ハンバーガーで見る消費の今

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手軽な食べ物の代表格、ハンバーガー。「ハンバーガー(外食)の消費者物価指数」は2022年から上昇してきましたが、ここに来て横ばいになっていて、消費が力強さを欠いていることが背景にあると見られます

ハンバーガーチェーンはいま、どのように顧客を取り込もうとしているのでしょうか。

日常とぜいたく 「二極化戦略」で売り上げつくる

東京都心部から郊外まで66店舗を展開するハンバーガーチェーン「ウェンディーズ・ファーストキッチン」は「二極化戦略」を進めています。

都心部で力を入れているのが高価格帯の商品です。黒トリュフを使った期間限定のハンバーガーは、インバウンド客やビジネスマンを中心に1日平均で120個以上売れたといいます。

東京・港区の店でこのハンバーガーを注文した、近隣で働く会社員は、次のように話していました。

一方、郊外の店舗で押し出しているのは、600円前後の比較的求めやすい商品です。

このチェーンの客単価は、郊外で965円、都心部で1154円。郊外の店では飲み物や軽食のみの利用者が多く、都心部と比べ客単価が200円ほど低い状況です。横浜市戸塚区の店を訪れていた人は次のように話しました。

郊外の店舗では価格に敏感な人が多い傾向がみられることから、都心部とは異なる戦略をとり幅広いニーズに応えようとしています。

ウェンディーズ・ファーストキッチン 柴関 修 社長
日々使うための価格帯と、たまにぜいたくで使っていただける価格帯を用意する。しっかりと売り上げをつくっていくことが必要

低価格を維持 店舗数拡大ねらうチェーンも

節約志向の消費者のニーズを感じ取り、低価格戦略をとるハンバーガーチェーンもあります。

「バーガーキング」は2023年に一度値上げしたものの、その後は価格を据え置いています。いま力を入れているのが割引クーポンです。来店者の4割近くが使っています

神奈川県厚木市の店舗を訪れていた家族連れは「きょうまで300円オフだった」「だから絶対食べに行こうと」と話しました。

バーガーキング 野村一裕 社長
だいぶ(価格に)敏感になられていると思う。価格というところが、お客様が来ないハードルになるんだったらそれは怖い

いまこのチェーンは店舗数の拡大を目指し、社長みずから頻繁に候補地を回っています。

出店候補地を回る野村社長(左から2人目)

値上げを我慢することで、価格に敏感な消費者をさらに取り込み、売り上げを伸ばしたいと考えています。

野村社長
(店舗を増やせば)この価格のまま据え置いて、より多くのお客様にアピールできるので、我慢できるところまでは我慢していきたい

「インバウン丼」が話題だが…

最近は、観光地などで数千円する海鮮丼が外国人に人気で「インバウン丼」ということばが話題になりましたが、個人消費は全体で見ると弱さも指摘されています。

いま横ばいになっているハンバーガーの物価指数が今後どうなっていくのか。そこから消費の先行きが占えるかもしれません。
【2024年4月23日放送】