食材費過大徴収 元社員「上層部に利益優先の考え」

「恵」が運営する愛知県内の施設で働いていた元社員がNHKの取材に応じ、「本社は利用者を『金儲けの道具』としか捉えられていなかったと思う」と述べ、食材費を過大に請求していた背景には、会社の上層部に利益を優先する考えがあったのではないかと証言しました。
「恵」が運営する愛知県内の障害者向けのグループホームで働いていた元社員によりますと、施設で提供する食事の食材費として、毎月、利用者1人あたり2万5000円をもらっていたということです。
しかし、本社から施設に支給されるのは、1人あたり7500円程度で、洗剤やゴミ用の袋など日用品の購入費も含まれていたため、食事を十分に提供できていなかったということです。
元社員は「本社に食材費を『増やしてください』と言っても、『グループホームはこの金額だから』と突っぱねられるだけだった」と話していました。
少ない食材費からやりくりをしていたということですが、足りない分を自宅から持ってきたり、自費で買ったりする施設のスタッフもいたということです。
また、「恵」の幹部社員は、それぞれの施設のことを「店舗」と呼んでいたということで、元社員は、「利用者や家族には『自分の家だと思ってほしい』と伝えているのに、コンビニのような小売店みたいに『店舗』と呼んでいるのはおかしい」と述べ、憤りをあらわにしました。
このほか、本社からは、自治体から施設に支給される報酬額が高くなる障害の程度が重い人を勧誘して、施設が受け入れられる定員まで満たすよう指示されていて、利用者の確保に奔走したということです。
しかし、障害の程度が重い利用者を受け入れても、施設には経験の浅いスタッフばかりで、十分な介護サービスを提供するのが難しかったと言います。
元社員は、「利用者からいただいていたお金がどこに使われているのかわからない。本社は利用者を『金儲けの道具』としか捉えられていなかったと思う」と述べ、食材費を過大に請求していた背景には、会社の上層部に利益を優先する考えがあったのではないかと証言しました。