名鉄空港線 立往生の特急電車 3つのパンタグラフに損傷

愛知県の名鉄空港線で特急電車が橋の上で立往生したトラブルで、この電車の3つあるすべてのパンタグラフに損傷が及んでいることが分かりました。名鉄は、強風との関連や原因の調査を進めるとともに、架線などの復旧を急いでいます。

愛知県常滑市の名鉄空港線では、20日夜、6両編成の上りの特急電車が送電設備の損傷のため、りんくう常滑駅の手前の橋の上で立往生しました。
当時、現場付近は風が強く、トラブルが発生したのとほぼ同じ午後7時すぎに中部空港で最大瞬間風速25.7メートルを観測していました。
名鉄によりますと、この特急電車には、先頭車両と3両目、6両目の3か所にパンタグラフがありますが、その後の調査で、パンタグラフが壊れたり外れたりする損傷は3か所すべてに及び、このうち2か所は完全に外れて付近に落ちていたということです。
また、先頭から5両目の進行方向右側の窓ガラスにひびが入っていることも確認されました。
このほか、上り線で、架線をとめる金具類が6か所で損傷し、長さ310メートルの範囲で架線が垂れ下がった状態になっていました。
当時、運転士が大きな音や火花を確認していたということで、名鉄は、強風との関連や原因の調査を進めるとともに、架線などの復旧を急ぐことにしています。
【専門家「先頭のパンタグラフと架線で急激な異常か」】
鉄道工学が専門で、国の運輸安全委員会の鉄道部会長も務めた松本陽さんは「今回の事案の状況は詳しく分かっていないが、すべてのパンタグラフが損傷していることから、いちばん先頭のパンタグラフと架線が急激に異常な事態になって次々と後ろのパンタグラフも壊れていったことが考えられる」と指摘しました。
そのうえで、「強風による速度規制は車両が転覆するような事故を受けて設けられているものなので、従来の規制によって架線やパンタグラフが損傷する事案を防止するのは非常に難しい。一方で、今回の損傷に至ったメカニズムを鉄道会社が可能なかぎり解明し、再発防止の可能性を検証することが非常に重要になる」と話していました。