G7広島サミット きょう開幕 国際秩序 核廃絶などで議論へ

G7広島サミットが19日に開幕します。議長国・日本は、ロシアや中国の動向を踏まえ、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化に向けてG7の結束を示したい考えです。また被爆地・広島でのサミットで、核廃絶に向けてどのようなメッセージを打ち出せるのかも焦点です。

日本では7年ぶりとなる主要7か国の首脳会議、G7広島サミットは19日から3日間の日程で開かれます。

午前中、議長を務める岸田総理大臣が広島市の平和公園で各国の首脳らを出迎え、そろって原爆資料館の視察などを行ったあと、午後から本格的な討議に入ります。

21日までの期間中、招待国の首脳らが参加するものも含めて10のセッションが行われ、世界経済やウクライナ情勢、それに、核軍縮・不拡散や食料・エネルギー問題などをめぐって意見が交わされます。

岸田総理大臣としては、ウクライナ侵攻を続けるロシアや覇権主義的な行動を強める中国の動向を踏まえ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、G7の結束を示したい考えです。

また、国際協調を広げるには「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国との連携が不可欠だとして、こうした国々が直面する課題への関与の強化も図る方針です。

さらに、ChatGPTなど生成AIの急速な普及を受けて、国際的なルールづくりも主導したい意向です。

一方、岸田総理大臣は被爆地では初めてとなる今回のサミットで、核廃絶の機運を高めたいとしていて、核保有国も含むG7として、どのようなメッセージを打ち出せるのかも焦点です。

経済分野の焦点は

G7広島サミットは19日から3日間の日程で開かれ、ウクライナ侵攻や米中の対立などを背景に、今回初めて経済安全保障を中心に議論を行うセッションが20日に設けられます。

この中では中国を念頭に禁輸などで他国の政策や意思決定に影響を与えようとするいわゆる「経済的威圧」にG7各国が連携して対抗するための枠組みを設けることなどを議論する見通しです。

また焦点のエネルギー分野では、世界全体で、二酸化炭素の回収といった排出削減対策が取られていない化石燃料を段階的に廃止することで合意に向けて調整が進められていることが新たに分かりました。

このほかデジタル分野では、ChatGPTなどの生成AIについて、著作権の侵害や偽情報への対応などを閣僚級で議論し、年内に共通見解をまとめる方向で議論が行われる見通しです。

さらに食料危機への懸念が高まるなか、「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国や新興国に対する農業支援のあり方もテーマとなり、一連の会合の成果を首脳宣言や成果文書としてまとめることにしています。

国内IT企業 “AI規制”に「慎重な議論が必要」

G7広島サミットでChatGPTなど生成AIの利用や規制のあり方などが議論されることについて、国内のIT企業からは、AIを活用したビジネスが阻害されないよう、慎重に議論を行うべきだといった声があがっています。

東京にあるIT企業「Ridge-i」では、実用化が進む生成AIについて、顧客への対応や書類や資料の作成などに活用できないかという取引先からの相談が増えているということです。

その一方で、取引先からは情報漏えいのリスクのほか、書類などを作成する過程で信頼性の低い情報が紛れ込むことへの不安の声も多いということです。

このためこの会社では、AIの精度を高めるためにも信頼性の高いデータの流通に向けた制度づくりの議論が進むことに期待する一方、AIを活用したビジネスが阻害されないよう慎重に議論は行われるべきだとしています。

この会社の小松平佳取締役は「先端技術を扱う立場としてAIの活用と規制の両立が大事だと考えている。特に規制は、開発が進んでいる企業の動きを意図的に止めることもできるので、慎重な議論が必要だ」と話していました。

警察は最大級の警戒態勢

各国首脳が移動する広島市内や宮島では大規模な交通規制が予定されています。警察はテロなど万が一の事態を防ぐため、最大級の警戒態勢で臨む方針です。

初日の19日は、アメリカのバイデン大統領をはじめ各国首脳が、平和公園や宮島などを訪問する見通しです。

首脳らの移動に伴って、広島市内中心部や宮島の一部の沿岸道路では大規模な交通規制が予定されています。

警察は先月、和歌山県を訪れていた岸田総理に向かって爆発物が投げ込まれた事件を受けて、不審者や不審物への対応を強化していて、各国首脳の訪問先や移動ルートの沿道などでは、職務質問や所持品検査を徹底することにしています。

平和公園の周辺ではすでに立ち入りが厳しく制限されていて、不審物が発見された場合に初動対応にあたる爆発物処理班を近くに待機させ警戒にあたります。

また宮島へは船を使った移動が想定されているため、警備艇を出動させるとともに、海上保安庁とも連携して臨海部の警備にあたることにしています。

このほか、主要な駅や空港など多くの人が集まる「ソフトターゲット」と呼ばれる場所でもテロの危険性が高まるとして、警察は、万が一の事態を防ぐため、最大級の警戒態勢で臨む方針です。