なでしこ“強固な守備をサイド攻撃で攻略”【解説】

前回のサッカー女子ワールドカップで苦杯を喫した決勝トーナメント1回戦を突破した日本代表「なでしこジャパン」。ベスト8進出をつかみ取ったのは、前半の戦いを受けて柔軟に攻め方を変えた指揮官の指示でした。ノルウェーは1次リーグとは異なる強固な守備を敷いてきましたが日本は、サイドを巧みに使って決勝点につなげたのです。

海外メディアからも「2度目の女子ワールドカップ優勝に一歩近づいた」などと高く評価されています。

ノルウェー 強固な守備

1次リーグ第3戦のスペイン戦では引いて守って奪ったあとのカウンターで効果的に得点した日本でしたが、この試合は正反対の戦いを強いられました。

司令塔 長谷川唯 選手

ノルウェーは1次リーグの3試合で11点をあげた日本に対し、前線からプレッシャーをかけることはしませんでした。

▽最終ラインの守備の人数を5人と1次リーグから1人増やし
▽中盤にも4人の選手を並べる分厚い守備のブロックを敷いて日本の攻撃を待ち受けました。

日本の池田監督は相手が守備にかける人数を増やしてくることは事前に想定していましたが、前半は割り切って引いて守る相手の守備になかなかスペースを見つけることができず、オウンゴールの1点のみで前半を終えました。

池田監督の指示“サイドをうまく使って”

打開を図った池田監督がハーフタイムに出した指示は「サイドのプレーヤーをもっとうまく使って相手の密集をほぐすようなこともしていこう」というものでした。

池田太 監督

この狙いは開始早々に的中しました。

後半5分、左サイドに開いた遠藤純選手にパスが通ると、相手ディフェンス陣が遠藤選手を意識して、中央にスペースが生まれました。そのスペースを見逃さず中央の宮澤ひなた選手、そしてペナルティーエリアに侵入した長谷川唯選手へとパスがつながりました。

清水梨紗 選手が勝ち越しゴール

このあと相手にいったんはボールがわたりましたが、すぐに清水梨紗選手が奪って押し込んで決勝点となる2点目につなげました。

これについて池田監督は「後半はしっかりサイドも使えてチームとして少しずつ攻撃が機能していった」と選手たちをたたえました。

清水選手をたたえる池田監督

日本の得点力を封じようとした相手の戦術をさらに上回る一手を打った指揮官と、それを遂行できる技術と対応力を見せた選手たち。

前回大会では苦杯をなめさせられた決勝トーナメント1回戦で日本は新たな強さを示しました。

《海外メディアも高く評価》

サッカー女子ワールドカップの決勝トーナメント1回戦で日本代表「なでしこジャパン」がノルウェーに勝利したことについて、海外メディアもその戦い方などを高く評価して伝えています。

【米CNNテレビ(電子版)】
アメリカのCNNテレビの電子版は「これまでのところ日本はこの女子ワールドカップで、ほぼ間違いなく最高のチームだ」と伝え、日本代表の戦い方を高く評価しています。

【英公共放送BBC(電子版)】
イギリスの公共放送BBCの電子版は、日本の勝利を速報で伝え、抱き合って喜ぶ日本代表の選手たちの写真とともに「日本は2度目の女子ワールドカップ優勝に一歩近づいた」としています。

【ロイター通信】
ロイター通信は「宮澤選手が再び決めた。日本がノルウェーを破って準々決勝進出」とする見出しとともに日本の勝利を大きく伝えています。

追加点を決めた宮澤ひなた選手(真ん中)