「起訴猶予」職場に回答 国に5万円の賠償命じる 名古屋高裁

職場で上司に暴行したとされる事件で起訴猶予になった女性が「職場からの照会を受けて検察庁が処分理由などを回答したのは違法だ」などと主張し国に賠償などを求めた裁判で、2審の名古屋高等裁判所は「被疑者にとって重大な不利益が生じる」などと指摘し、国に5万円の賠償を命じました。

この裁判は、7年前、愛知県教育委員会の事務所で上司に暴行したとされる事件で起訴猶予となった女性が「職場からの照会を受けて名古屋地方検察庁が処分理由などを回答したのは違法だ」などと主張し、国に賠償などを求めたもので、1審の名古屋地方裁判所は女性の訴えを退けていました。
30日の2審の判決で、名古屋高等裁判所の長谷川恭弘裁判長は「『起訴猶予』の処分は検察官が『被疑事実が明白だ』と判断したということで、これが明らかにされると被疑者にとって重大な不利益が生じる。被疑者の承諾なしに外部に明らかにしてはならない性質のものだ」と指摘しました。
そのうえで、「検察官の判断が誤っていた場合、これに引きずられて懲戒などの処分が誤って行われる可能性が高く、非常に無責任な行為だ」などと指摘し、1審とは逆に国に慰謝料として5万円の賠償を命じました。
判決について、名古屋地方検察庁の堂免雅樹次席検事は「判決内容を精査し関係機関と協議するなどして適切に対応したい」とコメントしています。