津地裁の現役裁判官が地域手当の格差は憲法違反と提訴の方針

津地方裁判所の現役の裁判官が、地域手当の支給率に格差があるため転勤によって実質的に給与が減額されたのは裁判官の報酬の減額を禁じた憲法に違反している、などと主張し、国に対し減額分の支払いなどを求める訴えを起こす方針を明らかにしました。

現役の裁判官が国を相手に裁判を起こすのは異例です。
訴えを起こすのは、津地方裁判所の民事部で裁判長を務める竹内浩史裁判官(61)です。
人事院によりますと国家公務員には、勤務する地域にある民間企業の給与に近づけるために地域手当が支給されていて、その支給率は大都市など地域によって異なっているということです。
竹内裁判官は、4月16日に名古屋市内で会見を開き、この地域手当に不合理な格差がある上昇給もなかったため、大都市から地方に転勤することで実質的に給与が減額されたと主張しています。
その上で、「裁判官の報酬は在任中減額されない」と保障する憲法に違反しているなどとして、国に対し、5月にも、転勤による給与の減額分およそ240万円の支払いや賠償を求める訴えを、名古屋地方裁判所に起こす方針を明らかにしました。
現役の裁判官が国を相手に裁判を起こすのは異例で、竹内裁判官は、「裁判官はいま、採用したい人数を採用できていない上に、途中で退官する人も多い。みな待遇に不満を持っていると思う。地域手当の格差をなくし、転勤によって減額という不利益を受けないようにしてほしい」と話しています。
一方、最高裁判所広報課は「コメントは差し控えます」としています。