明治期伊賀の風景ガラス板から浮かび上がる 東大グループ調査

三重県伊賀市で保管されていた、ガラス板の写真のネガを東京大学史料編纂所の研究グループが高精細デジタルカメラを使って調べたところ、明治時代初期の伊賀上野城や町の風景などが詳細に写っていたことがわかりました。

東京大学史料編纂所の谷昭佳技術専門員らの研究グループは、伊賀市で保管されていた明治初期に撮影されたとみられるガラス板の写真のネガ10枚を高精細のデジタルカメラで撮影し画像をパソコンで拡大して調査しました。
その結果、町を遠くから撮影したネガでは建ち並ぶ家の屋根や壁などが詳細に見えるほか、伊賀上野城を撮影したネガでは石垣の一つ一つの違いまで確認できるようになりました。
さらに、何も写っていないとみられていた1枚のネガは、中央に堀、右に町家、左に土塁が写っていると判明し、伊賀上野城の大手門のあたりを低い位置から撮影したとみられるとわかったということです。
谷昭佳技術専門員は、「およそ150年前の姿を最新の技術で引き出せ、タイムカプセルのふたを開けたようだ。当時の伊賀の様子をビジュアルとして伝える非常に貴重な史料だ」と話しています。
伊賀市教育委員会の笠井賢治文化財課長は、「広く市民に知ってもらい、後世にも伝えられるように残していきたい」と話しています。