断していく」と強調し、教団に対する解散命令を裁判所に請求するか、最終的に判断する考えを示しました。

また、解散命令請求に踏み切る考えか問われたのに対し、「法律に照らして請求を行えるかどうか、しっかり判断し、手続きを進めていく」と述べました。

一方、今回起用した閣僚と旧統一教会との関係について「自民党で昨年、詳細に点検・報告し、厳正な見直しを行った。各閣僚は過去の関係いかんにかかわらず 現在は、関係を一切、有していないことを前提として任命している」と述べました。

補正予算案編成へ「経済対策 早急に実行」

岸田総理大臣は、「新しい体制で必要な予算に裏打ちされた思い切った内容の経済対策をつくり、早急に実行していくことを最優先にしていきたい。月内には閣僚に対して、経済対策の柱立ての指示を行い、来月中をメドに取りまとめを目指す」と述べました。

その上で「補正予算の編成については、経済対策の取りまとめを行ったあと、その内容を踏まえて、しかるべき時期に指示を行いたい」と述べました。

衆議院解散「今はまず思い切った経済対策」

岸田総理大臣は、衆議院解散の時期について問われたのに対し「今はまず思い切った経済対策をつくり、早急に実行していくことを最優先に日程を検討していく。現時点ではこれ以上申し上げることはない」と述べました。

防衛増税「景気や賃上げの動向を踏まえ判断」

岸田総理大臣は、防衛費増額の財源を賄うための増税の時期について「行財政改革を含めた財源調達の見通しや、景気や賃上げの動向、それに政府の対応を踏まえて判断するとされていて、政府・与党でさまざまな議論が行われている。こうした議論を通じ、与党と連携して判断していきたい」と述べました。

また防衛装備品の輸出ルールの見直しについて「防衛装備品の海外への移転はわが国に好ましい安全保障環境の創出や国際法に違反する侵略を受けている国への支援のために重要な政策手段と位置づけられている。国際情勢の変化の中で、わが国としても適切に判断していかなければならず、与党としっかり連携しながら議論に貢献していきたい」と述べました。

憲法改正「実現したい思い いささかも変わっていない」

岸田総理大臣は、憲法改正について「憲法改正を実現したいとの思いはいささかも変わっていない。まずは、国会の憲法審査会の議論などを活発化してもらうことを期待したい。そして、それに向けての思いや決意として、憲法改正の議論を進めるための布陣を強化することをしっかりと考えたい。国会での議論や自民党での議論でも、布陣を強化することで、こうした取り組みに対する覚悟を示させてほしいと思っている」と述べました。

中国 輸入停止措置「即時撤廃を求める」

岸田総理大臣は、中国による日本産の水産物の輸入停止措置をめぐり「2国間や多国間の機会、また、WTO=世界貿易機関やRCEP=地域的な包括的経済連携などの通商枠組みの場も活用しながら引き続き、中国に対し、即時撤廃を求めていきたい」と述べました。

その上で「わが国の水産業は断固として守り抜いていかなければならない。対策をしっかりと実施することによって、国民や水産業関係の方々の安心につなげていかなければならない」と述べました。

女性閣僚「女性ならではの感性発揮しながら仕事を」

過去最多に並ぶ5人の女性閣僚を起用したことについて岸田総理大臣は、「あくまでも人事は適材適所だ。女性議員をより増やしていかなければいけないという課題は認識しているが、現在、活躍している女性議員の中にも豊富な経験を持つ優秀な人材がたくさんいる」と述べました。

その上で「今回、そうした中から、できるだけ経済、社会、外交・安全保障の3つの柱を中心とした政策を進めていくため活躍してもらえる人を選んだ。ぜひ、女性ならではの感性や共感力も十分発揮しながら仕事をしてもらうことを期待したい」と述べました。

小渕氏の起用「能力や知見いかしてもらいたい」

岸田総理大臣は、自民党の選挙対策委員長に小渕優子氏を起用したことについて「自民党ではこれまで政務調査会長代理や選挙対策委員長代行、組織運動本部長を歴任し、高い実務能力と選挙対策への知見を培ってきている。ぜひこうした能力や知見を十分いかしてもらいたいということでお願いした」と述べました。

その上で「自民党は今後10年間で女性議員30%への到達を目指し、女性議員の活躍促進を最重要課題として掲げている。小渕選挙対策委員長には候補者の発掘やきめ細かい支援など先頭に立って力を振ってもらいたい。あわせて、選挙の顔の1人としても活躍してもらうことを期待している」と述べました。

拉致問題「ハイレベル協議模索する努力続ける」

岸田総理大臣は、「拉致問題は、日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り開いていくという観点から、私の決意を、あらゆる機会を逃さず、キム・ジョンウン総書記に伝え続ける。さまざまなルートを通じて働きかけを行い続ける」と述べました。

その上で「拉致被害者の方、被害者家族の方々の高齢化を考えると、この問題は時間的制約のある人権問題だ。危機感をしっかり共有しながら私直轄でのハイレベルの協議を模索する努力を続けていきたい」と述べました。

「いかなる政党も政策議論 真摯に対応」

岸田総理大臣は、「自民党内で国民民主党を連立政権に加える構想が出ているが」と問われたのに対し「自公連立の実を上げることに集中することが大事だ。その上で、いかなる政党であれ、経済対策をはじめ政策議論に真摯に対応し、議論を深めた上で、必要な連携を進めていく姿勢は大事だ」と述べました。