「恵」のグループホーム5か所指定取り消し 愛知県・名古屋市

各地で障害者向けグループホームを展開している運営会社「恵」の事業所が食材費の過大請求や障害福祉サービスの報酬を不正に請求していたなどの問題で愛知県と名古屋市は、あわせて5か所の施設に対し、事業所の指定を取り消す行政処分を行い、公表しました。
施設は、処分の効力が発生する日から事業所としての運営が事実上できなくなります。
厚生労働省は会社が組織的に不正に関与していたとして、運営するほかの事業所についても今後、指定の更新を認めない措置を取ると会社に通知しました。

指定取り消しの処分を受けたのは東京・港区に本社がある「恵」が運営する障害者向けグループホームのうち愛知県幸田町にある「ふわふわ幸田」、名古屋市緑区の「ふわふわ」、北区の「ふわふわ北」、守山区の「ふわふわ守山」、天白区の「ふわふわ天白」のあわせて5か所です。
愛知県や名古屋市によりますと、5か所の施設では、いずれも、利用者から食材費を過大に請求していたことが確認されたとしています。
また、障害福祉サービスの報酬についても法令に定められた人員の配置基準を満たしていないにも関わらず、基準を満たしているとして、不正に請求していたことが確認されたということです。
「恵」による一連の問題を受け、自治体が指定取り消しの行政処分を行うのは初めてです。
処分の効力が発生するのは、緑区の「ふわふわ」が8月31日、「ふわふわ幸田」が10月1日、それに、「ふわふわ北」「ふわふわ守山」「ふわふわ天白」の3か所が12月1日で、それぞれの施設では、この日以降、事業所としての運営が、事実上できなくなります。

【厚生労働省「連座制」適用を通知】

東京・港区に本社がある「恵」が運営する障害者向けグループホームをめぐっては、利用者から食材費を過大に徴収したり、障害福祉サービスの報酬を不正に請求していたことが明らかになっています。
厚生労働省によりますと、食材費の過大徴収は、6月20日現在、全国104の事業所のうち77か所で行われ、過大徴収の総額は、2億9900万円あまりにのぼっています。
愛知県や名古屋市は、管内にあるあわせて5つの事業所に対して26日、法律の規定としては最も重い指定を取り消す行政処分を行いました。
これにあわせて厚生労働省は、会社が組織的に不正に関与していたとして、全国のほかのグループホームなどについても法律に基づいて今後事業所としての指定の更新を認めないいわゆる「連座制」を適用すると会社に通知しました。
また合わせて、業務管理体制の見直しも適切に行われていないなどとして26日づけで業務改善命令を出しました。
自治体による事業所の指定の更新は6年ごとで今後、数年の間に全国の「恵」のグループホームなどが順次、更新期限を迎えて運営ができなくなる見通しです。
厚生労働省は、グループホームで暮らす障害者が行き場をなくすことがないよう、自治体と連携しながら対応することにしています。
株式会社恵は、愛知県などによる処分や厚生労働省によるいわゆる「連座制」の適用について「本日、処分をいただきましたので内容を精査して真摯に受け止め、今後の対応について検討していきたい」とコメントしています。
また、今後の会社の運営や、利用者への対応については「具体的にお答えできない」としています。