”頂き”の詳しい手口 マニュアルをSNSで販売も

”頂き”の詳しい手口 マニュアルをSNSで販売も

検察の主張や被告人質問などで明らかになった詐欺の詳しい手口です。

渡邊被告は“頂き”と称してマッチングアプリや風俗店で知り合った男性に恋愛感情を抱かせた上で、「携帯電話料金の支払いを滞納している」とか「知人に借金をしていて返さないといけない」などとうそを言ってお金をだまし取り、詐欺などの罪に問われました。
少額をだまし取るときは携帯電話の料金や家賃の滞納、高額のときは借金などを理由にしていたということで、接見した記者に対し渡邊被告は「私への好意をすごく感じる人、例えば『お金出すよ』と言ってくれるスピードが早い人などには高額をだまし取れないか挑戦した」などと述べました。
また、金額については相手に言わせるようにしていたということで、被告人質問では「相手が余力があるのにこちらから『100万円』などと言うとその後金額を上げづらいので余力をはかるために相手に言わせていた」などと説明しました。
さらに、こうしたうそを信じこませるための巧妙な手口も明らかになりました。
渡邊被告は携帯電話をもう一台持ち、被害者と連絡を取り合っているものとは別のLINEアカウントを作成していたといいます。
検察によりますとこのアカウントを使って架空の仕事仲間を演じたり、借金の相手が実在すると見せかけるためにトーク画面の写真を送ったりしていたということです。
こうした手口でうそを信じ込ませても「弁護士に相談した方が良い」などと告げてくる男性には「前に相談したけどだめだった」などと話し、追求を免れていたという渡邊被告。
さらに、金をだまし取ったあとの対応を“アフターケア”と呼んで重要視していたということで、被告人質問では「本当にお金で助かったと感謝を伝えることが一番大事だと思っていました。承認欲求が満たされるから。アフターケアのメリットは、次もまた“頂ける”し、お金を返せと言われないし、あとあと問題にならないためにアフターケアをしていました」と説明しました。
渡邊被告はこうした一連の流れをマニュアル化してSNS上で販売し、詐欺ほう助の罪にも問われました。
マニュアル販売で稼いだとされる額はおよそ2000万円に上ります。
記者との接見では「マニュアルはわかりやすく簡単なことばを選んだ。フォロワーから必要とされることに存在意義を見いだしていた。『頂き女子』はホストと構造が同じで、おじさんには、担当ホストに私が言われてうれしかった、『夢にでてきたよ』とか『一緒に住めたらいいね』などの言葉をかけた」と話しました。