マスク着用 きょうから個人の判断に 街の変化は?【詳しく】

新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日に「5類」に移行するのを前に、政府は3月13日からマスクの着用を個人の判断に委ねます。

一方で、高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関を受診する際などは着用を推奨するとしていて、政府は混乱が生じないように、SNSやテレビCMなども活用して丁寧に周知していく方針です。

マスクの着脱をめぐる13日のさまざまな動きを詳しくお伝えします。

横浜中華街 マスク着用を求めない指針

横浜中華街の飲食店などで作る組合では、着用を求めない指針を示しています。

中華街にある店では指針を受けて、これまで掲示していた着用を求めるチラシや立て札を取り外したほか、客どうしの間の仕切りの板も撤去されました。

一方、これまで通り、▼アルコール消毒液を入り口やテーブルに置いて客に手や指の消毒を呼びかけるほか、▼店の従業員は調理や接客の際にマスクを着用するということです。

「横浜中華街発展会協同組合」の石河陽一郎副理事長は、「新型コロナには感染拡大と収束の波があり、まだ安心できる時期ではないと思います。飲食店やみやげ物店など中華街にはさまざまな種類の店があるので、それぞれの店の従業員には衛生対策を徹底するよう呼びかけています」と話していました。

13日の中華街は、マスクをつけていない人の姿はまばらで、多くの人はマスクを着用して観光を楽しんでいました。

マスクをつけて茨城県から観光に訪れていた18歳の女性は、「一度、新型コロナに感染しているので、もう絶対に感染したくないと思って着用しています。感染者数が減っていてもまだ不安が残ります」と話していました。

神奈川県鎌倉市から家族と訪れていた40代の女性は、「子どもがいるうえ、仕事もあるので、感染予防のために当面はマスクをつけたいと思っています」と話していました。

従業員のマスク着用をやめるところも

一方、飲食店の中には、従業員がマスクの着用をやめるところも出ています。

東京・港区の和食店では、客だけでなく、従業員のマスクの着用も個人の判断に委ねて営業しています。店の入り口には、マスクを着けている人も着けていない人も歓迎するといった趣旨の案内を掲示し、客にも店の方針を伝えるようにしています。

13日は、5人の従業員が全員マスクを外して仕事をしていて、料理を運ぶ際は客に笑顔を見せるなどして接客にあたっていました。

大石誠店長は「コロナ前のように笑顔が見える形で営業したいと思い、今回の対応をとりました。一方で、まだマスクを外すことに不安がある人もいると思うので、客の声をよく聞いた上で丁寧に接客していこうと思います」と話していました。

両陛下はマスク着用で公務

天皇皇后両陛下はマスクをして公務に臨まれました。

両陛下は午後2時半、皇居の御所で、アンゴラのロウレンソ大統領夫妻をマスク姿で出迎えられ、およそ25分間の懇談中、双方ともマスクを着用していたということです。

午後4時から皇居・宮殿で、長年社会に貢献したとして表彰を受けた警察職員たちと面会する際も、両陛下ともマスクをして言葉をかけられていました。

宮内庁では、皇居内の行事でのマスクの着用について、個別の状況を見ながら判断するとしていますが、十分な距離を確保できずに会話をする場面では、着用を求めるということです。

県認証の飲食店 着用呼びかけを取りやめ

埼玉県の認証を受けているさいたま市浦和区のレストランでは、来店客にマスク着用を呼びかけることを取りやめています。

開店前、入り口近くにはっていた感染対策に関するチラシを、マスク着用の項目が削除されたものにはり替えました。

昼前に店が開店すると次々に客が訪れましたが、ほとんどの人がマスクを着けていました。

これまで、埼玉県の飲食店への認証制度では、正当な理由がなくマスクを着用していない客の入店禁止や、食事中以外のマスク着用の推奨などの感染対策が認証の基準になっていました。

しかし、13日からこの項目は削除され、県は認証を受けている2万8000店あまりにマスク着用の呼びかけは求めないことを周知しました。

このレストランでは、スタッフは引き続きマスクを着用するほか、手指の消毒液や客席のパーティションなどの感染対策も続けることにしています。

オーナーの河本栄樹さんは「お客さまそれぞれの判断があると思いますが、マスク着用でお越しいただきたいのが正直な思いです」と話していました。

聴覚障害者は期待と不安

聴覚に障害がある人たちは、手話とともに表情や口元の動きを見て相手が伝えようとすることを読みとっていて、これまではマスクのため意思の疎通が難しくなるケースもありました。

マスクの着用が個人の判断に委ねられることについて、奈良県橿原市で手話教室に参加した聴覚に障害がある人たちからは、感染拡大に対する不安の声が上がる一方で、顔が見えることでこれまでよりコミュニケーションが取りやすくなると期待する意見も聞かれました。

40代の女性は「顔の半分がマスクで隠れ、表情から相手が怒っているのかなどがわかりにくいことがあった。顔全体が見られるようになれば個人的にはうれしく思う」と話していました。

奈良県聴覚障害者協会の北田知子理事長は、「ここ数年は不便なことがいろいろあった。今後、少し期待している部分もある一方、コロナの感染もまだ続くのかと不安な部分もある。ただ、私たちは、相手の顔を見てコミュニケーションをとっていることを皆さんに理解してほしい」と話していました。

大相撲 多くの人がマスク着用して観戦

日本相撲協会は、観客のマスクの着用については原則、個人の判断に委ねるとした上で、来場者に配る取組表には「感染予防対策として、着用を推奨しています」と記載しています。

大阪府立体育会館で行われている春場所では、マスクを着用していない人の姿は一部にとどまり、多くの人が着用して観戦を楽しんでいました。

ことしの春場所は4年ぶりに観客数の上限を設けずに開催されていて、兵庫県の30代の男性は「人が多いのでマスクを着けようと思うが、力士も声援が力になると思うので、徐々に緩和されて盛り上がってほしい」と話していました。

相撲協会は感染予防のため、力士や親方などの協会員には引き続きマスクの着用を求めることにしています。

マスクの激安セールに長蛇の列

鹿児島市の複合商業施設「センテラス天文館」では、テナントのショップが今後、マスクの需要が減ることを見越して在庫を処分するために、定価の半額以下の値段でマスクのセールを行いました。

売り場スペースには箱入りの使い捨てマスクが山積みされていて、買い物客らは両手いっぱいに抱え、レジには長蛇の列ができていました。

4箱のマスクを買い求めた30代の女性客は「マスク生活に慣れているし、子どももいるので、引き続き着用していこうと思います」と話していました。

店舗の従業員は「マスクの着用が自由になるので売り尽くそうかなと思っています。まとめ買いが多く、在庫を出すのが間に合わずパニックです」と忙しそうに話していました。

高齢者施設 職員がマスク着用して業務

重症化リスクの高い高齢者が入所する施設などでは、マスクの着用が推奨されていて、東京・多摩市にある特別養護老人ホーム「白楽荘」でも、職員がマスクを着用して感染対策に気を配りながら介護業務を行っていました。

職員の26歳の女性は「マスクには慣れたし、しかたないかなと思います。ただ、入所者からはマスクをしていると表情がわからないとよく言われるので、しっかり目をあわせて話したり、高い声で聞き取りやすくしたり工夫が必要だと思っています」と話していました。

また、この施設では、2月18日から入所者とその家族との対面での短時間の面会を再開しましたが、今も面会で訪れる人にマスクの着用を呼びかけています。

鶴岡哲也施設長は「職員は自分が感染して施設の入所者にうつしてはいけないという危機感を持ち続けています。一方で社会全体の新型コロナに対する危機感が薄れていかないか心配していて、社会の一人ひとりに重症化リスクの高い人を感染させないための行動を考えてほしいと思います」と話していました。

民間企業 社内の打ち合わせは全員マスク

東京都内の企業のなかには、13日から社内で対面で会話する時などを除いて、個人の判断に委ねるという新たなルールを運用するところもあります。

このうち、東京・千代田区にある商社の三洋貿易は、社内のルールで12日まで業務中はマスクを着用するよう求めていましたが、13日からはルールを見直し、社内で対面で会話する時や、顧客訪問や社内外で会議などをして社外の人の許可がない時、それに本人や家族の体調がすぐれない時を除いて、マスクの着用を個人の判断に委ねることにしました。

オフィスではマスクを着用して勤務している人が多かったものの、出勤時からマスクを外してそのまま業務したり、1人でデスクワークをする時、外したりしている人の姿も見られました。

一方、社内での打ち合わせの際はこれまで通り、出席者全員がマスクを着用して意見を交わしていました。

マスク着用の社員は「ほかの人の視線も気になるし、着けた方が健康上も安心かなと思います。周りが着用しなくなれば、自分も着けなくなると思います」と話していました。

新たな社内ルールの策定にあたった和田久美子人事総務部長は、「感染状況などを見て、一定の緩和は大丈夫だろうと判断しました。現状の運用を継続してみて、5月8日に新型コロナの感染症法上の位置づけが『5類』に移行する時には改めて方針を出そうと考えています」と話していました。

病院 引き続き着用を呼びかけ

厚生労働省は重症化するリスクが高い人への感染を防ぐため、医療機関を受診する際は着用を推奨しています。

千葉県成田市にある国際医療福祉大学成田病院では、引き続き医療スタッフはマスクを着用するとともに、病院を訪れる人にも着用を呼びかけています。

13日朝は、ほとんどの外来患者などがマスクをして訪れました。付け忘れていた人には、ロビーにいるスタッフがその場で着用を促していました。

32歳の男性は「子どもの健診で来ましたが、病院だけにほとんどの人がマスクをしている印象で、子どもにも付けさせました。これからは人が密集しているところでは着用して、そうでないところでは外すなどメリハリを付けたい」と話していました。

同病院の前田修運営部長は「世の中的には緩和の方向で進んでいるので、感染リスクが高まることを危惧しています。状況を注視しながら、できるだけ皆さんに納得してもらえるような体制で臨んでいけるように今後も努力していきたい」と話していました。

重症化リスクある人「適切に使ってもらえるとありがたい」

重症化リスクが高い基礎疾患がある東京都内の40代の男性は、感染への不安などがあるため、マスクの着用を続けることにしています。

男性は2014年、白血球の一種であるリンパ球ががん化する「悪性リンパ腫」を発症し、抗がん剤や、みずからの幹細胞を移植する治療を行いましたが、2018年に再発しドナーから骨髄移植を受けました。

血液内科の専門医師によりますと、骨髄移植などを受けた患者は免疫抑制剤などを使うこともあるため免疫が低下し、新型コロナに感染すると重症化するリスクが高いということです。

男性はこの3年間、月に数回の通院を除くと外出は最低限にしていて、外出時は常にマスクを着用しているといいます。

男性は、今も新型コロナに感染しないか不安を感じるとした上で「感染した場合、持ち直せない可能性が高く、医療関係者や職場の人たちなどに迷惑をかけてしまうことも気になります」と話し、マスクの着用を含め、これまでと同じように感染対策を続けるとしています。

その上で、「重症化リスクがある人がいることも頭の片隅においてもらい、せきエチケットの実施や、感染リスクがある場所や重症化しやすい人がいる可能性がある状況では、適切にマスクを使ってもらえるとありがたいです」と話していました。

カラオケ業界 歌う時には1メートル以上

全国のカラオケ店などが加盟する業界団体の「日本カラオケボックス協会連合会」はこれまで、2メートル以上間隔を空けて歌う時や飲食の時を除いて、マスクの着用を推奨するようガイドラインで定めてきました。

このほど、マスクの着用については、利用客も従業員も「個人の判断に委ねる」とガイドラインを見直しました。

ただ、▽歌う時には利用客に1メートル以上離れてもらうことや、▽座席の間隔も人と人とが触れ合わない距離をとること、▽室内清掃の際の換気や消毒も引き続き実施を推奨するなどの対策もあわせて示しています。

同連合会の仲間信男理事長は「カラオケボックスは歌ったり、食べたり、しゃべったりする場で、この3年間いろいろな苦労をした経験から、できるだけ徐々に緩和していきたいと考えている。今後も感染対策をしながら皆さんにカラオケを楽しんでもらえるよう、私たちも盛り上げていきたい」と話していました。

バス協会 ガイドラインの一部削除

日本バス協会は、利用者に「マスクの適切な着用や会話を控えめにすることなどを呼びかけるよう努める」としていたガイドラインの記述を削除しました。

また乗務員に対して、「運行中はマスクの着用を徹底する」とする記述もなくしています。

一方で、感染対策などの理由で利用者や従業員にマスクの着用を求めることは許容するとしているほか、通勤ラッシュなどで混雑したバスに乗る時には政府によってマスクの着用が推奨されていることを周知するとしています。

成田空港 パーティションや掲示を順次撤去

航空会社の業界団体は、政府の方針にもとづいて新型コロナ対策のガイドラインを改定し、乗客や従業員のマスクの着用を「個人の判断に委ねることを基本とする」よう見直しました。

13日の成田空港では、航空会社がチェックインカウンター付近などに掲示してきたマスクの着用を呼びかけるポスターがなくなりました。

利用者のほとんどがマスクを着用していましたが、一部、着用しない利用客も見られました。

友人と旅行先のアメリカに向かうという日本の男性はマスクをつけず、「いつまでも着用を続けるのはきりがないと思います。最初はつけていましたが、空港に着いたらマスクをしていない人も結構いたので、先ほど外しました」と話していました。

一方、観光で日本を訪れたフランス人の男性は、「フランスではマスクをしない人がほとんどですが、日本ではまだ着用した方が好ましいと思っている人がほとんどだと思うので、マスクをするようにしています」と話していました。

航空会社や空港会社は今後、空港のカウンターなどに設置してきた飛まつ防止用のパーティションや、1席空けて座るよう求めていた空港内のベンチの掲示を順次、撤去していくことにしています。

子ども園 職員には着用求め慎重に対応

小さな子どもを預かる愛媛県内の子ども園では当面、職員に対して着用を求めるなど、慎重に対応することにしています。

このうち、四国中央市の認定こども園「アンジェリーナ」には、0歳から6歳までの子ども83人が通っています。マスクの着用が個人の判断に委ねられることになった13日も、職員たちは運動の時間を除いてマスク姿で子どもたちと過ごしていました。

園では13日から送迎の保護者に対しては着用を求めませんが、3歳以上の幼児や保育士などの職員については、3月24日に予定されている卒園式までは着用を続けることにしています。

園によりますと、マスク生活が定着して以降、子どもと接するときにも保育士の表情が伝わりづらくなり、発育に影響を感じているということです。ただ、園ではコロナ禍で園の行事の中止が相次ぐ中、全員で卒園式に参加できるよう着用の継続を決めたということです。

宮本潤子園長は「本音ではすぐにでもマスクを外させてあげたいですが、全員で卒園式に参加できるよう着用を続けることにしました」と話していました。

厚労省 多くの職員がマスクを外して業務

厚生労働省では、体調がすぐれないときは出勤しないことなどを前提に、職員への呼びかけが取りやめられました。

厚労省ではこれまで省内では不織布マスクの着用を推奨していました。しかし、13日からは職員の主体的な選択を尊重するとして呼びかけがとりやめられ、およそ50人が勤務する人事課の執務室では早速マスクを外して業務にあたる職員の姿が多く見られました。

ただ、ウイルス自体がなくなったわけではないことから、体調がすぐれないときは出勤しないことなどを徹底するほか、通勤時に混雑した電車やバスを利用する際にはマスクを着用するよう求めています。

松野官房長官「混乱が生じないよう丁寧に周知」

松野官房長官は、午前の記者会見で「マスクの取り扱い見直しの趣旨や、マスクの着用をお願いする場合については、国民に不安や混乱が生じないよう丁寧に周知を行っていく。リーフレットやウェブサイト、SNSを通じて広報を行っているが、テレビCMなども活用し、自治体や事業者とも連携しつつ周知に努めていきたい」と述べました。

デパート “着用は客の判断に委ねる”

東京都内のデパートでは、マスクをしていない客にも着用を求めず入店できるよう対応を見直した上で、営業をしています。

東武百貨店池袋店は、13日の営業開始を前に店の入り口に掲げている看板の内容を変更しました。来店客にマスクの着用をお願いするこれまでの文言をなくし、マスクの着用は客の判断に委ねることにしました。

ただ、店の入り口の消毒液などはそのまま残し、▼入店前の手や指の消毒や▼体調が悪い場合には入店を控えるといった基本的な感染対策は、引き続き客にお願いしています。

13日午前中は、客のほとんどがマスクを着けていましたが、中にはマスクをせずに訪れる客もいて、店では混乱が起きないように問い合わせがあれば丁寧に対応を説明することにしています。

一方、従業員に対しては、マスクの着用を要請していて、従業員全員がマスクをつけ、接客や販売などにあたっていました。

小売業界では、ほかの主なデパートやスーパーなどでも従業員について、マスクの着用を続けるところが多くなっています。

JR各社 乗客への呼びかけは取りやめ

JR各社はこれまで列車内や駅の構内でマスク着用を呼びかけるアナウンスをしてきましたが、駅員などの着用は当面、継続する一方、13日から乗客への呼びかけは取りやめています。

JR東京駅の新幹線のホームでは、マスクを外している乗客の姿も一部で見られましたが、引き続き着用する乗客が多く見られました。

観光で大阪に向かう20代の男性は「1度コロナに感染したこともあって怖いので、しばらくはマスクを着けようと思っています」と話していたほか、0歳の娘と祖母のもとに向かう20代の母親は「子どももまだ幼いので万が一、感染させてしまったら大変なので、予防のためにも着用しようと思います」と話していました。

一方、仕事を終えて神戸に戻る40代の女性は「マスクを着用すると呼吸が苦しく、表情が分かった方が仕事などでのコミュニケーションにも良いと思うので、外す判断をしました」と話していました。

都内の駅 多くの利用客がマスク着用

13日午前、東京都内の駅では利用客の多くがマスクを着用している姿が見られるところもありました。

このうち京王線の府中駅では、午前9時前の比較的混み合う通勤時間帯の上りの列車で多くの利用客がマスクを着用していました。ホームではマスクを外している人もいましたが、列車に乗るとマスクを着用する人の姿が目立ちました。

鉄道業界では、マスクの着用などの対応は各事業者に任される形となり、京王電鉄では13日からマスクの着用や、会話を控えめにするよう呼びかける対応を行わないことにしています。

一方、時差通勤の呼びかけなどの感染対策は続けることにしています。

列車を利用した40代の公務員は「朝の列車など人が密集している場所ではマスクの着用を続けると思います。1つの車両に数人しか乗ってなく、間隔があいている時は外してもいいかなと思っています」と話していました。

東京都 小池知事「臨機応変にマスク着ける」

東京都の小池知事は、ふだんからマスクを携帯して場面に応じて臨機応変に対応できるよう呼びかけました。

13日午前10時ごろ、小池知事は、マスクを着用せずに都庁に入りました。そして、記者団に対し「ポケットにマスクを入れて、臨機応変に着ける。例えば、高齢者が非常に多い場所や密になっている場などはそれぞれで判断してもらいたい。また、花粉症も結構激しい季節なのでそれぞれの理由で着けるということに尽きると思う」と述べました。

岸田首相 “場面に応じた着脱の考え方を説明していく”

岸田総理大臣はマスクを着用せずに総理大臣官邸に入り、国民が戸惑わないよう、場面に応じた着脱の考え方を具体的に説明していく考えを示しました。

岸田総理大臣は13日午前8時すぎ、マスクを着用せずに総理大臣官邸に入り、記者団に対し「マスクの着脱は個人の判断に委ねることとなるが、個人の着脱を強制するものではない。私自身、マスクを外す場面が増えると考えている」と述べました。

その上で「換気が難しい場面や、高齢者施設を訪れる際など重症化リスクの高い方々と接するような場面では着用をお願いするという考え方を政府としても説明しているが、より具体的な説明を多くの国民の皆さんが戸惑わないような形でしっかり発信していくことは重要だ」と述べました。

羽田空港 “マスク着用”ポスター取り外し

航空会社の業界団体は、政府の方針にもとづいて新型コロナ対策のガイドラインを改定し、乗客をはじめ客室乗務員など従業員もマスクの着用を「個人の判断に委ねることを基本とする」よう見直しました。

これを受けて12日夜、羽田空港ではこれまで出発ロビーや搭乗口付近などに掲示されてきたマスクの着用を呼びかけるポスターが取り外されました。

全日空ではこれまで空港内のおよそ30か所にポスターを掲示するなどしてマスクの着用を呼びかけてきましたが、今後は空港内、機内ともに個人の判断に委ねるということです。

また、空港のカウンターなどに設置してきた飛まつ防止用のパーティションも順次、撤去していくということです。

全日空CX戦略部の久沢弘太郎部長は「急に全員がマスクを外すということではなく、これから個々の判断で徐々に変わっていくものだと思っているが、重要なのはお客様や従業員の判断を尊重して認め合うことであり、航空会社としてトラブルがないように対応していきたい」と話していました。

業種別ガイドライン見直し 多くが“事業者の判断に委ねる”

国はマスクの着用が個人の判断に委ねられる13日を前に、各業界団体に対して195ある業種別ガイドラインを見直し、現場や利用者へ周知するよう呼びかけています。

内閣府によりますと、今月10日の時点で187のガイドラインで見直しが完了したということです。

このうち、「業界団体として事業者の判断に委ねる」とした対応が最も多く、ホテルやプロ野球、遊園地など153のガイドラインとなっています。

一方、業界として事業者に一律の取り扱いを定めているものもあり、「従業員のマスク着用を求める」が郵便やエステなど18、「従業員と利用者のマスク着用を求める」がプロゴルフやプロバスケットボールなど16のガイドラインとなっています。

このほか、8つのガイドラインが「業界内で取り扱いを検討中」などとなっていて、内閣府はマスクの着用について必要に応じて事業者のホームページを確認したり、イベントの主催者に問い合わせてほしいとしています。

マスク着用が効果的な場面は

マスクの着用が効果的な場面について厚生労働省は、医療機関を受診する時や、重症化リスクの高い人が多い医療機関や高齢者施設などを訪問する時、人が密集している通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスに乗車する時の3つの場面だとしたうえで、リーフレットなどで国民に対して周知しています。

このほか、高齢者やがんなどの基礎疾患、そして妊娠している女性など重症化リスクの高い人が流行期に混雑した場所に行く時にもマスクの着用は効果的だとしています。

一方、症状がある人や感染者本人、同居する家族に感染者がいる人は周囲に感染を広げないため外出を控え、通院などでやむをえず外出する場合は人混みを避けマスクを着用するよう求めています。

そして、重症化リスクの高い人が多くいる医療機関や高齢者施設などの職員については、勤務中のマスクの着用を推奨するとしています。

厚生労働省は「マスクを着用した方がいい場面を示しているので、参考にしてもらいながら、場面に応じて個人で判断してほしい」としています。