【詳しく】H2Aロケット47号機 打ち上げ成功 月探査機 軌道投入

日本初の月面着陸を目指す月探査機「SLIM」などを搭載した「H2A」ロケット47号機は、7日午前8時42分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、午前9時半ごろに「SLIM」を軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

JAXA理事長「一歩目を踏み出したことに安ど」

打ち上げの成功を受けて、JAXA=宇宙航空研究開発機構の山川宏理事長は記者会見し「それぞれのミッションの実現に向けて一歩目を踏み出したことに安どしている。製造や運用に関わる企業や関係者の尽力のたまもので、国民の皆さんに成功の報告ができることをうれしく思う。今回のミッションは日本の宇宙開発のプレゼンス向上に寄与するもので、引き続き一丸となって取り組んでいきたい」と述べました。

岸田首相「宇宙開発の発展を後押し」

岸田総理大臣は旧ツイッターの「X」で「私が文部科学副大臣として試験機1号機打ち上げを現地で見届けたのが22年前。世界の宇宙開発競争が激化する中、基幹ロケットの開発は日本の自立的な宇宙活動に不可欠です。この勢いをH3ロケットの再打ち上げ成功と宇宙開発の発展につなげるため後押しして参ります」と投稿しました。

打ち上げ成功までの動き

6:30ごろ 気象条件 問題なし

「H2A」ロケット47号機は、天候不良により打ち上げの延期が続いていましたが、7日の発射場周辺の天気はおおむね良好で、打ち上げを担当する三菱重工業によりますと、気象条件は6時半現在問題ないということです。

今回の「H2A」ロケット47号機には日本初の月面への着陸を計画しているJAXA=宇宙航空研究開発機構の無人探査機「SLIM」(スリム)と、NASA=アメリカ航空宇宙局などと共同で開発した新たな天体観測衛星「XRISM」(クリズム)が搭載されています。

8:42 打ち上げ

「H2A」ロケット47号機は、7日午前8時42分、種子島宇宙センターから打ち上げられました。

発射場から3キロほど離れた場所では、打ち上げの瞬間、ごう音が響き、ロケットが上空に飛んでいく様子が確認されました。

「H2A」ロケット47号機は、補助ロケットや1段目のエンジンを切り離しながら上昇を続け、このあと午前9時半ごろに高度およそ620キロで日本初の月面着陸を目指す月探査機「SLIM」を予定の軌道に投入する計画です。

9:30ごろ 打ち上げ成功

「H2A」ロケット47号機は補助ロケットなどを切り離しながら上昇を続け、午前9時まえに天体観測衛星「XRISM」を、午前9時半ごろには高度およそ620キロで日本初の月面着陸を目指す月探査機「SLIM」を、それぞれ切り離して軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

JAXAによりますと「XRISM」も「SLIM」も地上との通信が確立され、軌道上で正常に作動していることが確認されたということです。

月探査機「SLIM」は、3、4か月後に月の周回軌道に入り、来年1月から2月ごろにかけて日本初の月面着陸に挑む計画です。

「H2A」ロケットをめぐっては、ことし3月に新たな主力ロケット「H3」の初号機が打ち上げに失敗し、影響が懸念されていましたが、JAXAは共通する部品の検査を強化するなど対策を講じてきました。

「H2A」ロケットは、打ち上げ能力を強化した「H2B」も含めると、成功率98%と世界的にも高い水準を誇っていて、「H3」の打ち上げ失敗以降初めてとなる大型ロケットの打ち上げが注目されていました。

見学した人たちは

ロケットの発射場から北西に6キロメートル余り離れた鹿児島県南種子町の「長谷展望公園」には打ち上げ予定時刻が近づくにつれて、子ども連れやカメラを持った人などが集まりました。

種子島の西之表市から来た60代の女性は「朝の7時に家を出るのが早すぎると言われましたが、気が気ではなくて夫を引っ張ってきました。打ち上がるように願ってます」と話していました。

福井県から家族と来た40代の男性は「宇宙好きの子どもがどうしても行きたいと言うので、急きょ来ました。なんとか成功してほしいです」と話していました。

そして、カウントダウンが始まると集まっていた人たちは静かに見守り、ロケットがごう音とともに打ち上がり見えなくなると、拍手が沸き起こっていました。

福井県の40代の男性は「打ち上がってくれてよかったです。飛んだ後に遅れて聞こえてくる音が迫力があり、すごかったです」と話していました。

鹿児島市から来ていた70代の男性は「感動しました。ミッションも絶対に成功すると思います」と話していました。

宮崎 都井岬でもロケット発射見守る

海を挟んで110キロ余り離れた宮崎県串間市の都井岬にはロケットの発射を見ようと30人ほどが集まり、種子島の方角に目をこらして打ち上げを待ちました。

7日は朝から快晴となり、水平線上にうっすらと種子島が見えていました。

打ち上げから少しすると、オレンジ色の炎と白い煙を出しながら上空を上昇していくロケットが見え、集まった人たちは「上がった」とか「見える見える」といった歓声を上げていました。

宮崎市から訪れた70代の男性は「ロケットが太陽の光を浴びてきれいに見えて最高でした。成功してよかった」と話していました。