災害関連死を防ぐ 被災地の施設の高齢者が愛知県に 

能登半島地震の災害関連死を防ぐため、二次避難や広域避難が急がれる中断水や停電が続く石川県内の高齢者施設の入所者を愛知県内の医療機関などで受け入れようと、11日自衛隊のヘリコプターでの搬送が行われ、愛知県に到着しました。

愛知県などによりますと、今回の地震を受けて、石川県から停電や断水が続く地域の高齢者施設の入所者を受け入れてほしいと要請があり、愛知県が受け入れを決めました。
11日は12の医療機関で30人を受け入れ、石川県珠洲市で高齢者が担架に乗せられて、自衛隊のヘリコプターに乗り込み出発しました。
そして、1時間ほどかけて愛知県の県営名古屋空港に到着すると、高齢者たちはヘリコプターから担架で降ろされ、救急車のなかで災害派遣医療チーム、DMATの医師による健康状態などのチェックを受けた後、医療機関に向かいました。
ヘリコプターでの搬送は午前と午後の2回行われ、愛知県は、健康状態などに問題がなければ、県内の高齢者施設などに移ってもらうことも検討しています。

DMATのメンバーで、名古屋大学病院救急科長の山本尚範医師は、今月7日に石川県珠洲市の施設の状況を見て入所する高齢者を石川県外に移すことを提言していました。
そして11日の県営名古屋空港での高齢者の受け入れにも携わりました。
山本医師は、「搬送された皆さんは比較的落ち着いていました。石川県内には、このままでは介護が十分に受けられずに災害関連死につながりかねないリスクを抱えた人が1000人規模でいると聞いています。政府も含めて医療と福祉の壁を越えてこういった方々を助ける仕組みを早急に確立していかなければいけない」と話しています。