ハラスメントで辞職願の東郷町長「町の未来のため辞職決断」

町の職員への複数のハラスメント行為が認定され、辞職願を提出した愛知県東郷町の井俣憲治町長が25日、記者会見し、「町の未来のため職員が静かに仕事ができる環境が重要だと考え、辞職を決断した」と述べました。

東郷町の井俣町長について、町が設置した第三者委員会は4月22日、「1期目から継続的に複数の職員にさまざまなハラスメントを行ってきた」とする報告書を公表し、井俣町長は24日、町議会議長に辞職願を提出しました。
井俣町長は25日、町議会の全員協議会に出席し、「ハラスメント事案の対象となった職員の皆さんに心からおわび申し上げたい」と陳謝したうえで、5月2日付けで辞職する考えを示しました。
続いて、井俣町長は記者会見し、「去年11月に報道を受けて以来、反省を繰り返し、ハラスメントに関する勉強をしたが、それまでの自身が無知であったことを改めて恥じる期間となった」と述べました。
そのうえで、辞職の理由について「町議会の先生と話す中で、町の未来と町民の幸せのために職員が静かに仕事ができる環境をつくっていくことの重要性で一致し、同じ方向に進もうという中で辞職を決断した」と説明しました。
一方、第三者委員会の報告書について「すべてを理解、納得しているわけではなく、記憶がないところもあるが、それも含めて、自分の今後の行動や言動の指針になるし、役場としても大変重要なテキストになると思っている」と述べました。
また、記者団から、次の町長選挙に立候補する考えがあるか質問されたのに対し、「自分のことを考えられる状況ではないので考えていなかったが、きょうの段階で、すべての可能性を否定するものではない」と述べ、明言を避けました。
東郷町によりますと、町議会議長は24日に町の選挙管理委員会に対し、井俣町長の辞職を通知したということで、町長選挙は4月26日から50日以内に実施されることになります。
【住民は】
東郷町の井俣憲治町長が辞職願を提出したことについて、70代の男性は「まさか自分たちの町で町長が役場の職員をいじめるようなことをしていたなんて思いもしなかったので、辞めることになってよかったと思います」と話していました。
50代の男性は「民間企業では今、ハラスメントには相当厳しいので、町長のおかしな言動がこれまでまかり通ってきたことに腹立たしさを覚えます」と話していました。
また、50代の女性は「辞めると聞いて安心しました。小さい町ですが、これからはもっと若者が集まってくれるような住みやすい町になっていけばいいなと思います」と話していました。
30代の女性は「今回の件があり、東郷町のイメージはよくないと思うので、信頼を取り戻すために、次の町長には何か新しい改革をやってほしいと思います」と話していました。
【町議会議長“反省しているようには見えない”】
東郷町議会の石橋直季議長は記者団に対し、「ハラスメントが起きた原因をただ自分の勉強が足りていないという話で終わらせるのは、職員や被害を受けた方が見てどう思うか、あまりにも想像ができていないと思う。反省しているようには正直、見えない」と述べました。
そのうえで、「この件をきっかけに議会ももちろんハラスメント防止に取り組んでいくし、議会から行政に働きかけて、行政と連携しながらハラスメントをしてしまうことがないような環境づくりを引き続きやっていきたい」と述べました。