Q.“接種後に死亡”とは?

A.
新型コロナウイルスのワクチンを接種した後に亡くなったケースがあり、国はその人数を公表しています。

これまでにワクチンが原因で亡くなったと判定されたケースはありませんが、「ワクチンが原因で亡くなった」と誤解してSNSなどで拡散されていて 厚生労働省は誤った情報が広がっているとして注意を呼びかけています。

厚生労働省によりますと、ワクチン接種を受けた後に亡くなった人は、2021年7月25日の時点で
▼ファイザーが828人で 100万人あたり19人、
▼モデルナは6人で100万人あたり2.2人でしたが、
これまでのところ、ワクチンが原因で死亡したと判定されたケースはなく、
厚生労働省は接種体制に影響を与える重大な懸念は現時点で認められないとして引き続き接種を進めるとしています。

新型コロナウイルスのワクチンを接種した後で体調不良などがあった場合には、「副反応の疑い」として国に報告されます。

「副反応の疑い」として報告されるケースには、ワクチンを接種した人に出たあらゆる症状が含まれていて、
▼接種の翌日に急病になったとか
▼接種した日の夜に持病が悪化して亡くなったなど
接種と関係があるか分からなかったり、すぐには判断できなかったりするケースも含まれ、
専門家部会で接種を受けたことが体調不良や死亡に関係があるかどうか、慎重に調査が行われています。

一方で、「接種後に死亡した」ケースについて、SNSなどでは「ワクチンが原因で死亡した」として拡散されることがあり、厚生労働省はウェブサイトで「『接種後の死亡』と『接種を原因とする死亡』は全く意味が異なります。『接種後の死亡』にはワクチンとは無関係に発生するものを含むにも関わらず、誤って『接種を原因とする死亡』として、SNSやビラなどに記載されている例があります」と説明し、誤った情報に注意を呼びかけています。

新型コロナワクチンの接種を終えた人の割合が、2021年8月下旬の段階で65歳以上の高齢者の 80%を超え、全ての人口で見ても40%を超える中、接種した後に様々な要因で亡くなる人はいますが、 専門家はワクチン接種によって死亡のリスクが上がっているとは言えないとしています。

厚生労働省の人口動態調査によりますと、日本国内ではおととしにはおよそ138万1000人、 1日平均ではおよそ3780人が亡くなっています。

死因で最も多いのが
▼がんでおよそ37万6400人、1日平均でおよそ1030人、
続いて
▼心疾患がおよそ20万7700人、1日平均でおよそ570人、
▼老衰がおよそ12万1900人、1日平均でおよそ330人、
▼脳血管疾患がおよそ10万6600人、1日平均でおよそ290人などとなっています。

副反応の疑いがあると報告された事例について分析を行う厚生労働省の専門家部会のメンバーで、東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「専門家部会ではワクチン接種後に起きた死亡の頻度と、ワクチンを打っていない人で自然に起きる死亡の頻度と比較しているが、ワクチンを打ったあとに起きる死亡の方が頻度が低く、接種によって死亡のリスクが上がっていないということが推測できる。アメリカなどでの検証でも現時点ではワクチン接種と死亡の間に関係が認められたケースは出ていない。検証するには多くのデータが必要で、今後もデータの分析をより精緻に行う仕組みの改善を進めていくべきだ」と話しています。

厚生労働省も「国内外で注意深く調査が行われていますが、ワクチン接種が原因で何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていません」としています。

(2021年8月24日時点)